プレスに行っても相手に時間を与える原因と改善策|タイミング・角度・連動で“効く守備”にする
「プレスに行ったのに相手に余裕を与えてしまう」問題は、走力や気持ちの不足ではなく、 タイミング・アプローチ角度・減速と間合い・味方との連動(スライド/背後管理)が噛み合っていないことが主因です。 1人が頑張って前へ出ても、周囲が連動していなければ相手は簡単に外し、結果として“時間を与えるプレス”になります。 この記事では、プレスが効かない構造を分解し、適切なタイミングと連動の作り方を整理します。
なぜプレスが効かず「時間を与える」のか:典型パターン
相手に時間が生まれるのは、プレス側が相手の選択肢を削れていない状態です。 多くの場合、プレスは「近づくこと」ではなく「出させたいパスを限定して、奪える状況を作ること」が目的になります。
| 失敗パターン | 起きている現象 | 相手が得するポイント | 修正の方向性 |
|---|---|---|---|
| 出るのが遅い | 相手が前を向いて判断できる | 視野が確保され展開できる | 受けた瞬間(1stタッチ前後)に当てる |
| 勢いだけで突っ込む | 減速できず簡単に外される | ワンフェイントで時間を作れる | 減速→構え→誘導→奪うの順にする |
| 角度が悪い(正面) | 縦も横も出せる | 最短で前進できる | コースを切って“出したい方”へ追い込む |
| 連動がない(1人だけ) | 背後・横が空く | 簡単に3人目/フリーを使える | 後ろが押し上げて“網”を作る |
| 相手の逃げ道を消していない | ワンタッチで外へ逃げる | 時間を稼いで形を整えられる | 2枚目がパスレーンを管理する |
適切なプレスのタイミング:行くべき「トリガー(合図)」
プレスはいつでも行けば良いわけではありません。相手が最も不利になる瞬間(トリガー)に合わせると、少ない力で相手の時間を奪えます。 逆に、トリガーを外すと、プレスに行っても相手は落ち着いて外してきます。
| プレスのトリガー | 相手が不利になる理由 | プレス側の狙い | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 受け手の1stタッチが大きい | ボールが体から離れ守りにくい | 奪取 or ミス誘発 | 足だけ出さず身体から寄せる |
| 相手が背負って受ける | 前を向けず視野が狭い | 前進を止めて後退させる | 背後のカバー(入れ替わり防止)が必須 |
| パスが浮く/弱い(到達が遅い) | 受ける前に寄せる時間がある | 前を向かせない | 走り出しを早く(“受ける前”から) |
| ボール保持者がタッチ数増加 | 判断が遅れているサイン | 選択肢を削って詰ませる | 正面で止めず角度で追い込む |
| サイド/コーナーに追い込める | 逃げ道が少なくなる | ラインを味方に使い奪う | 中央への“逃げ道”だけは絶対に切る |
プレスの質を決める「角度・間合い・減速」
プレスで相手に時間を与える最大の要因は、近づくことに意識が偏り、角度でコースを消せていないことです。 プレスは「走って近づく」ではなく「出させたい方向へ誘導し、パスレーンを限定する」行為です。
基本原則
- 正面から突っ込まない:縦・横の選択肢が残り、相手に時間が生まれる
- 減速して構える:勢いのまま入ると外されて“時間”を作られる
- 中央を切る:危険度が高いエリア(中央)への前進を最優先で遮断
- 奪うのはトリガーの瞬間:タッチが長い、視線が下がる、サポートがない等
連動の重要性:プレスは「1人の追い込み」ではなく「網(ネット)」
1人が寄せても、背後や横の選択肢が生きていれば相手は余裕で回せます。 プレスが効くチームは、1人目が追い込むのと同時に、2人目・3人目がパスコースを消し、最終ラインが押し上げて圧縮します。 つまり、プレスは「個人戦」ではなく「集団戦」です。
| 役割 | やること | 成功の条件 | よくある失敗 |
|---|---|---|---|
| 1人目(ファーストプレス) | コース限定+トリガーで圧をかける | 中央を切って追い込み方向を作る | 正面突撃で相手に全方向を与える |
| 2人目(カバー/レーン管理) | 最短の逃げ道(縦・中)を消す | 身体の向きでレーンを隠す | ボールに寄り過ぎてレーンが空く |
| 3人目(回収/インターセプト) | 誘導されたパスを狙う | 予測して先に動ける距離感 | 受けてから動いて間に合わない |
| 最終ライン | 押し上げてライン間を圧縮 | 裏をケアしつつ“前進”できる | 下がり過ぎて中盤が広がる |
「連動」ができているかを判断するチェックポイント
連動がないと、プレスは相手の練習になります。以下のチェックで、今の守備が“網”になっているか確認してください。
- 1人目が出た瞬間に後ろが押し上げているか(距離が縮まらないと時間を与える)
- 中央(危険ゾーン)のパスレーンが消えているか(逃げ道があると余裕)
- 2人目が“ボールではなくレーン”を見ているか(寄り過ぎは失敗)
- 奪いどころが共有されているか(サイドに追い込んだら一気に)
- 裏のケアがあるか(背後が怖いとラインが上がれない)
改善の実戦ルール:プレスを“効く”形にする
試合中に意識しやすいように、プレスの原則を短いルールに落とし込みます。
| ルール | 狙い | 具体例 |
|---|---|---|
| 受ける前から走り出す | 相手の判断時間を消す | 弱いパスが出た瞬間にアプローチ開始 |
| 正面ではなく角度で追い込む | 選択肢を減らす | 中央を切り、サイドへ誘導 |
| 最後は減速して構える | 外されない | 2〜3m手前で減速し横移動可能にする |
| 奪うのはトリガーの瞬間だけ | 奪取率を上げる | タッチが大きい瞬間に身体から寄せる |
| 1人目が出たら全体で押し上げる | 網を作る | 最終ラインも5〜10m前進し圧縮 |
練習メニュー:タイミングと連動を身につける
連動は“声”だけでは作れません。ルール化して反復することで、試合でも自動化されます。
おすすめの3メニュー
-
3v3+フリーマン(制限付き)
守備は「サイドへ追い込む」を共通ルールにする。1人目が出たら全員が押し上げる条件を追加して圧縮を習慣化。 -
パスの質でトリガー練習
サーバーがわざと弱い/浮くパスを出す→受け手が触る前に寄せる。トリガーに反応するタイミングを固定化。 -
ラインアップ&スライド(ユニット練習)
ボールサイドへスライドし、背後・中央のレーンを消す練習。2人目の“レーン管理”を徹底する。
まとめ:プレスは「タイミング」×「角度」×「連動」で初めて効く
プレスに行ったのに相手に時間を与えるのは、トリガーに合っていない、 角度でコースを切れていない、そして周囲が連動せず網ができていないことが主因です。 1人目は“追い込む”、2人目は“消す”、3人目は“回収する”、最終ラインは“圧縮する”。 この役割が噛み合ったとき、相手の判断時間は奪われ、プレスは武器になります。