グルテンとは何か?体への影響と食品一覧|サッカー選手のためのグルテン基礎知識(避けるべき人・注意点)

投稿日:2025年12月13日  カテゴリー:栄養素が身体に及ぼす役割

グルテンとは何か?体への影響と食品一覧|サッカー選手のためのグルテン基礎知識(避けるべき人・注意点)

グルテン(gluten)は、小麦・大麦・ライ麦などに含まれるたんぱく質の一部で、 生地を「のびる」「ふくらむ」「もちっとさせる」性質を作る主要成分です。 パンがふわっと膨らむ、うどんがコシを出す、といった食感の中心にあるのがグルテンです。 一方で、特定の人(セリアック病・小麦アレルギーなど)では体に不利益を起こすことがあり、 「誰にとっても悪い」「抜けばパフォーマンスが必ず上がる」という単純な話ではありません。

グルテンの正体(体にとっての“役割”)

グルテンは栄養素として「必須の栄養」ではなく、食品の加工特性を作る“構造たんぱく”です。 つまり、体の中で「これがないと生きていけない」という意味の必須成分ではありませんが、 食品としてはエネルギー源(主に小麦由来の糖質)を摂りやすくするという意味で、食生活に強く関わります。

項目 内容
グルテンとは 主に小麦のたんぱく質(グリアジン+グルテニンなど)が水とこねる工程で網目構造を作ったもの パンの弾力、うどんのコシ
体にとっての位置づけ 必須栄養素ではない(不足という概念は基本的にない) グルテンを摂らなくても栄養は他で十分に補える
食生活上の意味 小麦製品は糖質補給がしやすく、運動量が多い人のエネルギー確保に便利 試合前のパスタ、補食のパンなど

どんな食べ物に含まれている?(食品一覧)

グルテンは「小麦・大麦・ライ麦」に含まれます。日常では特に小麦製品が中心です。 さらに、加工食品では「つなぎ」や「増粘」の目的で小麦成分が入っているケースがあります。

カテゴリ グルテンが含まれやすい食品 注意ポイント
主食(小麦) パン、うどん、ラーメン、パスタ、ピザ、そうめん 「小麦粉」「薄力粉」「強力粉」表記
粉もの・揚げ物 お好み焼き、たこ焼き、天ぷらの衣、フライのパン粉 衣やミックス粉に小麦が入る
菓子・スナック ケーキ、クッキー、ビスケット、ドーナツ、菓子パン 「小麦」表示が基本
加工食品・調味料 カレー/シチューのルウ、一部のソース、だしの素、加工肉(つなぎ) 少量でも症状が出る人は原材料確認が必須
大麦・ライ麦 麦入り食品、ライ麦パンなど 「麦」「大麦」「ライ麦」表記

体にどんな影響がある?(結論:人によって違う)

1)避けるべき人(医学的に“必須”レベル)

状態 グルテンで起こり得ること 対応
セリアック病(自己免疫疾患) 腸の粘膜が傷つき、栄養吸収が落ちる・下痢・体重減少・貧血などにつながる 厳格なグルテン除去が必要(医療指導のもと)
小麦アレルギー じんましん、呼吸器症状、消化器症状など(重症例はアナフィラキシー) 小麦そのものの回避が必要(医師の指示優先)
小麦依存性運動誘発アナフィラキシー(WDEIA) 小麦摂取後の運動で重いアレルギー反応が起こり得る 専門医の管理下で原因食品とタイミングを厳格管理

2)“場合によっては”調整が役立つ人(個人差が大きい)

セリアック病や小麦アレルギーではないものの、グルテン(あるいは小麦製品)で お腹の張り・腹痛・下痢・だるさなどを感じる人がいます。 これは「非セリアック・グルテン感受性」と呼ばれることがありますが、 実際には小麦に含まれる他成分(FODMAP:発酵性糖質など)や食事全体の量・脂質量が影響するケースもあります。

よくある悩み 考えられる要因 現実的な対策
パンや麺でお腹が張る グルテン以外(発酵性糖質、食べる量、早食い、脂質など) 試合前は消化が軽い主食(白米・おかゆ等)に寄せる/量とタイミングを調整
試合中にトイレが不安 緊張+食物繊維や脂質が多い食事、直前の大量摂取 試合当日は低脂質・低繊維・慣れた食事に統一(新しい食品は試さない)
なんとなく体が重い 睡眠不足、総エネルギー不足、鉄不足、脱水など多因子 まず生活・総摂取・水分・鉄などを点検。自己判断の極端な除去は最後

サッカー選手にとっての実務ポイント

パフォーマンス目的で「全員がグルテンフリーにすべき」ではない

グルテンフリーは、セリアック病や小麦アレルギーなどの人には必須ですが、 それ以外の人に一律で有利とは限りません。 むしろ、主食(小麦製品)を急に抜くと、エネルギー不足になって走行量や回復が落ちることがあります。

「取りすぎ」「不足」というより“偏り”に注意

グルテン自体に「推奨摂取量」や「不足症」は基本的にありません。 注意すべきは、小麦製品に偏りすぎて、野菜・豆・海藻・果物などが減り、 食物繊維、ビタミン・ミネラルが不足しやすくなることです。

状況 起こりやすい問題 対策
小麦製品ばかり(パン・麺中心) 食物繊維・微量栄養素不足、便通不良、体調の波 汁物に海藻・きのこ、主菜に豆、果物1品を追加
自己流グルテンフリーを開始 主食量が減りエネルギー不足、B群や鉄・食物繊維が不足しやすい 主食は米・いも・オートミール等で確保し、副菜を減らさない
試合前に新しい“グルテンフリー食品”を試す 胃腸トラブル(慣れていない食材・甘味料・食物繊維) 試合前は「いつもの食事」に固定。試すのは練習日のみ

グルテンを控えたい場合の代替(主食の置き換え例)

目的 おすすめ代替
日常で控えめにしたい 米・雑穀、いも、とうもろこし、そば(成分表示確認) 白米+おかず、さつまいも、コーン、そば
試合当日(胃腸を軽く) 白米、おかゆ、うどん(※小麦なので人により注意)、シンプルな餅 おにぎり、白米+卵、具の少ないおかゆ
補食(練習後) 米菓、バナナ、ヨーグルト、芋類 おにぎり+バナナ、さつまいも

まとめ

  • グルテンは小麦などに含まれるたんぱく質由来の成分で、食品の食感(弾力・コシ)を作る。
  • セリアック病・小麦アレルギーなどの人は、医学的に回避が必要。
  • それ以外の人は「必ず悪い」とは言えず、体調や胃腸症状がある場合に“個別調整”として検討する。
  • グルテン自体に不足症はなく、注意点は“偏り”と“エネルギー不足”。抜くなら代替の主食で量を確保する。
  • 試合前は新しい食品を試さず、胃腸が安定する「いつもの食事」で臨むのが安全。

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