サッカーで学ぶイライラ・怒りのコントロール術
審判の判定、ミス、相手のラフプレー…。
サッカーの中では、イライラや怒りを感じる場面がたくさんあります。
ここでは、サッカー選手として心を成長させるための「イライラ・怒りのコントロール方法」を、具体的にまとめます。
1. まず知っておきたい「怒り」の正体
怒りは「ダメな感情」ではありません。
怒りは本来、自分を守るためのサインです。
ただ、コントロールできない怒りは「イエローカード」「レッドカード」につながり、プレーの質も下げてしまいます。
- 怒りは「感じてもいい」けれど「行動は選ぶ」ことが大事
- 怒りは一瞬で爆発しやすいので、「間(ま)をつくる」スキルが必要
- 感情をコントロールできる選手ほど、最後まで冷静にプレーできる
2. 試合中にすぐ使える「イライラをおさえる行動」
① 3回深呼吸する(呼吸でクールダウン)
イライラした時、呼吸は浅く速くなります。
そこで、あえてゆっくり深く呼吸することで、心拍数を落とし、頭を冷やすことができます。
- 鼻から4秒かけてゆっくり息を吸う
- 2秒キープする
- 口から6秒かけてゆっくり息を吐く
- これを3セット行う
ファウルされたあと、判定に不満がある時、プレーが切れたタイミングでやると効果的です。
② 視線を変える(ピッチ全体を見る)
イライラしている時、人の視線は「近く」や「嫌なもの」に固定されがちです。
あえてスタジアム全体やピッチ全体を見ることで、気持ちが少し客観的になります。
- ボールから一度目を離し、ピッチ全体をサッと見渡す
- 空やスタンドを一瞬見るのもOK(プレーに支障のない範囲で)
- 「今、自分はどこで何をすべきか?」を頭の中で整理する
③ 自分のポジションの役割に意識を戻す
イライラしている時は、頭の中が「相手」「審判」「ミスをした味方」でいっぱいになります。
そこで、一度「自分の役割」に意識を戻します。
- DFなら:「今、ラインの高さはどうする? カバーに入るべきか?」
- MFなら:「次のパスコースは? プレスバックは間に合うか?」
- FWなら:「どこにポジションを取ればチャンスになるか?」
「怒り → 役割」に意識を切り替えることで、プレーの質を落とさずにすみます。
3. イライラをため込まないための「考え方」
① 「完璧な試合は存在しない」と知る
プロの試合でも、ミスや理不尽な判定は必ずあります。
「ミスも判定も含めてサッカー」と考えることで、心の負担は軽くなります。
② 「コントロールできること」と「できないこと」を分ける
イライラの多くは、「自分では変えられないこと」に心を使いすぎている時に起きます。
- コントロールできないこと:審判の判定、相手チームの態度、ピッチコンディション、天気
- コントロールできること:自分のプレー、自分の声かけ、自分の準備、自分の感情への向き合い方
怒りを感じたら、「これは自分で変えられる?変えられない?」と一瞬だけ考えてみてください。
変えられないなら、早めに手放す練習をしましょう。
③ 失敗を「成長の材料」としてメモする
試合後、イライラした場面をそのままにしておくと、次の試合でも同じことで怒りやすくなります。
ノートやスマホに、次の3つを書き出して整理しましょう。
- どんな場面でイライラしたか?(例:相手のラフプレー、パスミス、審判の判定)
- その時、自分はどう反応したか?(例:暴言、下を向いた、プレーが雑になった)
- 次はどうしたいか?(例:深呼吸してから声かけ、審判に冷静に伝える、すぐに切り替える)
これを続けることで、「イライラしやすいパターン」が見えてきます。
パターンが分かれば対処も上手になります。
4. 仲間やコーチとの関わり方で怒りをやわらげる
① 信頼できる「一言」を決めておく
イライラしている時、自分一人で気持ちを切り替えるのが難しいこともあります。
そんな時のために、仲間と「合図になる一言」を決めておくのも効果的です。
- 「切り替えよう!」
- 「まだ時間あるぞ!」
- 「次のプレー集中!」
お互いにその言葉をかけ合うことで、チーム全体の感情コントロール力が上がります。
② コーチには「正直な気持ち」を伝えておく
練習の時から、「自分はこういう場面でイライラしやすいです」とコーチに共有しておくと、 試合中に声かけやポジション調整などでサポートしてもらいやすくなります。
5. 状況別・イライラ対処法まとめ
よくあるシーンごとの対処法を表にまとめました。練習や試合前に一度見返しておくと役立ちます。
| 状況 | ありがちな反応 | オススメの考え方・行動 |
|---|---|---|
| 審判の判定に不満がある | 文句を言う、プレーが荒くなる |
深呼吸を3回。 「判定は変わらない。次のプレーで取り返す」と頭の中で言い聞かせる。 |
| 味方のミスで失点した | 怒鳴る、無言で不機嫌になる |
まずは自分の立ち位置・マークの確認。 その後で「次はこうしよう」と前向きな声かけをする。 |
| 相手がラフプレーをしてくる | やり返す、ヒートアップしてカードをもらう |
審判に冷静にアピールしつつ、自分はプレーで勝つことに集中する。 「カードをもらった方が損」と意識する。 |
| 自分の連続ミス | 下を向く、チャレンジしなくなる |
ミスを1回ごとにリセットするイメージ。 「次のワンタッチだけに集中」「次の守備だけに集中」と、目の前のプレーだけを見る。 |
| ベンチに下げられた時 | ふてくされる、無表情になる |
ベンチからの観戦を「学びの時間」と考える。 相手の弱点・味方の良い動きを観察し、次に出るときに生かすメモを頭の中で作る。 |
6. 練習でできる「怒りコントロールトレーニング」
試合だけでなく、普段の練習から感情コントロールの練習をしておくと、本番で力を発揮しやすくなります。
① わざとプレッシャーをかけた練習
- 時間制限をつけてパス回しをする
- ミスしたら小さなペナルティ(腕立てなど)を入れる
- その中で「表情を崩さない」「声を出し続ける」ことを意識する
② ミスしたあとの「ルーティン」を決める
毎回同じ行動をすることで、感情の切り替えがスムーズになります。
- ミス → 深呼吸1回 → 顔を上げる → 声を出す
- ミス → 両手で軽く太ももを叩いて気持ちをリセット → 次のポジションに走る
自分なりのルーティンを一つ決めて、毎回同じように実行してみてください。
7. まとめ:怒りを味方につける選手になろう
イライラや怒りは、サッカーの中で完全になくすことはできません。
しかし、
- 深呼吸や視線のコントロールで「間(ま)」をつくる
- コントロールできることに意識を向ける
- ミスや不満を「成長の材料」として整理する
- 仲間やコーチと協力して、感情コントロールの合図や声かけを共有する
こうした工夫を積み重ねることで、怒りに振り回される選手ではなく、怒りをエネルギーに変えられる選手になっていけます。
心を整える力は、技術やフィジカルと同じくらい、大きな「武器」になります。