背中・体幹のダイナミックストレッチ|目的・やり方・ポイント・注意点
ダイナミックストレッチは、体を動かしながら筋肉と関節を温めるストレッチです。
サッカーでは、背中と体幹がうまく働くことで、キック・ヘディング・競り合い・方向転換などの動きが安定します。
ここでは「背中」と「体幹」に分けて、具体的な種目とポイントをまとめます。
1. 背中のダイナミックストレッチ
① スタンディング・アームスイング(肩甲骨まわり)
目的
- 肩甲骨まわりと背中上部を動かし、腕振りと上体のひねりをスムーズにする。
- スローイン、ヘディング、シュート時の上半身の連動を高める。
- 肩や首のこわばりをほぐし、ケガの予防につなげる。
やり方
- 足を肩幅に開き、背すじを伸ばして立つ。
- 両腕を肩の高さまで前に伸ばす。
- そこから左右に大きく開き、胸を張りながら後ろへ引くように腕を振る。
- 腕を前にクロス → 後ろに大きく開く動きを、リズミカルに20〜30回繰り返す。
ポイント
- 腕だけでなく、肩甲骨をしっかり動かすイメージを持つ。
- 胸をつぶさず、軽く張った状態を保つ。
- 呼吸を止めず、一定のリズムで行う。
注意点
- 勢いだけで腕を振らない(肩を痛める原因になる)。
- 腰を反らしすぎないように、お腹に少し力を入れて行う。
- 首や肩に痛みが出る場合は、振り幅を小さくして調整する。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 肩甲骨と背中上部を動かし、腕振り・上体のひねりをスムーズにしてケガを予防する。 |
| やり方 | 足を肩幅に開き、腕を前後に大きくスイング。前でクロス→後ろで開く動きを20〜30回行う。 |
| ポイント | 胸を張り、肩甲骨を寄せるイメージで行う。呼吸を止めない。 |
| 注意点 | 勢い任せに振らない。腰を反らしすぎない。違和感があれば振り幅を小さくする。 |
② 四つ這い胸椎ローテーション
目的
- 背中の中央〜上部(胸椎)の回旋をスムーズにする。
- シュートやロングキック時の上半身のひねり動作を出しやすくする。
- 腰だけでひねるクセを減らし、腰痛の予防につなげる。
やり方
- 肩の下に手、股関節の下に膝が来るように四つ這いになる。
- 右手を頭の後ろに添え、肘を床の方に向ける。
- そこから肘を大きく外側・上方向へ開きながら、背中を回す(目線も肘の方向)。
- 肘を下 → 上とゆっくり10〜12回動かし、反対側も同じように行う。
ポイント
- 骨盤が大きく動かないように、お腹に軽く力を入れておく。
- 回すのは「腰」ではなく「胸のあたり」という意識を持つ。
- 最後までねじり切るのではなく、気持ちよく伸びるところで止める。
注意点
- 腰に痛みがある場合は、ねじりを小さくするか中止する。
- 呼吸を止めず、動きに合わせて自然に吸う・吐くを繰り返す。
- 肘を勢いよく振り上げない(関節への負担になる)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 胸椎の回旋可動域を高め、キック・シュート時の上半身のひねりをスムーズにする。 |
| やり方 | 四つ這いで片手を頭の後ろに置き、肘を床→天井方向へ回す動きを10〜12回ずつ行う。 |
| ポイント | 骨盤を安定させ、胸のあたりから回す意識を持つ。気持ちよい範囲で動かす。 |
| 注意点 | 腰痛がある場合は回旋を小さくする。肘を勢いよく振り上げない。呼吸を止めない。 |
2. 体幹のダイナミックストレッチ
① ウォーキングランジ&ツイスト
目的
- お腹まわり・お尻・ももを同時に動かし、体幹と下半身の連動を高める。
- 前方へのステップや切り返し動作をスムーズにする。
- 股関節と体幹の安定性を高め、ひざ・腰のケガを予防する。
やり方
- 足を腰幅に開いて立つ。
- 右足を一歩大きく前に踏み出し、膝を90度程度まで曲げてランジ姿勢をとる。
- 両手を胸の前で組み、前に出した足側へ上半身をゆっくりひねる。
- ひねりを戻し、後ろ足で地面を蹴って立ち上がりながら、今度は左足を前に出して同じ動きを行う。
- 10〜12歩ずつ、全身を大きく使いながら前進する。
ポイント
- 前足の膝がつま先より前に出すぎないようにする。
- ひねるときは、背すじを伸ばし、胸から回す意識をもつ。
- ふらつかないスピードで、動きをコントロールしながら行う。
注意点
- ひざに痛みが出る場合は、ランジの深さを浅くする。
- 勢いでひねりすぎず、可動域の「8割程度」で止める。
- 足元が滑りやすい場所では行わない。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 体幹と下半身を同時に動かし、ステップや方向転換を安定させ、ケガを予防する。 |
| やり方 | 一歩前にランジ→前足側へ上体をツイストし、左右交互に10〜12歩ずつ前進する。 |
| ポイント | 膝がつま先より前に出ないように。胸を張り、胸からひねる意識で行う。 |
| 注意点 | 膝に痛みがあれば浅く行う。勢いでひねりすぎない。滑りやすい場所では実施しない。 |
② インチワーム(手歩き前屈)
目的
- 体幹前面・背中・ハムストリングスを同時に動かしながら伸ばす。
- プランク姿勢を通して、腹筋・背筋の安定性を高める。
- 前傾姿勢でのダッシュやプレス時の姿勢を安定させる。
やり方
- 足を腰幅に開いて立ち、膝を軽く曲げて前屈する。
- 床に手をつき、手を前方に歩かせていき、肩の下に手が来る位置まで移動してハイプランク姿勢(腕立て伏せの上体)になる。
- 体が一直線になるように、腹とお尻に力を入れて数秒キープする。
- その後、今度は足を小刻みに手の方へ歩かせていき、再び前屈姿勢に戻る。
- この流れを5〜8回繰り返す。
ポイント
- プランク姿勢では、腰が反ったり、落ちたりしないように注意する。
- 呼吸を止めず、前に歩くときに息を吐き、戻るときに吸うなどリズムを意識する。
- 急がず、全身をコントロールしながら大きな動きで行う。
注意点
- 腰痛がある場合は、前屈とプランクの深さを浅くして行う。
- 手首に負担を感じる場合は回数を減らし、ウォームアップ後半に入れる。
- 滑りやすい床ではマットを使用する。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 体幹と背中・もも裏を同時に動かし、前傾姿勢での動きを安定させる。 |
| やり方 | 前屈から手を前に歩かせてハイプランク→足を手の方へ歩かせて前屈に戻る動きを5〜8回行う。 |
| ポイント | プランク姿勢で体を一直線に保つ。呼吸を止めず、動きをコントロールする。 |
| 注意点 | 腰痛や手首の違和感があれば深さ・回数を調整する。滑りやすい床ではマットを使用する。 |
まとめ
背中と体幹のダイナミックストレッチは、上半身と下半身をつなぐ「軸」を整え、プレー全体の安定感を高めます。
トレーニング前や試合前のウォームアップに取り入れ、反動まかせではなくコントロールされた大きな動きで行うことが、パフォーマンスアップとケガ予防の両方につながります。