2025年11月10日 プレミアリーグ第11節 マンチェスター・シティ vs リヴァプール(3-0)試合分析

投稿日:2025年11月17日  カテゴリー:試合分析

2025年11月10日 プレミアリーグ第11節
マンチェスター・シティ vs リヴァプール(3-0)試合分析

開催日:2025年11月10日/会場:エティハド・スタジアム
スコア:マンチェスター・シティ 3-0 リヴァプール
監督:シティ=ペップ・グアルディオラ/リヴァプール=アルネ・スロット

試合概況と背景

2025年11月10日に行われたプレミアリーグ第11節、マンチェスター・シティ対リヴァプールの一戦は、 シティが3-0で勝利した。舞台はエティハド・スタジアム。ペップ・グアルディオラ監督にとっては 通算1000試合目という節目のゲームであり、相手は昨季リーグ王者で、今季からアルネ・スロットが 指揮を執る新生リヴァプールだった。

スコアだけ見ればシティの完勝だが、試合内容を紐解くと、いくつかのターニングポイントや 戦術上の駆け引きが存在した一戦でもある。本記事では、 ①戦術分析(グアルディオラ vs スロット)②勝敗を分けた局面③両チームの選手起用と個人パフォーマンス という3つの視点から試合を整理していく。

戦術分析:グアルディオラ vs スロットの戦略比較

フォーメーションと攻撃戦術の違い

シティは基本的なスタートポジションこそ4-3-3だが、ボール保持時には非常に流動的にポジションが変化した。 両ウイングのジェレミー・ドクとライアン・チェルキは内側に絞り、フィル・フォーデンとともに 「中央寄りの3トップ」のような形を作る。一方で、両サイドバックのニコ・オレイリィとマテウス・ヌネスは 高い位置に押し上がり、タッチライン際の幅を確保する役割を担った。

中盤では、ベルナルド・シウバがアンカーのニコ・ゴンザレスの横まで落ちてきて、実質2ボランチのような配置を形成。 これにより、シティはリヴァプールの4-2-3-1(ダブルボランチ+トップ下)の中盤3枚に対して 常に数的優位を作りながらビルドアップを行うことができた。

一方のリヴァプールは4-2-3-1を基調とし、守備時にはブロックをやや中央に寄せてコンパクトに保つ狙い。 モハメド・サラーとフロリアン・ヴィルツも内側に絞り、中盤を厚くすることで中央のパスコースを消そうとした。 しかしシティは、あえて横パスをゆっくり回して相手の守備ブロックを中央におびき寄せ、 そこから一気に縦パスのスピードを上げることでリズムを変え、中央突破とサイド展開を巧みに使い分けた。

特に左サイドはドクを軸に崩しを行う重要なルートとなった。ドクがワイドに張って1対1で 右SBコナー・ブラッドリーと勝負する一方、その背後ではオレイリィが内側に絞って中盤の数的優位を維持する。 右サイドでは逆にチェルキが内に入り、ヌネスが高い位置で幅を取るという左右非対称の配置により、 「左で幅を取り、右で絞る」バランスの良い攻撃形を作り出した。

先制点は、こうした構造を象徴するようなゴールだった。全選手が関わるビルドアップから、 右サイドのヌネスが上げたクロスに対し、エーリング・ハーランドが豪快なヘディングで合わせてゴール。 シティのフィールドプレーヤー全員がボールに触れて生まれたこの得点は、 まさに「ペップ流フットボールの完成形」と言える崩しだった。

プレスのかけ方と守備戦術の違い

守備の局面では、シティの組織的な前線プレスがリヴァプールのビルドアップを封じ込めた。 特に象徴的だったのが、いわゆる「コナテへのトラップ」である。リヴァプールのゴールキック時、 ハーランドは意図的に右寄りのポジションを取り、GKから主将フィルジル・ファン・ダイクへのパスコースを消しつつ、 左CBイブラヒマ・コナテへのパスをあえて“開けておく”立ち位置を取った。

GKからコナテにボールが入ると、今度はフォーデンが素早く前に出て内側のパスコースを塞ぎ、 さらにチェルキも中盤の一角からプレスに加わることで、中盤の受け手への縦パスを徹底的に遮断。 このトラップによって、リヴァプールは後方から中盤へボールを運ぶルートを失い、 前半はビルドアップに大きな苦労を強いられた。

一方のリヴァプールの守備・プレスは、十分に機能したとは言い難い。 左サイドで好調だったドクに対し、ブラッドリー、グラフェンベルフ、サラーの誰が主担当なのかが曖昧で、 3人とも距離を取ってしまうシーンが目立った。結果としてドクに簡単にドリブルを許し、 マークの受け渡しや連動したプレスの基準が共有されていないことが露呈した。

全体として、リヴァプールは「組織的にボールを奪うプレス」ではなく、 シティのパスワークを後追いするだけの形になってしまい、 前半はまさに“影を追い続ける”展開となった。

後半の修正と両軍の守備対応

後半に入ると、リヴァプールもいくつかの修正を試みた。 トップ下で起用されていたドミニク・ソボスライをよりサイド寄りに配置し直し、 逆に左WGのヴィルツを内側に絞らせることで、中央付近でサラーとの連携を取りやすくする狙いが見られた。

これにより、サラーがタッチライン際に開いた状態でボールを受ける場面も生まれ、 前半よりも3対3の数的同数の局面から仕掛けられるシーンが増加。 実際に右SBブラッドリーのオーバーラップからクロスが入り、 途中出場のコーディ・ガクポが決定機を迎える場面もあった。

しかし、その直後にドクが圧巻の個人技から3点目を奪取。 左サイドでボールを持ったドクは華麗なステップオーバーでDFを翻弄し、 エリア外からの右足カーブシュートをゴール右隅に突き刺した。 このゴールでリヴァプールの反撃ムードは一気にしぼみ、試合の趨勢はほぼ決した。

シティは3点リードを手にすると、前線からのプレス一辺倒ではなく、 中盤のラインをやや下げたミドル〜ローブロックでの守備にシフト。 リヴァプールにボール保持を許しながらも、ペナルティエリア付近では決定機をほとんど作らせず、 GKジャンルイジ・ドンナルンマの好セーブもあってクリーンシートで試合を締めくくった。

勝敗を分けた局面と流れ

① 序盤のPK失敗と先制点

試合の主導権を握ったのは序盤からシティだった。ジェレミー・ドクが相手GKジョルジ・ママルダシュヴィリに 倒されてPKを獲得し、ハーランドがキッカーを務める。しかしこのシュートはGKに読まれてセーブされ、 絶好の先制機を逃してしまう。

それでもシティは動揺せず、攻勢を継続。約20分後、右サイドのヌネスが上げたクロスをハーランドが 豪快なヘディングで叩き込み、改めて先制点を奪取した。PK失敗という嫌な流れを早い段階で断ち切った このゴールは、シティに大きな安堵と勢いをもたらした。

② 幻の同点弾と直後の追加点

先制を許したリヴァプールも、前半終了間際に一度はネットを揺らす。 CKの二次攻撃からファン・ダイクが押し込んだボールがゴールインし、一瞬スコアは1-1かと思われた。 しかしこれはロバートソンのオフサイドポジションが影響したとして、VARの結果ノーゴール判定となる。

同点機を逃した直後、今度はシティが前半アディショナルタイムにギアを上げる。 ニコ・ゴンザレスのミドルシュートがファン・ダイクに当たってコースが変わり、そのままゴールイン。 シティが2-0とリードを広げてハーフタイムを迎える形となった。 「同点になりかけた直後に突き放される」この展開は、 リヴァプールにとって精神的にもダメージが大きかった。

③ 後半の決定機とドクのダメ押し弾

2点ビハインドのリヴァプールは後半に入ると徐々に反撃の形を作り、 右サイドの崩しから途中出場のガクポが決定的なシュートチャンスを迎える。 しかしこのシュートは枠を捉えきれず、絶好機を逃してしまう。

そしてその直後、前述の通りドクが左サイドから個人技で3点目を奪取。 決まっていれば2-1となり、試合の流れが変わってもおかしくなかったガクポのチャンスの直後に 逆に3点差へと広げられたことで、勝負はほぼ決定した。

こうして、ハーランドの先制点(PK失敗からの立て直し)、 リヴァプールの同点ゴール取り消しからのシティ追加点、 後半のガクポの逸機とドクのスーパーゴールという3つの局面が、 この試合の流れを大きく左右したと言える。

両チームの選手起用と個人パフォーマンス

マンチェスター・シティ:柔軟な起用策と新戦力の台頭

シティは今季、新戦力や若手の起用が目立つが、この大一番でもグアルディオラ監督は大胆な采配を見せた。 中でも象徴的だったのが、アンカーにニコ・ゴンザレスを先発起用した点である。 これまでこのポジションはロドリが絶対的な存在として君臨してきたが、 今節は23歳のニコがその役割を担い、期待以上のパフォーマンスを披露した。

ニコは前半終了間際に貴重な追加点となるシュートを決めただけでなく、 高いパス成功率と複数回のタックル成功、インターセプトで中盤を制圧。 「ロドリ不在を感じさせない存在」と評されるほどの影響力を発揮し、 グアルディオラが「ミニ・ロドリ」と呼ぶ理由を証明した。

守備陣では、本来MFであるマテウス・ヌネスを右SB、若手のニコ・オレイリィを左SBで起用するという 意外な布陣を採用。ヌネスは攻撃的SBとして積極的に高い位置を取り、先制点となるクロスを供給。 オレイリィはサラー対応という難しいミッションを与えられながらも、 スピードと対人の強さで応え、サラーをほぼ完封した。

攻撃陣で最も光ったのは、やはりジェレミー・ドクだ。 シティ100試合目の出場となった節目のゲームで、PK奪取と3点目のスーパーゴールという結果を残し、 この日のMVPに相応しいパフォーマンスを披露した。 ハーランドもPK失敗を引きずらず1ゴールを挙げており、得点ランキングトップを快走している。

GKドンナルンマも、後半のソボスライの強烈なミドルシュートを弾き出すなど、 要所を締めるセーブでクリーンシートに貢献。エデルソンに代わる新守護神として、 すでに高い安定感を示している。

リヴァプール:起用の誤算と新戦力の苦戦

一方のリヴァプールは、スロット新監督のもとで大きな戦術改革と補強を進めているが、 今回の選手起用は結果的に裏目に出たと言わざるを得ない。 直近のアストン・ヴィラ戦、レアル・マドリード戦とほぼ同じメンバーで臨み、 コンディション面での疲労が見える中、ハイテンポなシティに押し込まれる展開となった。

GKには正守護神アリソンではなく新加入のママルダシュヴィリが起用され、序盤にはハーランドのPKをストップする ビッグプレーを見せたが、最終的には3失点。右SBのブラッドリーは経験豊富なアーノルド不在の穴を埋める形で起用され、 ドクとのマッチアップで苦戦を強いられた。

センターバックのファン・ダイクとコナテのコンビは、セットプレーから一度は同点ゴールを挙げたものの、 オフサイド判定で取り消し。また、ファン・ダイクはニコのシュートが当たってゴールになるなど、 守備面ではアンラッキーな場面にも絡んでしまった。

中盤のマクアリスター、グラフェンベルフ、ソボスライのトリオは、個々の能力は高いものの、 シティの中央圧縮とプレスによりパスコースを封じられ、ビルドアップの起点として十分に機能したとは言えない。 後半にソボスライをサイドに流す修正も、一定の改善は見られたが、試合全体をひっくり返すほどのインパクトには至らなかった。

前線のサラーは、オレイリィとのマッチアップとシティのサイド圧力により、 ドリブル成功0という厳しいスタッツに終わる。ヴィルツもポジションチェンジを繰り返しながら突破口を探ったが、 シティのブロックを崩し切ることはできなかった。

まとめ

この試合は、グアルディオラ監督率いるマンチェスター・シティが、 戦術面・ゲームプランの両方でスロット新監督のリヴァプールを上回った一戦だった。 シティは柔軟なポジショニングと中央への人数集中、そして計算されたハイプレスによって主導権を握り、 ターニングポイントとなる局面をことごとく制した。

一方のリヴァプールは、守備ブロックを中央に寄せる対策もシティに攻略され、 攻撃面でも人員配置や疲労の影響から持ち味を発揮し切れなかった。 スコア以上に内容面で差がついたことは否めず、王者にとっては課題の残る黒星となったと言える。

ただし、同点ゴールが取り消された場面や、ガクポの決定機など、 いくつかの局面が違う結果になっていればスコアはもう少し接近していた可能性もある。 その意味では「3-0というスコアほど一方的ではなかった」という見方もできる試合だった。

リヴァプールが巻き返すためには、新指揮官の戦術浸透と選手間の連携向上、 そしてコンディション管理が今後の大きなテーマとなるだろう。 一方、マンチェスター・シティは多彩な戦術オプションと新戦力の台頭によって層の厚さを示し、 首位争いに向けて大きな弾みをつけた一戦となった。

参考情報

本記事の内容は、当該試合の映像および各種戦術分析記事・マッチレポートをもとに構成しています。

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