脂質の役割と上手なとり方ガイド(スポーツをする人向け)

投稿日:2025年12月13日  カテゴリー:栄養素が身体に及ぼす役割

脂質の役割と上手なとり方ガイド(スポーツをする人向け)

1. 脂質とは?

脂質は、体のエネルギー源・ホルモンの材料・細胞膜の材料などとして働く重要な栄養素です。
炭水化物やたんぱく質と同じ「三大栄養素」の一つで、1gあたり約9kcalと高いエネルギーを持っています。

2. 体の中での主な役割

役割 具体的な働き
高効率なエネルギー源 1gあたり約9kcalとエネルギー密度が高く、長時間運動や持久系スポーツのエネルギーとして利用される。
ホルモンの材料 テストステロンやエストロゲン、コルチゾールなど、多くのホルモンの材料となり、筋肉の合成・代謝・ストレス調整に関わる。
細胞膜の構成成分 全身の細胞を包む細胞膜は脂質でできており、細胞の形を保ち、栄養素や情報の出入りを調整する。
脂溶性ビタミンの吸収を助ける ビタミンA・D・E・Kといった脂溶性ビタミンの吸収を助け、目・骨・血液・抗酸化などの働きを支える。
体温・臓器の保護 皮下脂肪として体温を保ち、内臓のまわりの脂肪がクッションとなって衝撃から守る。

3. 脂質を多くふくむ食品と種類

脂質には大きく分けて「飽和脂肪酸」「不飽和脂肪酸(オメガ3・オメガ6・オメガ9など)」があり、種類によって体への影響が異なります。

種類 主な食品 特徴・ポイント
飽和脂肪酸 バター、ラード、牛・豚の脂身、チーズ、洋菓子 など とりすぎるとLDLコレステロール(いわゆる悪玉)が増えやすく、生活習慣病リスクが高まる。量のコントロールが大切。
一価不飽和脂肪酸(オメガ9) オリーブオイル、キャノーラ油、アーモンド など LDLコレステロールを下げる方向に働きやすいとされる。調理油として使いやすい。
多価不飽和脂肪酸(オメガ3) 青魚(さば・いわし・さんま・まぐろ)、えごま油、亜麻仁油、くるみ など 炎症をおさえ、血流を良くする方向に働くとされる。疲労回復やコンディション調整を考えるアスリートに重要。
多価不飽和脂肪酸(オメガ6) コーン油、大豆油、サラダ油、マヨネーズ、加工食品 など 必須脂肪酸で体に必要だが、加工食品の多い食事だと過剰になりやすい。オメガ3とのバランスが重要。
トランス脂肪酸 マーガリン、ショートニング、揚げ菓子、スナック菓子 など(一部の加工食品) 心血管リスクを高める可能性が指摘されており、できるだけ摂取量を少なくしたい脂質。

4. 1日にどれくらいが目安?

脂質は「全体のエネルギー摂取量の20〜30%程度」が一般的な目安です。
例)1日2,400kcalが目安の場合、脂質からのエネルギーは約480〜720kcal、
これは脂質量に換算すると約50〜80g程度になります(1g=9kcalとして計算)。

スポーツをしている人でも、脂質だけを極端に増やす必要はなく、
炭水化物・たんぱく質とのバランスをとりながら調整することが重要です。

5. 不足したときの注意点

  • エネルギー不足になりやすく、体重が落ちすぎる、スタミナが続かないといった状態につながる。
  • 脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収が悪くなり、骨・皮ふ・血液などのトラブルを招くことがある。
  • ホルモンバランスが乱れ、月経不順やコンディション低下などを起こす可能性がある。
  • 極端な低脂肪食は、集中力の低下やメンタル面の不調につながる場合もある。

「油は全部悪い」と考えて極端に減らすのではなく、
良質な脂質を適量とることが、パフォーマンス維持には欠かせません。

6. とりすぎたときの注意点

  • 高カロリーなため、エネルギー過多になりやすく、体脂肪の増加につながる。
  • 飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の多い食品をとりすぎると、LDLコレステロール上昇や動脈硬化リスクが高まる。
  • 胃もたれや消化不良を起こし、トレーニングや試合中のコンディションをくずす原因になる。
  • 揚げ物・スナック菓子・洋菓子中心の食生活は、栄養バランスの偏りを招きやすい。

7. 脂質を上手にとるためのポイント

  • 揚げ物ばかりに偏らず、「焼く・ゆでる・蒸す」などの調理法を組み合わせる。
  • 調理油は、オリーブオイルやキャノーラ油など一価不飽和脂肪酸の多いものを基本にする。
  • 週に数回は青魚を取り入れ、オメガ3脂肪酸を意識してとる。
  • 間食でとるなら、スナック菓子よりナッツやヨーグルトなど、栄養価の高いものを選ぶ。
  • 加工食品や外食が多い場合は、「揚げ物+マヨネーズ+スイーツ」のような脂質重ねを控える。
  • 試合前は、脂質をとりすぎると消化に時間がかかるため、量を控えめにして炭水化物中心の食事にする。

脂質は「減らせばよい」のではなく、種類と量のコントロールが鍵になります。
良質な脂質を上手に取り入れながら、体脂肪とコンディションのバランスを整え、
パフォーマンスが発揮できる体づくりにつなげていきましょう。

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