サッカーのフリックターン完全ガイド|動き・使いどころ・コツ・注意点をコーチが解説
フリックターンは、足先やアウトサイド(場合によってはインサイド)でボールを「ひっかけて弾く(フリック)」ように動かし、 その勢いを使って素早く方向転換(ターン)するテクニックです。 相手の寄せを受けた瞬間に、ボールの位置を一気に入れ替えられるため、特に背負う局面・プレス回避・狭い局面の前向きターンで効果が出ます。 本記事では、フリックターンの基本動作、使いどころ、上達のコツ、注意点(失敗パターンと対策)を整理します。
フリックターンとは(定義と狙い)
フリックターンは、ボールを足に“乗せる”のではなく、足先やアウトサイドで短く鋭く弾くことで、 ボールを相手の届きにくい場所へ移動させ、同時に自分の身体の向きを入れ替えるターン技術です。 成功の鍵は「弾く強さ」と「弾いた直後の一歩目」です。
| 項目 | 要点 |
|---|---|
| 目的 | プレッシャー下で素早く前を向く/相手の逆を取り前進する/ボールロストを減らす |
| 特徴 | 動作が小さく速い/狭い局面で使える/弾いた瞬間に相手の足の届く範囲から外せる |
| 前提 | 相手との距離感(間合い)と、ターン後のスペース把握が必須 |
フリックターンの基本動作(フォームと手順)
コーチングの基準は「相手の寄せが来た瞬間に、ボールが逆側へ移動し、身体が先に回れている」ことです。 フリックは“技”に見えますが、本質はボールの位置替え+体の入れ替えです。
| 手順 | やること | 意識するポイント |
|---|---|---|
| 1 | 半身でボールを受け、ボールを体の近くに置く | 背負う局面では特に重要。ボールが遠いとフリック前に奪われる |
| 2 | 相手の寄せ方向(右/左)を捉える | 寄せてくる側へ弾くと奪われやすい。基本は“寄せの逆”へ |
| 3 | 足先またはアウトサイドでボールを短く弾く(フリック) | 弾く距離は30〜80cmが目安。回収できる距離に出す |
| 4 | フリックと同時に肩・腰を回してターン方向へ向く | ボールを弾いたら“見る”より先に体を回す。回転が遅いと潰される |
| 5 | 一歩目でボールを回収し、次のプレーへ(運ぶ/パス/シュート) | フリック後の加速が勝負。回収して止まらない |
使いどころ(試合で効く局面)
フリックターンは、相手が「奪える」と思って寄せてくる瞬間に刺さります。 逆に、背後にスペースがない・カバーが近い・身体を当てられやすい状況ではリスクが上がります。 “条件が揃った時に使う”ことで、成功率が安定します。
| 場面 | 狙い | 具体例 |
|---|---|---|
| 背負って受けた直後(ポストプレー) | 当たりを受ける前に前を向く | 相手が背中側から来た瞬間、逆側へフリックして一気にターン |
| 中盤のプレス回避 | 寄せの方向を外して前進 | 寄せてくる側と逆へ弾き、ワンタッチで前向きに |
| サイドで追い込まれそうな時 | タッチラインに詰むのを回避 | 外に追い込まれる直前に内側へフリックしてスペースへ出る |
| ゴール前の狭い局面 | DFの足を外してシュート角度を作る | 背負った状態から素早く弾いて前を向き、1〜2タッチでシュート |
| 相手が足を出しに来る瞬間 | 相手の踏み込みを利用して外す | 足が伸びた瞬間に逆方向へ弾き、相手のリーチ外へ |
コツ(成功率を上げる技術ポイント)
フリックターンは、派手に弾くほど難しくなります。重要なのは「小さく速く」「回収できる距離」「体が先に回る」の3点です。 以下を押さえると実戦での再現性が上がります。
| コツ | 理由 | 実戦での意識 |
|---|---|---|
| フリックの距離は“回収できる範囲”に限定 | 大きく弾くと回収前に奪われる | 30〜80cmを基準に、相手との距離で微調整する |
| 寄せの逆へ弾く(相手の足の届かない側) | 寄せ方向へ弾くと接触でロストしやすい | 相手が右から来たら左へ、左から来たら右へが基本 |
| フリックと同時に“体を先に回す” | 体が遅れると潰される | 弾いた瞬間に肩・腰がターン方向を向くように連動させる |
| 一歩目で相手の前に体を入れる | 回収の競り合いに勝てる | ボールだけ追わず、相手とボールの間に体を差し込む |
| 首振り(事前確認)で“出口”を作る | ターン後に迷うと2枚目に潰される | 受ける前に一度確認し、ターン後は運ぶ/落とす/パスの判断を速く |
| タッチの質を一定にする | 強さが毎回バラつくと実戦で使えない | 同じ足・同じ角度で弾く反復を行い、距離感を固定する |
注意点(よくある失敗と改善策)
フリックターンは速いぶん、判断を誤ると即ロストになりやすい技術です。 特に「背後にスペースがない」「カバーが近い」「強く当てられる」条件では、無理に使わない判断も重要です。
| よくある失敗 | 起きる問題 | 改善策 |
|---|---|---|
| 弾きすぎてボールが遠くなる | 回収前に奪われる/タッチラインを割る | 弾く距離を短く。まず30〜50cmで安定させる |
| 寄せてくる側へ弾いてしまう | 相手の足に引っかかりロスト | 寄せの方向を事前に確認。基本は逆方向へ |
| 体の回転が遅く、ボールだけ動く | 潰される/背中側で奪われる | フリックと同時に肩・腰を回す。ボールと体を“同時に入れ替え” |
| 背後にスペースがないのにターンする | ターン後に詰まり、2枚目に奪われる | 首振りで背後のスペースを確認。なければ落とす・キープに切替 |
| 接触が強い相手に無理に使う | 転倒・ファウル誘発・ボールロスト | まず体で守る(シールド)。安全に落とす選択肢も持つ |
| 連続で狙って読まれる | 対応されて潰される | 通常のターンやワンタッチ落としと混ぜて、相手に予測させない |
おすすめの組み合わせ(フリックターン→次の一手)
フリックターンは、成功した瞬間に相手の背後や横のスペースを取れていることが多く、その“優位”を活かす次の一手が重要です。 使いやすいセットを持つと、試合で迷いが減ります。
| 組み合わせ | 狙い | ポイント |
|---|---|---|
| フリックターン → 2歩運ぶ → パス | 前進して数的優位を作る | 回収後に止まらない。2歩で景色を変えてから味方を使う |
| フリックターン → ワンタッチ落とし | プレスを外して安全に展開 | カバーが近い時に有効。ターンで相手を外し、即落としてやり直す |
| フリックターン → 横へずらしてシュート | ゴール前で角度を作る | DFの足を外した後、シュートコースが空いた瞬間を逃さない |
| フリックターン → 逆サイドへ展開 | 密集を外して大きく前進 | ターンで視野を確保し、遠いサイドの味方へ展開して一気に押し上げる |
まとめ|フリックターンは「小さく速く入れ替える」プレス回避の武器
フリックターンは、プレッシャー下でボール位置と身体の向きを一瞬で入れ替え、前を向くための実戦的なターン技術です。 成功の鍵は、回収できる距離で弾くこと、寄せの逆へ弾くこと、そして体が先に回ることにあります。 さらに、ターン後の出口(運ぶ・落とす・パス・シュート)を事前に持つことで、試合での安定感が大きく向上します。