2025年10月14日 日本代表 vs ブラジル代表(3-2)分析レポート

投稿日:2025年11月19日  カテゴリー:試合分析

2025年10月14日 日本代表 vs ブラジル代表(3-2)分析レポート

2025年10月14日、東京スタジアムで行われた国際親善試合(キリンチャレンジカップ)において、日本代表はブラジル代表に3–2で逆転勝利を収めました。この試合は日本代表が過去13度対戦で一度も勝てていなかったブラジルから挙げた初勝利となる歴史的快挙です。以下では、両チームの戦術、勝敗を分けたポイント、選手の起用とパフォーマンス、そして両監督の采配について詳細に分析します。

戦術分析

日本代表(森保一監督)

森保ジャパンは主力数名を欠く中で3バックを採用し(守備時は5バック)、中盤にコンパクトな5-4-1のブロックを形成してブラジルのポゼッションに対応しました。前半はこの守備ブロックが一定の機能を果たしつつも、ブラジルの急激な攻撃のテンポアップに対応しきれずに2失点を喫します。攻撃面では両ウィング(右に堂安律、左に中村敬斗)が高い位置を取り、久保建英と南野拓実がインサイドハーフからサポートする形で速攻を狙いました。序盤には中村や佐野海舟のシュート、久保のドリブル突破から上田綺世が合わせる決定機を作る場面もありましたが、ブラジル守備を崩し切るには至らず前半は好機が限られました。

後半、森保監督は守備を「構える」姿勢から相手陣内で積極的にボールを奪いに行く守備へと戦術を転換します。実際、ハーフタイム直後から日本は前線からプレッシングを強め、堂安・鎌田・上田・南野らが高い位置で連動してプレッシャーをかけることで相手のビルドアップにミスを誘発しました。このハイプレス戦術が奏功し、ブラジルのパスミスを南野が見逃さずゴールへ結び付けるなど、流れを引き寄せることに成功しました。また、攻撃面では途中投入した伊東純也を右サイドに配置し、彼のスピードとクロスでブラジル守備を脅かしています。このように後半は前線からの積極守備で主導権を握り、攻撃においてもより縦に速いスタイルで相手ゴールに迫りました。

ブラジル代表(カルロ・アンチェロッティ監督)

アンチェロッティ監督率いるブラジルは基本的に4バックの布陣を敷き、中盤ではカゼミロとブルーノ・ギマランエスの2人を軸に据えて試合の主導権を握りました。攻撃時には伝統的なサイドからの突破力を発揮し、日本の3バックの両サイドにできるスペースを集中的に狙っています。実際、前半26分にはビニシウス・ジュニオール、ギマランエス、ルーカス・パケタが中央でテンポよくパス交換を行い、右サイドバックのパウロ・エンヒキが果敢にオーバーラップして背後のスペースへ抜け出し、先制ゴールを挙げました。続く32分には、パケタが日本の最終ラインの裏へ正確な浮き球のスルーパスを送り、走り込んだガブリエル・マルティネッリが左足ボレーで追加点を奪っています。

守備面では、アンチェロッティ監督のブラジルはリスク管理を徹底した堅実な守備ブロックを築く傾向があります。データ上もPPDA(守備の強度を示す指標)の平均値が約11と高く、闇雲な前線からのプレスを避けて中盤でコンパクトに構える姿勢が見られます。実際この試合でも前半は高い位置から追い回すことなく、組織だった守備で日本の攻撃を抑えていました。しかし後半に入り、日本のハイプレスを受けるとビルドアップが「困難に感じた」とアンチェロッティ監督自身が語るように、最終ラインでミスが生じて失点を喫します。結果的に守備陣は後半、日本の勢いを止められずズルズルと2点を返され、リードを守ることができませんでした。

勝敗を分けたポイント

  • 前半のブラジル優位と2ゴール: 前半はブラジルが主導権を握り、26分と32分に立て続けにゴールを奪って試合を優位に進めました。日本の5-4-1守備ブロックの両サイドを突く攻撃から、右SBパウロ・エンヒキの先制点とFWマルティネッリの追加点が生まれ、0-2とブラジルがリードを広げました。
  • 南野拓実のゴールで流れを引き寄せる: 2点ビハインドで迎えた後半、日本は開始直後から反撃に出ます。迎えた52分(後半7分)、前線からのプレッシングでブラジルDF(ファブリシオ・ブルーノ)のバックパスミスを誘発し、こぼれ球を拾った南野が冷静に右足でゴール左隅へ流し込み1点を返しました。この南野のゴールにより日本側に勢いが生まれ、ブラジルは明らかに動揺します。
  • 伊東純也の投入と同点弾: 南野の得点直後、後半9分に久保建英に代えて伊東純也を右ウィングに投入。62分、右サイドの背後へ抜け出した伊東が鋭いクロスを供給し、逆サイドに走り込んだ中村敬斗が右足ボレーで合わせ、相手DFに当たりながらもゴールへ吸い込まれて2-2に。
  • セットプレーからの逆転ゴール: 70分、伊東のクロスが相手DFに阻まれCKを獲得。71分、その左CKを伊東が正確に供給し、後方から走り込んだ上田綺世がヘッド。GKに当たりながらもゴールに吸い込まれ、日本が3-2と逆転に成功しました。
  • 終盤の守備と逃げ切り: 日本は74分に相馬・田中・町野を投入して中盤と前線の運動量を維持。85分には小川と望月を投入し守備強度を補強。ブラジルの猛攻を鈴木彩艶の好セーブとCB陣の粘りで耐え切り、歴史的勝利を掴みました。

選手起用とパフォーマンス

日本代表

日本は主力の数名を欠く中、谷口彰悟を最終ライン中央に復帰起用し、渡辺剛・鈴木淳之介と3バックを形成。中盤では鎌田大地と佐野海舟がボランチを組み、攻撃陣には久保・堂安・南野・中村・上田ら欧州組が並びました。

後半に得点を挙げた南野・中村・上田はいずれも高いレベルの欧州クラブでプレーしており、その個の力を代表戦でも発揮。途中出場の伊東純也は右サイドから2得点を演出しMOM級の活躍を見せました。堂安もゴールこそ無かったものの2得点に関与する貢献。

守備では谷口彰悟が安定感抜群のプレーで最終ラインを統率。渡辺・鈴木の両CBもブラジルの快速ウインガーに対して粘り強く対応。GK鈴木彩艶は終盤の決定機をビッグセーブで阻止し勝利の立役者となりました。

ブラジル代表

ブラジルは韓国戦から8人を入れ替える大幅ローテーションで臨み、前半はカゼミロ・ギマランエスの中盤支配とウインガーの突破で日本を圧倒。先発起用のマルティネッリ、ヴィニシウス、パケタらが躍動しました。

しかし後半、日本のハイプレスに苦しみ、57分の3人同時交代(ロドリゴ・ジョエリントン・マテウス・クーニャ投入)が裏目に出てリズムを失いました。前半の立役者を同時に下げた采配にはブラジル国内でも批判が集まり、ロマーリオら往年の名手も疑問を呈する事態に。

終盤はリシャルリソンやエステヴァンらを投入して総攻撃に出ましたが、日本の集中した守備を崩せず。カゼミロは試合後、「前半が素晴らしかっただけに悔しい」と語るなど精神的な落ち込みも見られました。

監督の采配

森保一監督(日本)

森保監督は「思い切ってチャレンジする」積極姿勢を選手に要求。前半は意図が十分に伝わらず押し込まれたものの、ハーフタイムで建設的な議論を行い、守備方法とプレスの開始地点を明確化。後半のハイプレス戦術は見事にハマり、反撃の土台となりました。

54分の伊東投入は最大の勝因とも言える采配で、同点弾と逆転弾の両方を演出する働きに直結。さらにリード後も74分・85分に効果的な交代を行い、終盤のブラジルの圧力に耐える体制を作り、采配面でも森保監督が完勝した試合となりました。

カルロ・アンチェロッティ監督(ブラジル)

アンチェロッティ監督はこの試合を「W杯に向けた実験」とし、大幅ローテーションを敢行。前半は成功したものの、日本の後半の戦術変更に対応できずリズムを喪失。52分の失点後、57分に3人同時交代を行った采配は広く批判される結果となりました。

逆転を許した後、攻撃陣を続々投入して巻き返しを図りましたが、流れを引き戻すことはできず。試合後には「日本の勢いを止められなかった。良い教訓にしなければならない」とコメント。この敗戦はアンチェロッティにとっても苦い経験となりました。

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