「そんなこともわからないの?」が子どもの自信と学習意欲を奪う理由と、やる気を引き出す言葉の例

投稿日:2025年12月12日  カテゴリー:子供のモチベーションを下げる親が言ってはいけない言葉

「そんなこともわからないの?」が子どもの自信と学習意欲を奪う理由と、やる気を引き出す言葉の例

サッカーの指導現場や家庭で、つい感情的になったときに出てしまいがちな言葉が「そんなこともわからないの?」という否定的なフレーズです。一見すると「前にも教えたのに」「基本的なことだから理解してほしい」という思いから出てくる言葉ですが、子どもの心には強い否定として突き刺さり、自信や学習意欲を大きく奪ってしまいます。

1. 「そんなこともわからないの?」が子どもの心に与える3つのダメージ

① 「自分はダメだ」というレッテルを自分に貼ってしまう

「そんなこともわからないの?」という言葉には、

  • 「これくらいできて当然なのに、できていない」
  • 「理解できないお前がおかしい」

というニュアンスが含まれています。これを何度も聞かされると、子どもは

  • 「自分は頭が悪いのかもしれない」
  • 「サッカーのセンスがないんだ」

と感じ、自分自身に「できない人間」というラベルを貼ってしまいます。一度この自己イメージが出来上がると、「どうせ自分には無理だ」という考えが癖になり、チャレンジする前から諦めるようになります。

② 質問すること・わからないと言うことを怖がるようになる

本来、上達に必要なのは「わからないことを素直に聞けること」です。しかし、「そんなこともわからないの?」と言われた経験がある子どもは、

  • 「質問したらまたバカにされるかもしれない」
  • 「わからないって言ったら怒られるかもしれない」

と感じ、わからないことを隠すようになります。その結果、

  • 戦術の意図が理解できないまま何となくプレーする
  • ポジショニングの意味がわからず、指示待ちになる

といった状態になり、上達のスピードが大きく落ちてしまいます。

③ 失敗や誤解を「学びのきっかけ」として活かせなくなる

「そんなこともわからないの?」という言葉は、失敗や誤解を

  • 「ダメな証拠」
  • 「怒られる原因」

として扱ってしまいます。本来であれば、ミスや理解不足は

  • 「何がわかっていないのかが見えるチャンス」
  • 「成長につながるヒント」

のはずですが、その前に感情的な否定の言葉が来てしまうと、子どもは「次はミスをしないこと」ばかりに意識が向き、

  • チャレンジを避ける
  • 安全なプレーだけを選ぶ

ようになってしまいます。

2. サッカー現場でよくある「そんなこともわからないの?」シーン

具体的に、どのような場面でこの言葉が出てしまうのかを見てみましょう。

  • ポジショニングがずれているときに
    「そんなこともわからないの? そこじゃないって何回言った?」
  • マークの受け渡しがうまくいかなかったときに
    「そんなこともわからないで試合出てるの?」
  • ビルドアップの形を理解していないときに
    「この前も説明したよね? そんなこともわからないの?」

指導者や保護者としては「大事なポイントだから理解してほしい」という思いがあるかもしれませんが、子ども側には

  • 「何度も言われたのにできない自分はダメだ」
  • 「考えるより先に怒られる」

という感覚だけが残り、プレーの内容ではなく、自分自身への否定として記憶されてしまいます。

3. 否定的な言葉を「やる気を引き出す言葉」に変える視点

重要なのは、「できていない事実」を責めるのではなく、

  • どこでつまずいているのか
  • 何が理解できていないのか
  • どう説明すれば伝わるのか

という原因とプロセスに目を向けることです。そのうえで、

  • 「一緒に整理しよう」
  • 「ここまで理解できているから、あと一歩だね」

というスタンスで関わることで、子どもは「責められている」のではなく「サポートされている」と感じ、学びに向かう力を取り戻していきます。

4. NGワードと、やる気を引き出す言い換え例

場面 NGワード(避けたい言葉) おすすめの言い換え例 ポイント
ポジショニングがずれているとき 「そんなこともわからないの?」 「今の場面、どこに立つイメージだった? 一緒に確認してみよう。」 問いかけで考えさせた上で、正しい位置を共有する。
マークの受け渡しがうまくいかなかったとき 「何回言ったらわかるの?」 「今のは誰を見ていて、どこで迷った? そこを整理できればもっと良くなるよ。」 「できていない」ではなく、「どこで迷ったか」を一緒に探す。
戦術の意図が理解できていないとき 「この程度もわからないでどうするの?」 「この形のどこが一番わかりにくい? そこをもう一回説明するね。」 理解度の差は自然なものと捉え、説明を調整する姿勢を見せる。
基本的な約束事を忘れているとき 「前にも教えたよね? なんで覚えてないの?」 「この約束事、大事だからもう一度整理しよう。覚えやすい言葉にしてみようか。」 責めるのではなく、「覚えやすい形に工夫する」方向に意識を向ける。
何度も同じミスを繰り返すとき 「また同じミス? ほんとにわかってるの?」 「同じ場面でつまずいているね。動画や図を使って一緒にイメージを作ろうか。」 ミスの繰り返しを「理解スタイルの問題」と捉え、教え方を変える。

5. 子どものやる気を引き出すための声かけのポイント

① 「できていない部分」だけでなく「すでにできている部分」もセットで伝える

否定的な言葉は、できていない一点だけを切り取って責める形になりがちです。代わりに、

  • 「さっきのプレー、ボールを失った後にすぐ戻っていたのはすごく良かった。」
  • 「あとはポジションの取り方をもう少し整理できたら、もっと楽に守れるよ。」

のように、良い点+改善点をセットで伝えることで、「自分にはできている部分もある」「だからこそ、次の一歩に進める」と感じやすくなります。

② 「わからない」と言える環境をつくる

子どもが安心して成長するためには、

  • 「わからないと言っても否定されない」
  • 「質問してもいい雰囲気がある」

ことが不可欠です。例えば、

  • 「わからないところがあったら、いつでも聞いていいからね。」
  • 「わからないって言えるのは大事な力だよ。」

といった言葉を日常的にかけておくことで、子どもは安心して質問できる土台を持つことができます。

③ 「一緒に考える」というスタンスを示す

上から評価する立場ではなく、

  • 「一緒に整理しよう」
  • 「一緒に答えを見つけていこう」

という姿勢を見せることで、子どもは「自分はダメだから教えられている」ではなく、「成長するためにサポートされている」と感じます。これが、やる気と安心感を同時に育てる関わり方です。

6. まとめ:「そんなこともわからないの?」を手放し、成長を支える言葉へ

「そんなこともわからないの?」という言葉は、指導者や保護者が焦りやもどかしさを感じたときに出やすいフレーズです。しかし、その一言は、

  • 子どもの自信を奪い
  • 質問する意欲をそぎ
  • 失敗やミスから学ぶチャンスを潰してしまう

危険な言葉でもあります。

だからこそ、

  • どこでつまずいているのかを一緒に確認する
  • わからないことを言葉にする力を認める
  • すでにできている部分にも光を当てる

といった関わり方に切り替えていくことが重要です。

サッカーは、理解と経験の積み重ねで上達していくスポーツです。「そんなこともわからないの?」という否定ではなく、「一緒に理解していこう」「ここまでできているから大丈夫」という支えになる言葉で、子どもの成長を後押ししていきましょう。

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