脂肪(脂質)|体づくりと健康に欠かせない栄養素

投稿日:2025年11月22日  カテゴリー:5大栄養素

脂肪(脂質)|体づくりと健康に欠かせない栄養素

「脂肪=太る原因」というイメージが強いですが、脂肪は本来とても大切な栄養素です。
エネルギー源としてだけでなく、細胞膜やホルモンの材料にもなり、体の調子を整える役割も持っています。
ここでは、脂肪の働き・摂れる食品・不足や摂りすぎの影響をわかりやすく整理します。

1. 脂肪(脂質)の主な働き

  • 効率の高いエネルギー源:1gあたり約9kcalと、糖質・たんぱく質(約4kcal)の約2倍以上のエネルギーを持つ。
  • 細胞膜の材料:全身の細胞を包む膜(細胞膜)は脂質でできており、細胞の働きを保つために欠かせない。
  • ホルモンの材料:性ホルモンや副腎皮質ホルモンなど、一部のホルモンは脂質(コレステロールなど)が材料になる。
  • 脂溶性ビタミンの吸収を助ける:ビタミンA・D・E・Kは脂肪と一緒に摂ることで吸収されやすくなる。
  • 体温調節・臓器の保護:体脂肪はクッションの役割を果たし、内臓を守り、体温を保つ働きがある。

「まったく脂肪を摂らない」のは逆効果で、適量をバランスよく摂ることが重要です。

2. 脂肪を多く含む食品

脂肪は、動物性・植物性・魚由来など、さまざまな食品に含まれています。

分類 食品例 特徴
植物油 オリーブオイル、菜種油、えごま油、アマニ油、ごま油 など 不飽和脂肪酸が多く、適量なら健康によいとされる。
ナッツ・種実類 アーモンド、くるみ、カシューナッツ、ピーナッツ、ひまわりの種 など 良質な脂肪に加え、ビタミンEやミネラル、食物繊維も含む。
魚類 サーモン、サバ、イワシ、ブリ、サンマ などの青魚 EPA・DHAなどのオメガ3脂肪酸が豊富で、血液や血管の健康に役立つ。
肉類・乳製品 牛肉、豚肉、鶏肉、バター、生クリーム、チーズ など 飽和脂肪酸が多め。摂りすぎると生活習慣病リスクが上がりやすい。
加工食品・お菓子 スナック菓子、揚げ物、菓子パン、ケーキ、マーガリン など 飽和脂肪酸やトランス脂肪酸が含まれることがあり、摂りすぎ注意。

日常では、植物油・魚・ナッツなどの「質の良い脂肪」を意識的に選び、揚げ物やお菓子は控えめにするのがおすすめです。

3. 脂肪が不足した場合の症状

極端な脂質制限ダイエットなどで脂肪が不足すると、次のような不調が出ることがあります。

  • 乾燥肌・かゆみ:皮膚の潤いを保つための脂質が足りず、肌が荒れやすくなる。
  • 髪や爪のツヤ低下:細胞膜の材料不足により、髪がパサついたり爪が割れやすくなる。
  • ホルモンバランスの乱れ:脂質不足はホルモンの材料不足につながり、月経不順や体調不良を招くこともある。
  • 疲れやすい・集中力低下:エネルギー源や細胞膜が不足し、全身のコンディションが落ちる。
  • 脂溶性ビタミンの不足:ビタミンA・D・E・Kの吸収が悪くなり、目・骨・免疫などの不調につながる可能性。

「とにかく脂を避ける」のではなく、必要量をきちんと摂ることが大切です。

4. 脂肪を摂りすぎた場合の影響

一方で、脂肪はエネルギーが高いため、摂りすぎるとさまざまなリスクがあります。

  • 体重増加・肥満:消費エネルギーより摂取が多い状態が続くと、体脂肪として蓄積される。
  • 生活習慣病のリスク増加:特に飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂りすぎは、動脈硬化・心疾患・脂質異常症などのリスクを高める。
  • 脂肪肝:肝臓に脂肪がたまり、肝機能に負担がかかる場合がある。
  • 消化不良・胃もたれ:揚げ物やこってりした料理を続けて食べると、消化器への負担が大きくなる。

目安としては、総摂取エネルギーの20〜30%程度を脂質から摂ると言われることが多いです。
「量」と同じくらい、どの種類の脂肪を選ぶかも重要です。

5. まとめ:脂肪は「質」と「量」のバランスが鍵

脂肪は、エネルギー源としても、細胞膜やホルモンの材料としても欠かせない栄養素です。
しかし、極端な不足も、摂りすぎもどちらも体調不良の原因になります。

  • 植物油・魚・ナッツなど、良質な脂肪を意識して選ぶ
  • 揚げ物・スナック菓子・加工食品は「たまに・控えめ」にする
  • 無理な脂質カットダイエットは避け、バランスよく摂る

「脂肪=悪者」ではなく、体づくりを支える大切なパートナーとして、上手に付き合っていきましょう。