サッカーで「仲間と協力する気持ち」を育てる心のトレーニング
サッカーはひとりでは勝てないスポーツです。テクニックやフィジカルがどれだけ高くても、仲間と協力する気持ちが弱いと、チーム全体の力は十分に発揮できません。ここでは、仲間と協力する気持ちを育てるための心の持ち方や、日常でできる具体的な工夫をくわしく解説します。
1. なぜ「仲間と協力する気持ち」がそんなに大事なのか
まず、協力する気持ちがあるチームと、そうでないチームの違いを整理してみます。
- パスの選択が変わる
自分だけで打開しようとするのか、よりよいポジションの仲間を使うのかで、攻撃の質が大きく変わります。 - 守備の強さが変わる
ひとりで守るのではなく、「カバー」「スライド」「声かけ」があると、相手の攻撃はかなりやりづらくなります。 - チームの雰囲気が変わる
ミスした仲間を責めるチームと、支え合うチームでは、プレーの思い切りやチャレンジの数が違ってきます。
つまり、仲間と協力する気持ちは、戦術・技術以前にチームの土台になるメンタルだといえます。
2. 協力する気持ちの「心の土台」をつくる考え方
2-1. 「自分 vs 仲間」ではなく「自分たち vs 相手」
イライラしたり、思い通りにいかないとき、つい意識が「仲間」に向いてしまいます。
- 「なんであそこでパスしないんだ」
- 「なんで自分だけ走ってるんだ」
この状態は、無意識のうちに「自分 vs 仲間」という構図になってしまっています。意識したいのは、
「自分たち(チーム) vs 相手チーム」 という視点です。
仲間はライバルではなく、同じゴールに向かう「味方」です。まず、この大前提を何度も自分に言い聞かせておくことが、協力する気持ちのスタートになります。
2-2. 役割の違いを理解する
サッカーにはポジションごとの役割があり、人によって得意・苦手も異なります。
- 守備が得意な選手
- パスセンスに優れた選手
- 運動量でチームを支える選手
- メンタル面で声をかけ続ける選手
「自分と同じようにできない仲間」を責めるのではなく、違いを生かし合うことでチームは強くなると考えてみてください。
2-3. 「勝つために、自分は何ができるか?」という問いを持つ
協力する気持ちを育てるシンプルな問いがあります。
「チームが勝つために、今の自分にできることは何か?」
この問いを持っていると、
- 「不満」より「行動」に意識が向く
- 「自分だけ良ければいい」から「チームのために」に変わる
- 自然と仲間の助けになりたい気持ちが出てくる
3. 日常からできる「協力する気持ち」を育てる習慣
3-1. あいさつ・声かけを大切にする
協力の土台は、シンプルなコミュニケーションです。
- 練習や試合の前後に、目を見てあいさつをする
- アップのときに「今日もよろしく」「がんばろう」と一言声をかける
- 帰るときに「おつかれ」「また次の練習で」と声をかける
こうした小さな積み重ねが、「一緒に戦う仲間」という感覚を強くします。
3-2. 仲間の良いところをメモしておく
協力したい気持ちは、「仲間の良さ」に気づくほど強くなります。おすすめは、ノートやスマホのメモに、仲間の良いプレーや特徴を書いておくことです。
- 「○○は守備の戻りが速い」
- 「△△は声かけがうまい」
- 「□□はトラップが正確」
イライラしたときほど、このメモを思い出すことで、「一緒にやってきた仲間」だと再確認できます。
3-3. 自分から「ありがとう」を先に言う
協力する気持ちを育てるうえで、「感謝」は非常に強い力を持っています。
- 良いパスを受けたとき:「ナイスパス!」
- カバーしてもらったとき:「助かった、ありがとう」
- 練習後にボールや道具を片付けている仲間に:「いつもありがとう」
自分から感謝を伝えることで、相手も「この人の役に立ちたい」と感じるようになります。
4. 練習・試合で使える具体的な声かけと行動
4-1. 注意するときの「言い方」を工夫する
仲間に何かを伝えるとき、内容よりも言い方でチームの雰囲気は大きく変わります。
意識したいポイントは、
- 人格ではなく「プレー」に対して話す
- 責めるのではなく「提案」にする
- 短く・具体的に伝える
例:
- ×「なんでそこで取られるんだよ!」
○「次は、もう少し早めにシンプルに行こう」 - ×「マークちゃんとしろよ!」
○「次のコーナーは、○番を一緒に見よう」
4-2. ミスした仲間へのリアクションを決めておく
ミスした仲間にどう接するかは、チーム全体の協力の雰囲気を左右します。
- 両手を軽く上げて「ドンマイ!」とジェスチャーする
- 走りながら「次一緒に取り返そう」と声をかける
- ハーフタイムや試合後に「さっきの場面、次こうしてみようか?」と冷静に話す
ミスした後、仲間に責められるか、支えてもらえるかで、その選手の思い切りは大きく変わります。
4-3. ナイスプレーは「すぐに」「具体的に」ほめる
協力する気持ちを強くするには、良いプレーを見逃さず、すぐに伝えることが大切です。
- 「今の戻り、めちゃくちゃ助かった」
- 「今のカバー、ナイス!」
- 「さっきのターン、うまかったね」
「ナイス!」だけでも良いですが、具体的に伝えることで、相手も「またやろう」と思いやすくなります。
5. よくある場面別:協力する気持ちを保つための心の持ち方
| 場面 | ありがちな心の動き | おすすめの心の持ち方・行動 |
|---|---|---|
| 自分はがんばっているのに、仲間が走っていないように見える | 「なんで自分だけこんなに走らないといけないんだ」と不満がたまる |
・「チームが勝つために、今の自分にできることは何か?」と問い直す ・プレーが切れたときに、「一緒に戻ろう」「次、前から行こう」と声をかける ・後で、落ち着いたタイミングで具体的に相談する(責め口調は避ける) |
| 自分のミスを仲間に責められた | 「もうパス出したくない」「あいつとはやりたくない」と心を閉ざす |
・いったん深呼吸して、感情と事実を分ける ・「自分のプレーのどこを直せば良くなるか?」に集中する ・あとで冷静になったときに、「さっきの言い方面は少しキツく感じた」と伝える |
| 自分がスタメンで、仲間がベンチにいる | 「自分が試合に出られればそれでいい」と思いやすくなる |
・ベンチの仲間にも「一緒に戦っている」と意識を向ける ・交代で入ってきた仲間に「頼む、思い切って行こう」と声をかける ・試合後に「ナイス交代だったよ」「途中からのプレー助かった」と伝える |
| ベンチスタートになった | 「どうせ自分は必要とされていない」と感じてしまう |
・「ピッチの外からチームを助ける役割もある」と考え直す ・相手の特徴や味方の動きを観察し、「出たときに何をするか」を整理する ・ピッチにいる仲間にポジティブな声をかけ続ける |
| 意見がぶつかる戦術の話し合い | 「自分の考えが正しい」「相手は分かってない」と感情的になる |
・最初に「チームとしてどうしたいか?」を共通ゴールとして確認する ・相手の意見を最後まで聞いてから、自分の意見を短く伝える ・結論が出ない場合は、監督やコーチに判断をゆだねて従う |
6. キャプテンでなくてもできる「チームを良くする行動日常」
協力する気持ちを育てる役割は、キャプテンだけのものではありません。どの立場の選手でも、次のような行動はすぐに始められます。
- 練習の準備や片付けを、黙って率先して行う
- 新しく入ってきた選手や、調子の悪い仲間にさりげなく声をかける
- 試合中に「よし、次行こう」「まだ行ける」と前向きな言葉を出し続ける
- ミスして落ち込んでいる仲間のそばに行き、一言でいいから支える
こうした小さな行動の積み重ねが、チーム全体の「協力する空気」をつくります。