サッカー選手のためのSMART目標の立て方
「もっと上手くなりたい」「レギュラーになりたい」など、大きな目標だけでは、毎日の行動につながりにくいことがあります。
そこで役立つのが、SMARTの法則を使った目標設定です。
SMARTは、次の5つの英単語の頭文字です。
| 英単語 | 意味 | サッカーの目標にするときのポイント |
|---|---|---|
| Specific | 具体的である | 「もっと頑張る」ではなく「何をどうするか」をはっきりさせる |
| Measurable | 測定できる | 回数・時間・割合などで、できたかどうかを数字で確認できる |
| Achievable | 達成可能である | 少し頑張れば届くレベルの目標にする |
| Relevant | 自分の目的に合っている | 自分がなりたい選手像やチームの目標につながっている |
| Time-bound | 期限が決まっている | 「いつまでに達成するか」を決める |
1. S(Specific):目標を「具体的」にする
ぼんやりした目標だと、行動がぼんやりしてしまいます。
まずは「何を」「どんな場面で」「どうしたいのか」を具体的に言葉にします。
具体例
- NG例:「守備を頑張る」
- OK例:「相手ボールになったら、5秒以内に全力で守備ポジションに戻る」
ポイントは、自分の行動レベルまで落とし込むことです。
「点を取りたい」だけでなく、「シュートを打つまでの動き」まで具体化していきましょう。
2. M(Measurable):数字で「測定できる」ようにする
目標が達成できたかどうかを、感覚だけでなく数字でも確認できるようにします。
「どれくらい」「何回」「何パーセント」という形で考えるのがコツです。
具体例
- 「1試合でインターセプトを最低3回狙う」
- 「練習後に10分間の自主トレを週4回行う」
- 「シュート練習で10本中7本を枠内に飛ばす」
数字にすることで、成長が見えやすくなり、モチベーションも保ちやすくなります。
3. A(Achievable):少し頑張れば「達成できる」目標にする
目標が高すぎると、すぐに「無理だ」と感じてしまい、続きません。
逆に、簡単すぎる目標だと成長につながりにくくなります。
目安となる考え方
- 「今の自分より、少しだけ上」をねらう
- 今すぐは無理でも、数週間〜数ヶ月あれば届きそうなレベルにする
- 練習や努力でコントロールできる内容にする(他人任せにしない)
具体例
- 高すぎる例:「来月までにいきなりプロレベルのフィジカルになる」
- ちょうど良い例:「来月までにシャトルランの本数を5本増やす」
自分だけで決めるのが難しい時は、コーチや信頼できる大人に相談しながら設定するのもオススメです。
4. R(Relevant):自分の「目指す姿」に関係しているか確認する
せっかく目標を立てるなら、自分の長期的な目標やチームの方針とつながっているかを考えましょう。
考えるポイント
- 自分はどんなプレースタイルの選手になりたいのか?
- チームで自分に求められている役割は何か?
- その目標は、その役割に近づくために役立つか?
具体例
-
ボランチを目指しているなら:
「ボールを受ける回数」「パスの選択肢」「守備のポジショニング」に関する目標を立てる -
サイドバックなら:
「オーバーラップの回数」「クロスの質」「1対1の守備」に関する目標を立てる
目標が「自分の将来なりたい姿」とつながっていると、苦しい練習にも意味を感じやすくなります。
5. T(Time-bound):必ず「期限」を決める
同じ目標でも、「いつまでにやるか」が決まっているかどうかで、集中力が大きく変わります。
期限を決めることで、行動のスピードが上がり、振り返りもしやすくなります。
期限の決め方の例
- 「今月中に」「3ヶ月後までに」「今シーズン中に」など、期間を決める
- テスト期間や大会スケジュールも考えながら、現実的な期限にする
- 短期(1〜4週間)と中期(3〜6ヶ月)を組み合わせて考える
6. サッカーにおけるSMART目標の具体例
ここでは、ふわっとした目標をSMARTの法則に沿って具体化した例を紹介します。
| もとの目標(あいまい) | SMARTにした具体的な目標 |
|---|---|
| 「守備を頑張る」 |
Specific: 切り替えの守備を早くする Measurable: ボールを失った瞬間から5秒以内に守備ポジションに戻ることを、1試合で5回以上意識する Achievable: 現在も3回程度はできているので、少し増やすレベル Relevant: チームから「運動量のあるボランチ」を求められている Time-bound: 次のリーグ戦3試合で継続して実行する |
| 「シュートをもっと決めたい」 |
Specific: 枠内シュートの精度を上げる Measurable: 練習での10本シュート中、7本以上を枠内に飛ばす Achievable: 今は5本前後なので、2本アップをねらう Relevant: ストライカーとしてチームの得点源になるため Time-bound: 1ヶ月後までに、3週連続で達成する |
| 「パスミスを減らしたい」 |
Specific: ショートパスの精度を上げる Measurable: ゲーム形式の練習で、自分のショートパス成功率を80%以上にする Achievable: コーチのアドバイスをもらいながら、週2回はパス基礎練習を追加する Relevant: 中盤の選手として、ビルドアップの安定が重要 Time-bound: 3ヶ月後までに安定して80%をキープする |
| 「もっと声を出したい」 |
Specific: 守備時のコーチングの声を増やす Measurable: ハーフコートゲームで、守備の場面ごとに最低1回は声かけをする(例:「右寄せろ」「ライン上げよう」など) Achievable: まずは練習のゲームからスタートする Relevant: センターバックとして、守備ラインをまとめる役割がある Time-bound: 今週の全ての練習試合で実行し、週末に振り返る |
7. SMARTの法則で目標を作るステップ
実際に自分の目標を作る時の流れを、ステップごとに整理します。
- まず「ざっくりした目標」を書き出す(例:「守備を強くしたい」)
- S(Specific):具体的な行動に言い換える(例:「切り替えの守備を速くする」)
- M(Measurable):数字で測れる形にする(例:「5秒以内に守備位置に戻る」)
- A(Achievable):今の自分から少し頑張れば届くレベルに調整する
- R(Relevant):自分のポジションやチームの目標とつながっているか確認する
- T(Time-bound):いつまでに達成したいか、期限を決める
- 最後に「1文の目標」として書き直す
紙やノートに書き出して、自分の部屋やノートの最初のページに貼っておくと、いつでも意識しやすくなります。
8. まとめ:SMARTな目標は「心」と「行動」をつなぐツール
SMARTの法則を使うと、「こうなりたい」という気持ちを、毎日の行動レベルにまで落とし込むことができます。
- Specific:あいまいな目標を、具体的な行動にする
- Measurable:数字で測れるようにして、成長を見える化する
- Achievable:少し頑張れば届くレベルに調整する
- Relevant:自分のプレースタイル・チームの目標とつなげる
- Time-bound:期限を決めて、行動にスイッチを入れる
サッカーの技術練習と同じように、目標設定もトレーニングです。
最初から完璧な目標を作ろうとせず、少しずつSMARTに近づけていきましょう。