非紳士的な行為

投稿日:2025年10月27日  カテゴリー:サッカーのルール

「非紳士的な行為(Unsporting Behaviour)」とは — JFA/IFAB 競技規則の要点

試合の安全性とフェアプレーを損なう行為に対して科される警告(イエローカード)の代表理由の一つ。ここでは現場で迷いやすいケースを整理する。

1. 定義

非紳士的な行為とは、競技の精神に反し、不当な利益を得る相手に危険を及ぼすプレーの品位を損ねる行為の総称。主審は状況(意図・危険性・影響)を総合して警告を与える。

2. 代表的なカテゴリーと具体例

① プレー上の不当な利得

  • 戦術的ファウル(SPA):相手の有望な攻撃を意図的に止めるホールディング/プッシング/トリッピング 等。
  • 無謀なチャレンジ:過度ではないが配慮を欠いた当たりで相手を危険にするタックル。
  • 意図的なハンド:ゴールを狙う/攻撃を継続するための明白な意図で腕・手を使う(DOGSO手前のケースを含む)。
  • ゴールキーパーのボール放し妨害:キックやスローの動作中に故意に妨害して再開を遅らせる。

② 審判・相手・観客を欺く/挑発する行為

  • シミュレーション(ダイブ):接触の誇張・捏造による反則誘発。
  • 過度に挑発的なパフォーマンス:相手や観客を煽るジェスチャー、対戦相手の前で過度に威圧する振る舞い。
  • 外見の偽装・用具の不正使用:規則に反する装備で有利を得ようとする、ライン外での用具交換の遅延など。

③ ゲームの品位と安全を損なう振る舞い

  • ボールの持ち去り等による再開妨害(遅延の一形態):FK/スローイン/CKなどのリスタートを故意に乱す。
  • 壁の妨害:フリーキック時に人壁へ走り込んで接触・視界妨害を狙う。
  • 過度なゴールセレブレーション:安全や秩序を損なう行為(観客席への過度な侵入、挑発的ジェスチャーなど)。
  • スポーツマンシップの欠如:倒れた相手への不要な接触や、プレーと関係のない接触で小競り合いを誘発。

関連注意:異議(Dissent)再開の遅延距離不足(FRD)は独立の警告理由として扱われるが、実務上は「非紳士的行為」と同列に管理されることが多い。

3. 提示判断の目安(主審視点)

  1. 意図・危険性・影響:不当利得/相手の安全/試合の品位への影響を総合評価。
  2. 局面の価値:有望な攻撃(SPA)か、単なる接触か。
  3. 継続性:単発か、繰り返しか(繰り返しは警告対象)。

4. カードと再開

  • 非紳士的な行為は原則イエローカード(警告)。
  • 再開方法は反則の種類に依存(直接FK/間接FK/PK)。カード提示は懲戒であり、再開種別とは別管理。
  • 重大・暴力的・DOGSO等に該当する場合はレッドカード(退場)が検討される。

5. 現場でのコーチング要点

  • 戦術的ファウルの線引き:ボールへ行く意図が薄く、攻撃を止める目的が前面に出る接触は警告リスク。
  • シミュレーション対策:接触の誇張はカード対象。選手には正直なプレーを徹底。
  • リスタートの秩序:ボールキープや距離不足の小細工は全て警告候補。素早いセットと距離確保を習慣化。

※本記事はJFAが採用するIFAB「競技規則」に基づく要点整理。大会規定・最新通達がある場合はそちらが優先される。

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