ビタミンK|血液を固めて骨も守る「縁の下の力持ち」

投稿日:2025年11月22日  カテゴリー:5大栄養素

ビタミンK|血液を固めて骨も守る「縁の下の力持ち」

ビタミンKは、血を固めるしくみと、骨の健康の両方に関わる大切なビタミンです。
名前はあまり有名ではありませんが、出血を止めたり、カルシウムを骨に定着させたりと、体の中で重要な役割を担っています。
ここでは、ビタミンKの働き・多く含まれる食品・不足や摂りすぎの影響を初心者向けに整理します。

1. ビタミンKの主な働き

  • 血液凝固(出血を止める)に関わる:ビタミンKは、血液を固めるために必要な「凝固因子」というたんぱく質を働かせるために使用される。ケガをしたときに出血が止まるのは、この仕組みが正常に働いているから。
  • 骨の健康維持:ビタミンKは、骨にカルシウムを結びつけるために働く「オステオカルシン」というたんぱく質を活性化させ、骨を丈夫に保つのを助ける。
  • 血管や組織のカルシウム代謝への関与:カルシウムが不要な場所(血管の壁など)にたまりにくくする働きにも関わると考えられている。

「血を固めるビタミン」として知られていますが、最近では骨の健康ビタミンとしても注目されています。

2. ビタミンKを多く含む食品

ビタミンKは、植物性食品(葉物野菜など)と、発酵食品(納豆など)に多く含まれます。
腸内細菌によっても一部がつくられますが、基本は食事からの摂取が大切です。

分類 食品例 特徴
発酵食品 納豆 ビタミンK(特にK2)が非常に豊富。少量でも多くのビタミンKが摂れる代表的な食品。
緑黄色野菜 ほうれん草、ブロッコリー、小松菜、春菊、キャベツ など 葉の濃い緑色の野菜に多い。サラダ・おひたし・炒め物などで取り入れやすい。
その他の食品 海藻類、植物油、チーズ、卵 など 食品によって量は異なるが、日常の食事で少しずつ摂取できる。

日頃から、納豆+緑の野菜を意識して食べることで、自然とビタミンKを取り入れやすくなります。

3. ビタミンK不足で起こりうる影響(欠乏症)

通常の食生活をしていれば、重度のビタミンK欠乏症はまれですが、
脂質の吸収障害がある場合や、特定の薬の影響などで不足することがあります。

  • 出血傾向:血液を固める働きが弱くなり、鼻血が出やすい・あざができやすい・傷からの出血が止まりにくいなどの傾向が現れることがある。
  • 乳児での出血症:新生児や乳児ではビタミンKが不足しやすく、頭蓋内出血などのリスクがあるため、日本では出生後にビタミンK投与が行われている。
  • 骨の健康への影響:長期的なビタミンK不足は、骨の形成・維持に悪影響を与え、骨折リスクの増加と関連すると考えられている。

偏った食生活や、脂肪の吸収に関わる病気がある場合は、ビタミンK不足にも注意が必要です。

4. ビタミンKを摂りすぎた場合の影響(過剰症)

食事から摂るビタミンKについては、通常の範囲であれば過剰症はほとんど報告されていません。
しかし、一部の人にとっては注意が必要なポイントがあります。

  • 一般的な過剰症:食品由来のビタミンK(特にK1)は、通常の食事レベルであれば過剰摂取による健康被害はほとんどないとされています。
  • 抗凝固薬(ワルファリンなど)との相互作用:血液をサラサラにする薬を服用している場合、ビタミンKの摂取量が急に増減すると、薬の効果に影響を与えることがある。

抗凝固薬を使用している人は、

  • 納豆やビタミンKを多く含む食品の摂取について、医師や薬剤師から具体的な指示を受ける
  • 自己判断で「急にたくさん食べる/急にやめる」をしない

といった点に注意することが大切です。

5. まとめ:ビタミンKは「血」と「骨」を支えるサポーター

ビタミンKは、目立たない存在ですが、血液凝固骨の健康維持という重要な役割を担っています。

  • 納豆・ほうれん草・ブロッコリーなどを日常的に取り入れる
  • 極端な偏食を避け、バランスの良い食事を心がける
  • 抗凝固薬を使っている場合は、医師・薬剤師の指示に従い、ビタミンKの摂取量を安定させる

普段の食事を少し整えるだけで、ビタミンKは十分に確保しやすいビタミンです。
血と骨の健康を守るために、毎日の食事の中で意識してみてください。