サッカー選手のためのビタミン・ミネラル入門|役割・多い食品・不足と摂りすぎの注意点
投稿日:2025年12月13日
カテゴリー:
栄養素が身体に及ぼす役割
サッカー選手のためのビタミン・ミネラル入門|役割・多い食品・不足と摂りすぎの注意点
ビタミンとミネラルは、体の中で「エネルギーを作る」「筋肉を動かす」「骨を強くする」「免疫を守る」などを支える重要な栄養素です。
たんぱく質・糖質・脂質のように“主役のエネルギー”になる栄養素ではありませんが、不足するとパフォーマンスが落ちたり、疲れやすくなったり、ケガや体調不良のリスクが上がるため、
サッカーのように走る・跳ぶ・ぶつかるスポーツでは特に意識したい分野です。
ビタミンとミネラルの全体像
| 分類 |
役割のイメージ |
主な例 |
不足すると起きやすいこと |
| ビタミン |
体の“調整役”(エネルギー産生・抗酸化・免疫などのサポート) |
B群、C、A、D、E、K など |
疲労感、回復遅延、肌荒れ、免疫低下など(種類により異なる) |
| ミネラル |
体の“材料とスイッチ”(骨・血液・筋収縮・神経伝達) |
鉄、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、カリウム、ナトリウム など |
貧血、けいれん、骨密度低下、集中力低下など(種類により異なる) |
サッカー選手が特に意識したいビタミン
| ビタミン |
体での主な役割 |
多い食品 |
不足のサイン・影響 |
摂りすぎ注意(主にサプリ) |
| ビタミンB群(B1/B2/B6/ナイアシン等) |
糖質・脂質・たんぱく質からエネルギーを作るサポート(代謝の補助因子) |
豚肉、レバー、卵、魚、豆類、玄米、乳製品 |
疲れやすい、口内炎、食欲低下など(種別で症状が変わる) |
水溶性は過剰が尿で出やすいが、サプリの過量は避ける |
| ビタミンC |
コラーゲン生成(腱・靭帯・皮膚)、抗酸化、鉄の吸収サポート |
柑橘、キウイ、いちご、ピーマン、ブロッコリー |
傷の治りが遅い、風邪を引きやすい、鉄の吸収効率低下 |
サプリで大量摂取すると胃腸不調(下痢など)の原因になり得る |
| ビタミンD |
カルシウム吸収・骨の健康、筋機能、免疫サポート |
鮭・サバなど脂の多い魚、卵黄、きのこ類(干し椎茸等) |
骨の弱さ、疲労感、筋力低下リスク |
脂溶性のためサプリ過剰に注意(高カルシウム血症など) |
| ビタミンA |
皮膚・粘膜の保護、視機能、免疫 |
レバー、卵黄、乳製品(レチノール)/緑黄色野菜(βカロテン) |
目や皮膚の不調、免疫低下 |
脂溶性。レバー+サプリ併用などで過剰になりやすい |
| ビタミンE |
抗酸化(運動ストレスによる酸化ダメージの抑制をサポート) |
ナッツ、種子、植物油、アボカド |
明確な欠乏は稀だが、偏食だと不足の可能性 |
サプリの高用量は出血リスク等が指摘されることがある |
| ビタミンK |
血液凝固、骨代謝 |
納豆、ほうれん草、小松菜、ブロッコリー |
出血しやすいなど(特殊な状況で問題になりやすい) |
抗凝固薬を使っている場合は摂取変動に注意(医師指示優先) |
サッカー選手が特に意識したいミネラル
| ミネラル |
体での主な役割 |
多い食品 |
不足のサイン・影響 |
摂りすぎ注意 |
| 鉄 |
血液(ヘモグロビン)で酸素を運ぶ。持久力の土台 |
赤身肉、レバー、かつお・まぐろ、貝類、卵、豆、ほうれん草(非ヘム) |
貧血、息切れ、パフォーマンス低下、回復遅延 |
サプリは自己判断で長期使用しない(過剰で胃腸不調・蓄積リスク) |
| カルシウム |
骨・歯、筋収縮、神経伝達 |
牛乳・ヨーグルト・チーズ、小魚、豆腐、小松菜 |
骨の弱さ、疲労骨折リスク、筋のけいれん傾向 |
サプリの過剰は他ミネラル吸収阻害の可能性。食事中心が基本 |
| マグネシウム |
エネルギー産生、筋収縮と弛緩、神経調整 |
ナッツ、海藻、豆類、玄米、カカオ |
こむら返り、疲労感、睡眠の質低下を訴える人も |
サプリの過剰は下痢など胃腸不調を起こしやすい |
| 亜鉛 |
たんぱく質合成、免疫、味覚、皮膚・粘膜の維持 |
牡蠣、赤身肉、卵、チーズ、豆類 |
傷が治りにくい、食欲低下、免疫低下 |
過剰で銅欠乏などのリスク(サプリ高用量に注意) |
| ナトリウム/カリウム |
体液バランス、神経・筋の働き(発汗で失われる) |
ナトリウム:食塩、味噌、梅干し/カリウム:果物、いも類、野菜、豆 |
発汗が多いと脱水・けいれん・パフォーマンス低下 |
ナトリウムは日常で摂りすぎやすい。汗が多い日は「運動中」に補給 |
不足を防ぐための「食べ方のコツ」(サッカー向け)
| 場面 |
狙い |
具体例 |
| 毎日の基本 |
ビタミン・ミネラルを“抜け”なく集める |
主食+主菜+副菜(野菜・海藻・きのこ)+乳製品 or 小魚をセットにする |
| 練習が多い日 |
発汗で失うミネラルと回復の材料を補う |
水分+塩分(状況でスポドリ)、食事で肉・魚・卵・豆+野菜+果物 |
| 鉄を意識したい時 |
吸収効率を上げる |
赤身肉・魚+ビタミンCの食品(柑橘やピーマン等)を同じ食事で組み合わせる |
摂りすぎ・不足の注意点(特にサプリ)
食事での過剰は起きにくい一方、サプリの併用で過剰になるケースは現場でも見ます。
特に脂溶性ビタミン(A・D・E・K)と鉄・亜鉛は、自己判断の高用量を避けるのが原則です。
疲労感や立ちくらみなどが続く場合は、食事改善だけでなく医療機関での評価(血液検査など)も検討してください。
| よくある落とし穴 |
起きること |
対策 |
| 「疲れる=鉄サプリ」と自己判断 |
原因が鉄以外(睡眠・エネルギー不足・感染等)でも過剰摂取になる |
まず食事を整え、必要なら検査で評価。サプリは期間と量を管理 |
| 脂溶性ビタミンを複数サプリで重ねる |
過剰リスクが上がる(蓄積しやすい) |
サプリは種類を増やさず、基本は食品から。医師・管理栄養士の監修が望ましい |
| 野菜・果物が少ない |
Cや葉酸、カリウムなどが不足しやすい |
副菜を2皿、果物を1皿の習慣化(難しければ冷凍野菜やカットフルーツも可) |
まとめ
- ビタミン=体の調整役、ミネラル=材料とスイッチ。どちらもサッカーの「走る・回復する・ケガを防ぐ」を支える。
- 不足はパフォーマンス低下や体調不良につながりやすい。特に鉄・カルシウム・ビタミンDは意識したい。
- 過剰は主にサプリで起きる。脂溶性ビタミン、鉄、亜鉛は自己判断の高用量を避ける。
まずは「主食+主菜+副菜+果物(または乳製品)」の形を毎日作ることが、ビタミン・ミネラル不足を防ぐ最短ルートです。
パフォーマンスが落ちている、疲労が抜けないなどが続く場合は、食事内容の見直しとあわせて専門家への相談も検討してください。