他人を使って脅す言葉が自律性を失わせる理由と、理解を促す声かけへの変換方法

投稿日:2025年12月15日  カテゴリー:子供のモチベーションを下げる親が言ってはいけない言葉

他人を使って脅す言葉が自律性を失わせる理由と、理解を促す声かけへの変換方法

「他人を使って脅す言葉」とは

ここでいう「他人を使って脅す言葉」とは、第三者(監督・コーチ・親・チームメイト・先生など)を持ち出して、 子どもを従わせようとする言い方を指します。

  • 「コーチに言いつけるよ」
  • 「そんなことしてたらレギュラー外されるよ」
  • 「みんなに嫌われるよ」
  • 「〇〇くんはできてるのに、なんで君はできないの?」

自律性(自分で決めて動く力)を失わせる3つの理由

子どもの行動を変えるには即効性があるように見えても、長期的には自律性を弱めやすいのがこのタイプの声かけです。 主な理由は次の3つです。

起こりやすいこと 子どもの内側で起きる反応 長期的な影響
「怒られないため」に動く 目的が「回避」に変わる(恐れ・不安が主導) 主体性が育ちにくく、指示待ちになりやすい
納得ではなく「服従」になる 理解よりも“その場しのぎ”を選ぶ 学びが残らず、同じミスや態度が繰り返されやすい
信頼関係が揺らぐ 「この人は味方じゃない」と感じやすい 報告・相談が減り、隠す・嘘をつく方向に進むことがある

「理解を促す声かけ」に変える基本フレーム

脅しではなく理解を促すためには、事実→影響→選択肢→合意の順で言葉を組み立てると整理しやすくなります。

  • 事実:何が起きているか(評価を入れずに)
  • 影響:それによって何が困る/どうなるか
  • 選択肢:どうすれば良いか(2〜3案)
  • 合意:本人が選んだ行動を確認する

変換例:脅す言葉 → 理解を促す声かけ

避けたい言い方(脅し) 何が伝わりやすいか おすすめの言い換え(理解→行動)
「コーチに言いつけるよ」 恐怖・監視・不信感 「今のままだと練習が止まってしまう。どう直す?今ここで一回整えよう」
「レギュラー外されるよ」 不安で動く/萎縮 「試合で出るために必要な基準がある。今日はどこを改善して基準に近づけよう?」
「みんなに嫌われるよ」 孤立への恐怖 「今の言い方だと相手はどう感じると思う?次はどんな言い方に変える?」
「〇〇くんはできてるのに」 比較・劣等感・反発 「君はどこで止まった?うまくいった瞬間はあった?そこから作り直そう」
「言うこと聞かないならもう知らない」 見捨てられ不安 「困ってるのは“やり方”の部分だと思う。どのやり方ならできそう?一緒に決めよう」

子どもの理解を深める「質問」の使い方

理解を促す声かけの中心は質問です。詰問ではなく、整理を助ける質問にします。

目的 質問例 狙い
状況整理 「いま何が起きてる?」 事実に戻して落ち着かせる
影響理解 「このままだと何が困る?」 理由を自分の言葉で言えるようにする
選択肢づくり 「次はどうする?AとBならどっち?」 行動を“選べる”状態にする
行動の約束 「じゃあ次の5分は何を意識する?」 具体化して再現性を上げる

実践ポイント:叱るより「基準」を共有する

脅し言葉が出やすい場面は、指導側が「守ってほしい基準」をうまく言語化できていない時に起きがちです。 次のように基準を先に共有すると、脅しを使わずに済みます。

  • 練習の基準(例:切り替えは3秒以内、声かけは具体的に、集合は1回で)
  • 試合の基準(例:ロスト後の戻り、守備の立ち位置、周囲への情報提供)
  • 態度の基準(例:相手を傷つけない、道具を大切に、あいさつ)

まとめ

他人を使って脅す言葉は、短期的に行動を止める力はあっても、子どもの自律性(自分で選び、理解して動く力)を弱めやすい表現です。 事実→影響→選択肢→合意で言葉を組み立て、理解を促す質問を使うことで、 子どもが「納得して動ける」状態を作りやすくなります。

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