足首・ふくらはぎのスタティックストレッチの目的と正しいやり方
足首まわりやふくらはぎ(下腿三頭筋)は、サッカーにおいてダッシュ・切り返し・ジャンプ・着地など、あらゆる動きに関わる重要な部位です。
試合やトレーニング後にスタティックストレッチ(静的ストレッチ)を行うことで、筋肉の張りを落ち着かせ、コンディションを整えやすくなります。
1. 足首・ふくらはぎのスタティックストレッチの目的
| 目的 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 筋肉の緊張を落ち着かせる | トレーニングや試合で使い続けて縮みやすくなったふくらはぎの筋肉を、ゆっくり伸ばすことで過度な緊張を和らげる。 |
| 柔軟性・可動域の維持 | 足首の背屈(つま先を上に上げる動き)の可動域を保つことで、着地動作や切り返しの安定性を高める。 |
| ケガの再発予防 | アキレス腱炎やふくらはぎの肉離れの再発リスクを下げる一助になる。ただし痛みが強い場合は医師の判断を優先する。 |
| 疲労感の軽減サポート | 血流の循環を促し、張り感・重だるさを軽くするサポートになる(マッサージやアイシングと組み合わせるとより効果的)。 |
2. 基本のスタティックストレッチのやり方
ここでは代表的なふくらはぎのスタティックストレッチを2種類紹介します。
・腓腹筋(ふくらはぎの上の方)メイン
・ヒラメ筋(ふくらはぎの下の方・アキレス腱寄り)メイン
2-1. 立位ふくらはぎストレッチ(腓腹筋メイン)
- 壁やゴールポストなど、手をつける安定したものの前に立つ。
- ストレッチしたい側の脚を後ろに引き、反対の脚を前に置く(前後に足を開く)。
- 後ろのかかとを床につけたまま、前の膝をゆっくり曲げて体重を前に移動する。
- 後ろ脚のふくらはぎがじんわり伸びる位置で止め、そのまま20〜30秒キープする。
- 呼吸を止めずに、左右を入れ替えて同じように行う。
ポイント
- 後ろ脚の膝はまっすぐ伸ばしたままにする(膝が曲がるとヒラメ筋のストレッチに近づく)。
- つま先と膝の向きは、真っすぐ前を向ける(内側・外側にねじらない)。
- 上半身は前に倒れすぎず、やや前傾する程度にとどめ、背筋を軽く伸ばす。
- 「痛い」手前の「気持ちよく伸びている」と感じる強度で止める。
よくあるNG例
- かかとが床から浮いてしまい、アキレス腱〜ふくらはぎが伸びきっていない。
- 身体を前に倒すだけで、股関節から折れてしまい、ふくらはぎではなく腰ばかり伸びている。
- 反動をつけてバウンドさせる(スタティックストレッチでは反動は不要)。
2-2. ふくらはぎ下部ストレッチ(ヒラメ筋メイン)
同じく壁を使いながら、今度はヒラメ筋を狙って伸ばします。
- 壁の前に立ち、両手を壁につく。
- ストレッチしたい側の脚を後ろに引き、つま先をまっすぐ前に向ける。
- 後ろ脚のかかとは床につけたまま、後ろ脚の膝を軽く曲げる。
- 体重をゆっくり後ろ脚側に乗せ、アキレス腱〜ふくらはぎの下部が伸びる位置で20〜30秒キープする。
- 左右を入れ替えて同様に行う。
ポイント
- 立位ふくらはぎストレッチよりも、膝を「少し」曲げることで、ヒラメ筋に刺激が入りやすくなる。
- かかとが浮かない範囲で膝を曲げる。かかとが浮くと伸びが逃げる。
- 足首〜アキレス腱のラインを意識し、「まっすぐ後ろに引き伸ばす」イメージで行う。
2-3. 座位での足首・ふくらはぎストレッチ
疲れて立つのがつらい時や、試合後のロッカールームなどでは座位でのストレッチも有効です。
- 床に座り、片脚を前に伸ばし、反対の脚は楽な姿勢で曲げておく。
- 前に伸ばした脚の足裏にタオルやチューブをひっかけ、両端を両手で持つ。
- 膝を伸ばしたまま、つま先を自分の方へ引き寄せるようにしてふくらはぎを伸ばす。
- ふくらはぎ全体が伸びている位置で20〜30秒キープし、左右交互に行う。
ポイント
- 背中を丸めすぎないよう、軽く胸を張るイメージで座る。
- タオルを引く強さは「じわっと伸びる」程度にとどめる。
- 力づくで急に強く引かない。特にアキレス腱に違和感がある場合は慎重に行う。
3. スタティックストレッチを行うタイミング
- トレーニング・試合後:クールダウンの一環として行うのが基本。
- 就寝前:ふくらはぎの張りやむくみが強い選手は、軽いストレッチを習慣化するとコンディション調整に役立つ。
- ウォーミングアップ前は控えめに:試合前に行う場合は、短時間・弱めの強度にとどめ、その後にダイナミックストレッチや軽いジャンプ・ステップを入れて動ける状態にしておく。
4. 行う際の注意点
- 痛みがある場合は中止
アキレス腱やふくらはぎに鋭い痛みや違和感がある場合は、自己判断で強く伸ばさず、医師やトレーナーに相談する。 - 反動をつけない
スタティックストレッチでは、反動をつけずに一定のポジションでじっとキープする。反動をつけると筋肉や腱を痛めるリスクが上がる。 - 呼吸を止めない
息を止めると身体が緊張しやすくなる。鼻から吸って口から吐く、ゆったりした呼吸を意識する。 - 冷えすぎた状態でいきなり強く伸ばさない
冬場の屋外など、身体が冷えている状態では、軽く身体を動かしてからストレッチを始める。 - 片側だけで終わらない
気になる側だけでなく、必ず両側をバランスよく行う。左右差が大きくなると動きのクセにつながる。
5. サッカー選手にとってのポイントまとめ
- ダッシュ・切り返し・ジャンプが多い選手ほど、ふくらはぎのケアは重要。
- 「腓腹筋」「ヒラメ筋」「アキレス腱」を意識して、膝の曲げ伸ばしを使い分けると、狙い通りに伸ばしやすい。
- ウォーミングアップ前は短時間・軽め、トレーニング後はやや長めにキープするなど、タイミングによって使い分ける。
- ストレッチだけでなく、筋力トレーニング・セルフマッサージ・アイシングなどと組み合わせることで、より安定したコンディションづくりにつながる。
クールダウンに役立つツール
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