脂肪(脂質)|体づくりと健康に欠かせない栄養素
「脂肪=太る原因」というイメージが強いですが、脂肪は本来とても大切な栄養素です。
エネルギー源としてだけでなく、細胞膜やホルモンの材料にもなり、体の調子を整える役割も持っています。
ここでは、脂肪の働き・摂れる食品・不足や摂りすぎの影響をわかりやすく整理します。
1. 脂肪(脂質)の主な働き
- 効率の高いエネルギー源:1gあたり約9kcalと、糖質・たんぱく質(約4kcal)の約2倍以上のエネルギーを持つ。
- 細胞膜の材料:全身の細胞を包む膜(細胞膜)は脂質でできており、細胞の働きを保つために欠かせない。
- ホルモンの材料:性ホルモンや副腎皮質ホルモンなど、一部のホルモンは脂質(コレステロールなど)が材料になる。
- 脂溶性ビタミンの吸収を助ける:ビタミンA・D・E・Kは脂肪と一緒に摂ることで吸収されやすくなる。
- 体温調節・臓器の保護:体脂肪はクッションの役割を果たし、内臓を守り、体温を保つ働きがある。
「まったく脂肪を摂らない」のは逆効果で、適量をバランスよく摂ることが重要です。
2. 脂肪を多く含む食品
脂肪は、動物性・植物性・魚由来など、さまざまな食品に含まれています。
| 分類 | 食品例 | 特徴 |
|---|---|---|
| 植物油 | オリーブオイル、菜種油、えごま油、アマニ油、ごま油 など | 不飽和脂肪酸が多く、適量なら健康によいとされる。 |
| ナッツ・種実類 | アーモンド、くるみ、カシューナッツ、ピーナッツ、ひまわりの種 など | 良質な脂肪に加え、ビタミンEやミネラル、食物繊維も含む。 |
| 魚類 | サーモン、サバ、イワシ、ブリ、サンマ などの青魚 | EPA・DHAなどのオメガ3脂肪酸が豊富で、血液や血管の健康に役立つ。 |
| 肉類・乳製品 | 牛肉、豚肉、鶏肉、バター、生クリーム、チーズ など | 飽和脂肪酸が多め。摂りすぎると生活習慣病リスクが上がりやすい。 |
| 加工食品・お菓子 | スナック菓子、揚げ物、菓子パン、ケーキ、マーガリン など | 飽和脂肪酸やトランス脂肪酸が含まれることがあり、摂りすぎ注意。 |
日常では、植物油・魚・ナッツなどの「質の良い脂肪」を意識的に選び、揚げ物やお菓子は控えめにするのがおすすめです。
3. 脂肪が不足した場合の症状
極端な脂質制限ダイエットなどで脂肪が不足すると、次のような不調が出ることがあります。
- 乾燥肌・かゆみ:皮膚の潤いを保つための脂質が足りず、肌が荒れやすくなる。
- 髪や爪のツヤ低下:細胞膜の材料不足により、髪がパサついたり爪が割れやすくなる。
- ホルモンバランスの乱れ:脂質不足はホルモンの材料不足につながり、月経不順や体調不良を招くこともある。
- 疲れやすい・集中力低下:エネルギー源や細胞膜が不足し、全身のコンディションが落ちる。
- 脂溶性ビタミンの不足:ビタミンA・D・E・Kの吸収が悪くなり、目・骨・免疫などの不調につながる可能性。
「とにかく脂を避ける」のではなく、必要量をきちんと摂ることが大切です。
4. 脂肪を摂りすぎた場合の影響
一方で、脂肪はエネルギーが高いため、摂りすぎるとさまざまなリスクがあります。
- 体重増加・肥満:消費エネルギーより摂取が多い状態が続くと、体脂肪として蓄積される。
- 生活習慣病のリスク増加:特に飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂りすぎは、動脈硬化・心疾患・脂質異常症などのリスクを高める。
- 脂肪肝:肝臓に脂肪がたまり、肝機能に負担がかかる場合がある。
- 消化不良・胃もたれ:揚げ物やこってりした料理を続けて食べると、消化器への負担が大きくなる。
目安としては、総摂取エネルギーの20〜30%程度を脂質から摂ると言われることが多いです。
「量」と同じくらい、どの種類の脂肪を選ぶかも重要です。
5. まとめ:脂肪は「質」と「量」のバランスが鍵
脂肪は、エネルギー源としても、細胞膜やホルモンの材料としても欠かせない栄養素です。
しかし、極端な不足も、摂りすぎもどちらも体調不良の原因になります。
- 植物油・魚・ナッツなど、良質な脂肪を意識して選ぶ
- 揚げ物・スナック菓子・加工食品は「たまに・控えめ」にする
- 無理な脂質カットダイエットは避け、バランスよく摂る
「脂肪=悪者」ではなく、体づくりを支える大切なパートナーとして、上手に付き合っていきましょう。