ナトリウム|体液バランスと神経伝達を支えるミネラル

投稿日:2025年11月24日  カテゴリー:5大栄養素

ナトリウム|体液バランスと神経伝達を支えるミネラル

ナトリウムは、主に食塩(塩化ナトリウム)として摂取されるミネラルで、体液のバランス調整神経伝達などに関わる重要な栄養素です。
一方で、摂りすぎると高血圧やむくみの原因にもなるため、「不足」と「過剰」の両方に注意が必要です。
ここでは、ナトリウムの働き・多く含まれる食品・不足や過剰摂取の影響を初心者向けに整理します。

1. ナトリウムの主な働き

  • 体液(体の水分)のバランスを保つ
    ナトリウムは、血液や細胞外液に多く存在し、水分量や浸透圧を調整する役割を持ちます。
    これにより、血圧や細胞の水分状態が適切に保たれます。
  • 神経伝達をサポート
    ナトリウムとカリウムは、神経細胞の膜をはさんで「電位差」を作ることで、電気信号(神経インパルス)を伝える役割を担っています。
    そのため、ナトリウムは「神経が情報を伝える仕組み」に欠かせないミネラルです。
  • 筋肉の収縮に関与
    神経の信号をきっかけに、筋肉が縮んだり緩んだりするときにも、ナトリウムとカリウムのバランスが重要です。
  • 血圧の調整
    ナトリウム量は、血液量や血圧の調整にも関わります。摂取量が多すぎると、血圧が上がりやすくなります。

2. ナトリウムを多く含む食品

ナトリウムは、主に「塩分」として食品に含まれています。
調味料だけでなく、加工食品や外食にも多く含まれるため、知らないうちに摂りすぎていることも少なくありません。

分類 食品例 特徴
調味料 食塩、醤油、味噌、めんつゆ など ナトリウムの代表的な供給源。少量でも塩分量が多いので注意が必要。
漬物・加工食品 漬物、梅干し、ハム、ソーセージ、ベーコン、インスタント麺 など 保存性や味付けのために塩分が多く使われている食品が多い。
惣菜・外食 ラーメン、丼もの、カレー、ファストフード など 一品で1日の塩分目標量を超えてしまう場合もある。
その他 スナック菓子、せんべい、塩辛 など おやつや酒のつまみからもナトリウムを多く摂りがち。

「どれにナトリウムが入っているか」よりも、「塩気の強いもの=ナトリウムが多い」とイメージしておくとわかりやすくなります。

3. ナトリウム不足で起こりうる影響(欠乏症)

通常の食生活では、ナトリウム不足はあまり起こりません。
しかし、発汗や下痢・嘔吐が激しい場合など、水分と一緒に大量のナトリウムが失われたときには、欠乏症状が出ることがあります。

  • 低血圧:体液量が減ることで血圧が下がり、立ちくらみやめまい、だるさを感じることがある。
  • けいれん・筋肉のひきつり:電解質バランスが崩れ、筋肉が異常に収縮しやすくなる。
  • 脱力感・疲労感:全身のだるさや力が入りにくい感覚が出る場合がある。
  • 意識障害:重度の低ナトリウム血症では、頭痛、吐き気、意識障害、けいれん発作などを起こすこともある。

激しい運動や暑熱環境で大量に汗をかく場合は、水だけでなく電解質(ナトリウムなど)も補給することが大切です。

4. ナトリウムを摂りすぎた場合の影響(過剰症)

現代の食生活では、むしろナトリウムの摂りすぎ(塩分過多)が大きな問題になっています。
長期的な過剰摂取は、生活習慣病のリスクを高めます。

  • 高血圧
    ナトリウムを摂りすぎると、体は水分をため込みやすくなり、血液量が増えて血圧が上昇しやすくなります。
    高血圧は、脳卒中や心筋梗塞、腎臓病などのリスク要因です。
  • むくみ
    ナトリウムが多いと、体内に水分がたまりやすくなり、足や顔がむくみやすくなります。
  • 腎臓への負担
    余分なナトリウムを排泄するために腎臓が常にフル稼働する状態になり、長期的には負担になる可能性があります。
  • その他のリスク
    高血圧を通じて、動脈硬化・心疾患・脳血管障害など、全身の血管トラブルのリスクが高まるとされています。

味が濃い=おいしい」という感覚に慣れすぎないよう、徐々に薄味に慣らしていくことが大切です。

5. まとめ:摂りすぎに注意したい、現代型の「過剰リスク」ミネラル

ナトリウムは、

  • 体液のバランスや神経伝達、筋肉の働きに不可欠
  • 食塩・味噌・漬物・加工食品・外食などから多く摂取される
  • 不足すると低血圧やけいれん、脱力感などの症状が出ることがある
  • 過剰摂取は高血圧やむくみ、腎臓や血管への負担につながる

という特徴を持つミネラルです。
塩分はゼロにする」のではなく、「今より少し控えめにする」ことから始めて、
出汁や香辛料、酢・レモンなどを活用しながら、薄味でもおいしいと感じられる食事を目指していくのがおすすめです。