ディフェンシブサード

投稿日:2025年11月10日  カテゴリー:サッカーのエリア

ディフェンシブサード(Defensive Third)とは?

自陣のゴールを守るうえで最もリスクが高く、判断の質が勝敗を左右するエリア。ここでの守備原則とビルドアップ原則を、現場で使える形で整理します。

1. 定義(ピッチの三区分)

ピッチを縦方向に3等分したとき、自陣側の3分の1が「ディフェンシブサード」。自分たちのゴールライン〜自陣ペナルティエリアを含む帯を指します(厳密な線引きは大会・分析基準で微差あり)。

区分 位置 主目的 キーワード
ディフェンシブサード 自陣ゴール側 1/3 失点回避/前進開始 守備ブロック・カバー・クリア・安全第一
ミドルサード 中央 1/3 奪回/前進継続 圧縮・誘導・スイッチ
アタッキングサード 相手ゴール側 1/3 得点創出 崩し・クロス・フィニッシュ

2. ディフェンシブサードの意味と価値

  • 最終防衛線の管理:ゴール前でのマーク/スペース管理の質が失点を直接左右する。
  • 攻撃の出発点:奪って終わりではなく、「安全に前進」できるかで主導権が変わる。
  • 心理的圧力への対処:時間・スコア・観客の圧力下での正確な技術と判断が求められる。

3. 守備時の主な役割(原則)

  • コンパクト化:最終ラインと中盤の距離を短く保ち、中央を締めて外へ誘導
  • 優先順位:①ゴールを守る(カバー)→②シュート/ラストパスの遮断→③ボール奪取。
  • ライン管理:背後のスペースを最小化。一列のズレは全員で合わせる(スライド・下がる・押し上げ)。
  • ボックス内の基準マーク優先・身体の向きはゴールとボールの両方を視野に入れる。
  • セカンドボール対応:クリア後の回収位置を事前に共有(ペナルティアーク周りのゾーン確保)。

4. 攻撃(ビルドアップ)時の主な役割

  • 安全第一の前進設計:GK・CB・DMが三角形(+SBで菱形)を作り、前向きの味方へ数的優位で運ぶ
  • リスク管理:中央で失うリスクを理解し、外→内の順で前進、無理なら大外/背後へ逃がす(ロング/クリアも選択)。
  • プレス回避の合図:逆サイドチェンジ、GKを使ったリセット一旦下げて引き出す(相手を動かして空間創出)。

5. ポジション別の要点(守備&前進)

ポジション 守備の要点 前進の要点
GK コーチングでライン統率/クロス対応/シュートストップの準備角度 第一ビルダー。トラップ方向・体の向きでプレスを外す。
CB 背後管理・カバーリング・遅らせる守備(時間稼ぎ) 縦パスの質と判断。内→外or外→内の順で前進の選択肢提示。
SB 大外の閉鎖・中へ切り込ませない身体の向き 幅の確保・内側レーン侵入で数的優位を作るスイッチ。
DM(6番) バイタル封鎖・セカンドボール回収・カバーシャドウ 前向きで受ける配置/ターンかワンタッチで前進のテンポ作り。

6. 典型的な失敗と対処

  • ラインのバラつき:一人だけ遅れる→合図語(押し上げ・下げる・寄せる)と役割を統一。
  • ボールウォッチ:マークを見失う→身体の向き(半身)視線の配分を徹底。
  • 中央での無理な前進:ロスト即失点→外回し・戻す・背後へ逃がすの優先順位を共有。
  • クリアの甘さ:中央へ短いクリア→タッチライン外・高く遠くの徹底、回収班の位置を決める。

7. トレーニング設計(例)

  • ブロック守備 8v7+GK:自陣ボックス幅。中央閉鎖→外誘導→クロス対応→セカンド回収の連続性。
  • プレス回避ロンド 6v3→6v4:GK含む菱形構造で前向きの味方に縦パス/即サポートを評価。
  • クリア&ラインアップ反復:クリア後3秒でラインを5m押し上げ、ファースト&セカンドの回収役割を固定/ローテ。

8. コーチングの合図語(共通言語化)

  • 「締める」=中央圧縮、「外へ」=サイドへ誘導、「背後注意」=ライン背後の警戒。
  • 「作り直す」=GK経由で再構築、「逆!」=サイドチェンジのトリガー。
  • 「時間を作る」=遅らせる守備/キープで味方の整列を待つ。

9. すぐ使えるチェックリスト

  1. 最終ラインと中盤の距離は適正か(コンパクト)?
  2. 中央は閉じて外へ誘導できているか?
  3. ボックス内でボールとマークを同時視野に入れているか?
  4. クリア後のセカンド回収位置は共有できているか?
  5. 前進時の安全な出口(GK/逆サイド/大外)を常に用意しているか?

※本記事はコーチング現場での実装を優先した要点整理です。チームの戦術・対戦相手の特徴に応じて細部は調整してください。

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