ビルドアップ

投稿日:2025年11月8日  カテゴリー:戦術

ビルドアップ(Build-up)— 後方から秩序立てて前進し、優位を作ってゴールへ近づく戦術

ビルドアップは、GKや最終ラインから丁寧に攻撃を組み立てライン間やサイドで数的・位置的優位を作りながら前進していく戦術です。無理なロング一発に頼らず、相手のプレスを外して前向きの選手へボールを届け、決定機の下地を作ります。

1. どんな状況で使われる?(適用シーン)

  • 相手が前からハイプレスで来るが、技術と配置で外せる見込みがあるとき。
  • 自分たちが主導権を握りたい/試合を落ち着かせたい時間帯。
  • 相手の陣形にズレを生ませたい(引き出してから背後・内側を突く)。

2. 目的(何のために?)

  • 前進の確実性:安全に1列ずつ圧力を外してボールを運ぶ。
  • 優位の創出:数的優位・位置的優位(ライン間・背後)で前向きの受け手を作る。
  • 決定機の準備:ハーフスペース侵入や大外解放からフィニッシュ局面へ接続。

3. 特徴(プレー原則)

  • 幅・深さ・角度:タッチラインの幅、背後の深さ、三角・菱形でパスラインを確保。
  • 身体の向き:半身で受け、次の前進パスor持ち運びを即選択。
  • テンポ変化:引きつけてからのスイッチ/縦刺しで一気に前進。
  • レストディフェンス:失っても即回収できる背後ケアの配置。

4. 基本の構造(代表例)

配置の例 狙い・ポイント
3-2型(可変) CB3枚(or 偽SBで3枚化)+DMF&IHで2枚 後方で+1を確保しプレスを外す→IH/偽9へ縦刺し
2-3型(偽SB) CB2枚+SBが内側へ入りDMFと3枚 中央人数で中圧力を無力化→外を解放して前進
2-1+2(アンカー単独) CB2+アンカー1+IH2 アンカーをハブに内外へ展開、第三の選手でライン間を攻略

5. ポジション別の主な役割

ポジション 主な役割 キーポイント
GK 数的優位の起点/配球 プレスの向きを見て逆へ展開、背後の管理
CB 第一の組み立て/縦刺しor持ち運び 前向きのタッチ、相手FWを引きつけて空間創出
SB 幅取り or 偽SBで内側人数化 外中の出入りで優位なエリアへスイッチ
DMF(アンカー) 前進のハブ/セカンド回収 半身受け・背後認知・レストディフェンス統括
IH/OMF ライン間受け/第3の動き 受けて前向き、ワンツーや斜め刺しで加速
WG 大外の幅/内外の二択 外で広げて内を開ける/背後ランの脅威
CF 最終ライン固定/ポスト CBを釘付けにし、背後or足元の二択で崩しに接続

6. 代表的パターン(3つの型)

  1. 偽SBで中央過負荷→大外解放:SB内側化で中を数的優位→相手が絞る→WGへ展開。
  2. CBの持ち運び→IH縦刺し:FWを引きつけてライン間へ差し込む。
  3. オーバーロード&スイッチ:片側密集で引き寄せ→逆サイドへ速い展開。

7. プレスを外すトリガー(判断の合図)

  • 相手の足並みが揃っていない/1stラインの出足だけ先行。
  • 受け手が半身で前を向ける位置を確保できた。
  • タッチライン際で外→内の折り返し(壁)を作れる味方配置。

8. メリット/デメリット

メリット デメリット(リスク) 主な対策
主導権の確立/安定した前進 後方でのロスト→即被カウンター ロスト地点管理とレストディフェンスの配置
相手のプレスを疲弊させられる テンポが遅いと停滞・読まれやすい テンポ変化/縦刺し・背後ランの併用
フィニッシュ局面の質を高めやすい 高い技術・認知・共通理解が必要 原則の明文化と繰り返しのトレーニング

9. 成功指標(KPIの例)

指標 見るポイント
第1ライン突破率 自陣から中盤へコントロールして前進できているか
ライン間受け成功数 前向きで受けた後の前進/決定機への接続
最終3分の1進入回数 幅の解放やハーフスペース侵入の頻度
ロスト後5秒以内の奪回率 レストディフェンスと切替の質

10. トレーニング例(ドリル)

ドリル 目的 ポイント
GK+CB+DMF 対 2~3枚プレス 第一ラインの外し/出口の確認 半身受け・第三の選手・テンポ変化
2-3構造ビルド→サイド解放(制限付き) 偽SBの出入りと内外の使い分け 引きつけ→スイッチのタイミング固定化
持ち運び→縦刺し反復(CB&I H) CBのキャリーからライン間刺し FWの固定/IHの背後・足元の二択
レストディフェンス設置ゲーム(7v7+条件) ロスト時の即回収と背後保険 配置の約束事/役割分担の明確化

11. よくあるミスと修正

  • 横パスで停滞一度縦を刺す/持ち運んで相手を動かす。
  • 受け手が背中向き → 半身の立ち位置と前向きの準備を徹底。
  • ロスト即被カウンター → レストディフェンスの枚数・距離感を常に維持。

ビルドアップは、配置・認知・タイミングで前進を設計し、フィニッシュ局面の質を高めるための土台です。相手のプレス特性に合わせて構造を可変し、テンポ変化と背後ランを織り交ぜれば、安定と破壊力を両立できます。

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