家庭で子どもに自信を持たせるための声かけと行動例(サッカーコーチの視点から)
サッカーの上達には、技術や体力だけでなく、「自分ならできる」と思える自信が大きく関わってきます。
その自信は、グラウンドだけでなく、家庭での日々の声かけや関わり方から育まれます。
ここでは、家庭でできる具体的な声かけ・行動例を、サッカーコーチの視点から整理して紹介します。
1. 状況別・自信を育てる声かけの例
| 場面 | 避けたい関わり方 | 自信を育てる声かけ・行動例 |
|---|---|---|
| 試合・練習から帰宅したとき |
「今日はどうだった?勝った?」 「点取れたの?ミスしなかった?」 |
「おかえり。今日もお疲れさま」 「今日、自分で『ここは頑張れたな』と思うところはあった?」 「暑い(寒い)中、最後まで行っただけでも立派だよ」 |
| ミスや失敗が続いたとき |
「だから言ったでしょ」 「なんで同じミスばかりするの?」 「もっと真剣にやりなさい」 |
「うまくいかないときもあるよ。それでも続けているのがすごいところだよ」 「今日は何が難しかった?一緒に整理してみようか」 「ミスは成長の材料だね。次に活かすとしたら何を変えたい?」 |
| 頑張りが見えたとき |
「それくらいできて当たり前」 「上には上がいるよ」 |
「さっきの片付け方(自主練の仕方)、前より丁寧になってきたね」 「続けていること自体がすごいよ」 「やろうと思ったことをちゃんとやったのは立派だね」 |
| 落ち込んで帰ってきたとき |
「そんなことで落ち込まないの」 「もっと強くならないとダメだよ」 |
「今日はちょっと元気ないね。何かあった?」 「悔しいって感じるのは、それだけ本気でやっている証拠だよ」 「話したくなったら、いつでも聞くからね」 |
2. 自信を育てるための基本スタンス
2-1. 結果より「プロセス」と「姿勢」をほめる
子どもの自信は、「勝った・負けた」「点を取れた・取れなかった」という結果だけで評価されると、
非常に不安定になります。
大切なのは、「どのように取り組んだか」「どんな姿勢でチャレンジしたか」を認めてあげることです。
例えば、次のような言い方です。
- 「雨の中でも、最後まで集中していたね」
- 「今日はあきらめずに何度もボールを追いかけていたのが良かったよ」
- 「うまくいかなくても、表情を崩さずにプレーしていたのは立派だった」
2-2. 能力ではなく「成長のプロセス」に目を向ける
「天才」「センスあるね」といった言葉は、一見ほめ言葉ですが、
子どもによっては「できないときはダメな自分」と感じやすくなります。
それよりも、努力・継続・工夫といった「プロセス」をほめる方が、自信と粘り強さが育ちます。
- 「前よりトラップが落ち着いてきたね。練習してきた成果が出ているよ」
- 「最近、家でもボール触っているから、その積み重ねがきいてるね」
- 「うまくいかなかったときに、自分で考えてやり方を変えていたのがとても良かった」
3. 家庭でできる具体的な声かけの工夫
3-1. 「観察+具体的な言葉」で伝える
「すごいね」「えらいね」だけでは、子どもは「何が良かったのか」がわかりません。
実際に見えた行動とセットで伝えると、自分の強みを自覚しやすくなります。
おすすめのフォーマットは、次のような形です。
- 「◯◯していたところが、△△でよかったよ」
具体例:
- 「試合で、味方がミスしても責めずに声をかけていたところが、チームを助けていてよかったよ」
- 「朝、自分から起きて準備していたところが、自立してきた感じがしてすごく良かった」
- 「練習で怒られても、すぐに切り替えていたところが、強くなったなと感じたよ」
3-2. 比較ではなく「過去の自分」との違いを伝える
他の子と比較すると、一時的なやる気は出ても、長期的には自信を削ってしまうことがあります。
比較の対象は、「友だち」ではなく「過去の自分」にするのがおすすめです。
- 「半年前と比べると、走るフォームがきれいになってきたね」
- 「前はすぐにイライラしていたけど、最近はグッとこらえているのが分かるよ」
- 「最初はリフティング3回だったのに、今は10回続くようになったね」
4. 行動で示す「あなたを大切に思っている」というメッセージ
4-1. サッカーの話を「聞き役」として楽しむ
自信を育てるうえで、「自分の話を真剣に聞いてもらえた」という経験は大きな力になります。
アドバイスをする前に、まずは「聞き手」になる時間を意識してみてください。
- 「今日の練習で、一番印象に残っている場面はどこ?」
- 「『ここはうまくいった!』って思ったプレーはあった?」
- 「逆に、『ここは悔しかったな』ってところは?どう悔しかった?」
子どもの言葉を遮らず、最後まで聞くこと自体が、
「あなたの気持ちや考えには価値がある」というメッセージになります。
4-2. 「存在そのもの」を肯定する一言
勝敗やプレー内容に関係なく、
「サッカーができる・できない以前に、あなたの存在が大事」というメッセージを伝えることも大切です。
- 「サッカーをしている姿を見るのが、単純にうれしいよ」
- 「結果はどうあっても、がんばっているあなたを見るのが好きだよ」
- 「サッカーをしてもしなくても、あなたが大切なことは変わらないよ」
5. 家庭でできる「小さな成功体験」を増やす工夫
5-1. ハードルを少し下げた目標設定
大きな目標だけを追い続けると、「できなかった」経験が増えすぎてしまいます。
「少し頑張れば届くくらいの小さな目標」を設定し、達成体験を積み重ねることが自信につながります。
例:
- 「今日はリフティング10回」ではなく「まずは5回を2セット」
- 「毎日30分自主練」ではなく「今日は5分だけボールタッチ」
- 「全部完璧にやる」ではなく「一つだけ意識してやってみる」
達成したときは、しっかりと認めてあげます。
- 「ちゃんと自分で決めたことをやり切ったね。それが一番すごいところだよ」
- 「今日は短い時間だったけど、集中してやっていたのがよかった」
5-2. サッカー以外の「得意」を見つける
自信はサッカーの中だけで育つとは限りません。
絵、工作、勉強、ゲームの工夫、片付け、家族への気配りなど、
「この子らしい良さ」が活きる場面を見つけてあげることも、とても重要です。
- 「人の話をよく聞いているところは、サッカーのときの『状況判断』にもつながるね」
- 「弟(妹)に優しくしているところ、すごくいいなと思って見ているよ」
- 「宿題を自分からやっていたね。その集中力はサッカーにも活かせるね」
6. 保護者の「一言」が子どもの心の土台になる
子どもにとって、コーチやチームメイトの言葉ももちろん大切ですが、
一番深く残るのは、やはり家庭での日常的な言葉と態度です。
自信を育てる関わり方のポイントを、最後にもう一度まとめます。
- 結果よりも、チャレンジ・努力・姿勢を具体的にほめる
- 他人と比べず、「過去の自分」との成長に目を向ける
- 「聞き役」になり、気持ちや考えを最後まで聴く時間をつくる
- サッカーの有無に関係なく、存在そのものを肯定するメッセージを伝える
- 小さな目標を一緒に設定し、達成体験を積み重ねる
自信は、特別なイベントや一度の大きな成功だけで育つものではありません。
毎日の小さな言葉と行動の積み重ねが、
「自分には価値がある」「自分はやればできる」と感じられる心の土台をつくっていきます。
ぜひ、ご家庭ならではのスタイルで、子どもの自信づくりをサポートしてあげてください。