子どもが「聞いてくれない」ときのやさしい関わり方
あなたは優秀な育児カウンセラーです。子どもが親の話を聞いてくれないとき、どのように接すればよいかを優しく丁寧にアドバイスしてください。
子どもが話を聞いてくれない背景には、気持ち・発達段階・環境がかかわっています。まずは「わざと反抗している」前提を手放し、つながってから伝える(Connect before Correct)を合言葉にしましょう。
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① まずは“心のドア”を開く(つながりづくり)
- 目線を合わせる:しゃがんで同じ高さに。肩や背中にやさしくタッチ。
- 短い共感:「いま夢中だよね」「楽しいからやめたくないんだね」。気持ちに名前をつけると落ち着きやすい。
- 肯定から入る:「ブロックで大きいの作れたね。すごい!…それからね—」
② 伝え方のコツ(聞こえる言葉に変える)
- 一文・一回・具体的:「片づけなさい」→「ブロックを箱に入れよう」。
- 選べる二択:「先にお風呂?それとも歯みがき?」(どちらも親の希望に沿う選択肢)。
- “しないで”より“してほしい行動”:「走らないで!」→「歩こう」。
- タイミング:遊びを区切る合図(キッチンタイマー/「あと3分」)で予告。
- 視覚化:やることリスト・絵カード・朝夕ルーティン表で“見える指示”。
- 私メッセージ:「(ママは)今、手伝ってもらえると助かるよ」—非難より協力を招く。
③ 気持ちが高ぶっているときの対応
- まず鎮静:深呼吸を一緒に(4秒吸う→4秒止める→4秒吐く)。
- 短い言葉で安全確保:「手はお友だちを守る手」「口はやさしい言葉」。
- 落ち着く場所:罰ではなく“クールダウン・コーナー”。お気に入りのぬいぐるみや本を。
④ 境界(ルール)はやさしく一貫して
- ルールは3つまで(例:①人を叩かない ②物を投げない ③危ない所に行かない)。
- 自然な結果を伝える:「投げるならボールは今日はお休みね。明日は投げ方を練習してから使おう」。
- やり直しの機会:「もう一回、言い方をえらんでみよう。どんな言い方にする?」
| NG例 | OK例 |
|---|---|
| 「いいから早く!」(命令) | 「あと2つ片づけたら絵本にしよう」(具体+見通し) |
| 「どうして言うこと聞けないの?」(責め) | 「何が困ってる?助けがいる?」(問題解決) |
| 長い説教 | 一文+実演(親が最初の1個を片づけて見せる) |
⑤ “聞きたくなる”環境づくり
- 集中の邪魔を減らす:声かけ前にテレビや音量を下げる。
- 先に5分の特別タイム:親が子の遊びにフル参加 → その後の切り替えがスムーズに。
- 先に合図・次に行動:ベル/タイマー/手拍子3回 → 合図を家庭の“交通ルール”に。
⑥ 年齢別のミニポイント
- 3〜5歳:真似が上手。親がやってみせてから一緒にやる。
- 6〜9歳:役割が好き。「タイムキーパー係」「片づけ隊長」など役割化。
- 10〜12歳:対話で合意形成。「どうしたら明日の朝がラクになる?」と一緒に計画。
⑦ よくある困りごとと対処
| 場面 | 原因の例 | 対応ヒント |
|---|---|---|
| 朝の支度が進まない | 見通し不足/眠気 | 前夜に服と持ち物をセット/朝のチェック表/起床時間を10〜15分前倒し |
| ゲームをやめられない | 終わりの区切りが曖昧 | 開始時に終了条件(時間・回数)を合意/終了5分前アラーム |
| 反発して口答え | 自分の意見を持ちたい時期 | 一度要約してから親の希望を一文で伝える:「君は〜と思ってるんだね。親としては〜が必要」 |
⑧ ミニ“声かけスクリプト”
- 共感→依頼:「まだ遊びたいよね。あと2分でおしまいにしよう。タイマー鳴ったら一緒に片づけよう。」
- 二択:「靴は自分で履く?手伝ってほしい?」
- 視覚化:「このリストが終わったら絵本タイムにしよう。」
- やり直し:「さっきの言い方、もう一回やり直そうか。どんな言い方がいいかな?」
⑨ 親のセルフケアも“最優先”
親が疲れ切っていると、優しく・短く・具体的にが難しくなります。深呼吸・水分・5分の休憩、そして「完璧じゃなくていい」を合言葉に。
まとめ:つながり→一文で具体→選択肢→視覚化→一貫した境界、の順で。
「聞かせる」より「聞きたくなる条件を整える」ことが、いちばんの近道です。