交代ルールの基本と「延長戦・PK方式」での扱い — JFA/IFAB 競技規則の要点
交代の定義、手順、再入場の可否、延長戦・勝者を決定するためのキック(KFTPM=PK方式)での取り扱いを実務目線で整理する。
1. 交代の基本(定義と完了のタイミング)
- 交代とは、主審の許可を得て交代要員がフィールドに入り、元の競技者がフィールドを離れること。
- 交代は「交代要員がフィールドに入った瞬間に完了」。その時点で退いた競技者は再入場不可(大会規定で再入場を認める場合はその規定に従う)。
- 退場(レッドカード)となった競技者は交代で補充不可。以後は人数減で続行。
2. 交代人数・交代機会(スロット)
- 交代できる人数や交代機会の回数は大会規定で定まる(多くの公式戦では最大5人まで、交代機会は前後半で3回。ハーフタイムは機会に含めない)。
- 延長戦では、交代機会が1回追加される運用が一般的(人数枠や追加枠の有無は大会規定に従う)。
- 交代はプレーが停止中にのみ実施(ボールアウト、得点後、ハーフタイム等)。
3. 交代の手順(実務)
- 交代要員はタッチライン付近で準備(通常は第4の審判のチェックを受ける)。
- 主審が許可を示したら、交代される競技者は最も近い境界線から速やかに退出(安全上の理由で別の場所を指示される場合あり)。
- 交代要員は主審の合図後に入場。この瞬間に交代完了。
- 不要な遅延、ゆっくりとした退場、許可前の入場などは警告(遅延・手続違反)の対象。
4. ゴールキーパー(GK)に関する特記事項
- 競技中の任意の停止時に、フィールドプレーヤーとGKは役割を交代可能。ただし主審の許可が必要で、用具(GK用ユニフォーム等)も適合させる。
- GKが負傷等で続行不能の場合は、交代枠・機会が残っていれば交代可。枠がない場合はフィールドプレーヤーがGKを務める。
5. 再入場・一時離脱(装身具/出血など)
- 装身具・用具不適合や出血で離脱した競技者は、主審または第4の審判の再チェックと許可で再入場可(交代とは別扱い)。
- 交代で退いた競技者は原則再入場不可(再入場を認める特別規定の大会を除く)。
6. 懲戒との関係(カード)
- 交代手続きの遅延、許可前入場、退出を故意に遅らせる行為は警告。
- 交代に関わる不正(時間稼ぎ、相手ベンチ前での挑発等)は非紳士的行為として警告対象。
7. 延長戦での交代の扱い
- 延長開始前/延長前半ハーフタイムにも交代可(多くの大会で交代機会+1が付与)。
- 交代可能人数や追加枠の有無は大会規定に従う(例:90分での5人に加え、延長で追加機会のみ付与、あるいは追加人数枠を認める等)。
8. 勝者を決定するためのキック(KFTPM=PK方式)での扱い
- PK方式に参加できるのは、延長終了時点でフィールド上にいる競技者(一時的離脱者は主審の許可で復帰可)。
- PK方式開始時に人数が多い側は、相手と同数になるまで減員(誰を外すかを主審に申告)。
- 原則、PK方式中の交代は不可。ただし以下は例外:
- GKが負傷/退場した場合、チームに交代枠が残っていれば交代可。
- 枠がない場合でも、フィールド上の他の競技者がGKを務められる(役割変更)。
- PK方式中に退場が出ても補充不可。以降は少ない人数で継続。
- PKキッカーは1巡するまで同じ競技者が2回蹴れない(GKもキッカーになれる)。
9. よくある誤解の整理
- 「交代カードを掲示していれば勝手に入ってよい」→主審の許可が必須。許可前入場は警告対象。
- 「退いた選手は数分後に戻せる」→不可(大会規定で再入場を認める場合のみ例外)。
- 「延長に入れば必ず交代枠が増える」→大会規定次第(機会のみ追加など運用差あり)。
- 「PK方式で怪我人が出ても必ず交代できる」→交代枠が残っている場合のみ。枠なしは役割変更で対応。
10. コーチング用チェックリスト
- 大会規定の確認:交代人数、交代機会、延長の追加枠、再入場可否。
- 手順統一:最寄り退出→審判許可→入場の流れを全員で共有。
- 時間管理:交代機会を計画(ハーフタイム/飲水タイム/延長の区切り)。
- GKプラン:負傷時の交代/役割変更、PK方式に向けたキッカー順も事前設計。