4-4-2（フラット）— 特徴・長所・短所
4-4-2フラットは、最終ライン4人＋中盤4人（フラット）＋前線2人で構成されるシンプルな陣形。横スライドの連動と二列のブロックで守備を安定させつつ、サイド起点の攻撃と二トップの連携でゴールに迫る。
1. 基本配置と狙い
- 最終ライン（SB・CB×2・SB）：幅を管理し、クロス対応と背後カバー。
- 中盤4（WG・CM×2・WG）：横一線で幅と厚みを確保。IH型ではなく、サイドハーフ（WG）が外を守り外を攻める。
- 2トップ（CF×2）：片方が起点、片方が深さ。ポスト→裏、デコイ→差し込みで二択を作る。
2. 守備の原則（ブロック&プレス）
- 二列ブロック：4-4の二列で中央を閉鎖し、外へ誘導。
- トリガー：相手CBの外向きタッチ／SBへのパスでサイド圧力（WGがスプリント、SBは縦を消す）。
- 横スライド：ボールサイドへ全体5〜8mコンパクト移動、逆サイドWGは絞って第二のCMに。
- ライン間管理：CMは背中（ライン間）を監視、CBは背後の深さを管理。
3. 攻撃の原則（前進&崩し）
- サイド起点：SB↔WGで幅を最大化し、外→内／内→外の二択を作る。
- 二トップ連携：CF①が降りて引きつけ→CF②がチャンネル（CB-SB間）へ斜め裏抜け。
- セカンド回収：CMはこぼれ球とリスタートの第一受け。逆WGはファーで待機。
- クロスパターン：ニア（CF）・ファー（逆WG）・カットバック（CM）の三レーンを埋める。
4. 役割（ライン別の要点）
- SB：守備は縦突破を遅らせ、攻撃はオーバーラップで幅維持。逆サイドは常にリスク管理。
- CB：チャンネル管理と空中戦。ライン統率（オフサイド・深さ）を徹底。
- CM：スライドの軸。ボールサイドは圧力、逆はライン間消しとセカンド回収。
- WG：守備は外を閉じ、攻撃は1対1・クロス・カットイン。逆サイドは絞りで中央数的管理。
- CF：ポストと裏、サイド流れのデコイ走、ロングキックのターゲット。
5. 長所 / 短所（早見表）
| 長所 | 短所 |
|---|---|
| 守備ブロックが作りやすく、中央が固い（可視性・役割が明快） | 中盤の縦関係がなく、ライン間（10番エリア）を使われやすい |
| サイド誘導→奪ってからのカウンターが鋭い（二トップの深さ） | ボール保持で内側の数的優位を作りにくく、中央前進が単調化 |
| 選手の適応が容易で運動量配分もしやすい | 相手の3枚中盤（4-3-3/3-2-5）に中央数的不利を抱えやすい |
| サイド攻撃の型（SB↔WG、クロス三レーン）が明確 | サイドで2対3を作られると後手に回りやすい（SBの露出） |
6. うまくハマる相手 / 苦手な相手
- ハマる：ビルドアップが遅い4バック／ウイングが張り切るチーム（外誘導→回収→速攻）。
- 苦手：偽9番やインサイドに降りる10番でライン間を使う相手／SBを内側に絞る可変3バック。
7. 対策と微調整（実戦での解法）
- 中央数的不利の緩和：片方WGを絞ってCM化（擬似4-1-4-1/4-3-3）に可変。
- ライン間対策：CMの縦スライドを明確化し、CFの一人をDM抑えの逆三角に。
- サイド露出対策：WGの帰陣速度を指標化（3秒ルール）、CBのチャンネルカバーを一段早く。
8. トレーニング（段階的）
- 4-4ブロック横スライド：マーカーとボールの位置関係で5〜8mの連動移動（60〜90秒×4）。
- サイド誘導→奪取：SB・WGの役割固定で、外切り→縦を殺し→奪う一連。
- 二トップ連携：ポスト→裏、デコイ→差し込みの二択を反復（左右各10本）。
- クロス三レーン：ニア（CF）・ファー（逆WG）・カットバック（CM）の走路を固定化。
9. KPI / 観察指標
- ライン間侵入許容回数（自陣30m内での前向き受け数）。
- サイド誘導成功率（中央→外へ追い出した回数/中央進入試行）。
- カウンター到達率（奪取後8秒以内にPA侵入まで至った割合）。
- クロス三レーン充足率（3人の走路が埋まっていた比率）。
10. よくある課題と修正
- ライン間が空く：CMの縦スライド遅れ → 逆WGを内側に絞る可変で3枚目を確保。
- SBが孤立：サイド2対3 → WGの帰陣基準（3秒）とCMの外ズレをルール化。
- 攻撃が単調：クロス一辺倒 → CFの降り、CMの第三者走で中央の一発縦を混ぜる。
- 二トップ間の距離過多：サポート分断 → 8〜12mを基準に横ずれで連結。
11. コーチングの合言葉（チェックリスト）
- 横：4-4の横スライド5〜8mを同時に。
- 外：中央は閉じて外へ誘導。
- 間：CMはライン間を常時監視。
- 二：二トップはポスト⇄裏の二択を提示。
- 三：クロスはニア・ファー・カットの三レーン。