マグネシウム|骨・神経・酵素を支える「縁の下の力持ち」ミネラル

投稿日:2025年11月24日  カテゴリー:5大栄養素

マグネシウム|骨・神経・酵素を支える「縁の下の力持ち」ミネラル

マグネシウムは、体内で300種類以上の酵素反応に関わるといわれる、とても重要なミネラルです。
骨の形成神経伝達筋肉の働き、そして酵素の補因子として、毎日休まず働いています。
ここでは、マグネシウムの働き・多く含まれる食品・不足や過剰摂取の影響を、初心者向けに整理して解説します。

1. マグネシウムの主な働き

  • 骨の形成・骨の質を支える
    カルシウムばかりが注目されがちですが、マグネシウムも骨の構成成分のひとつです。
    骨の中でカルシウムと一緒に存在し、骨の強さやしなやかさを保つのに役立ちます。
  • 神経伝達と筋肉の働きを調整
    マグネシウムは、神経の興奮をおさえ、筋肉の収縮と弛緩のバランスを整える役割を持ちます。
    足がつる(こむら返り)や筋肉のピクつき、イライラ・緊張などにも関係すると考えられています。
  • 酵素の補因子としてエネルギー代謝をサポート
    マグネシウムは多くの酵素の補因子として働き、エネルギー産生・タンパク質合成・DNA合成など、生命活動の基盤となる反応を支えています。
  • 心臓・血管の健康をサポート
    心筋の働きや血管の収縮・拡張にも関わり、不整脈や心疾患リスクとの関連も指摘されています。

まとめると、マグネシウムは骨・神経・筋肉・酵素のすべてに関わる「総合サポート役」のミネラルです。

2. マグネシウムを多く含む食品

マグネシウムは、主に豆類・ナッツ類・海藻類などに多く含まれます。
精製度の低い穀物(玄米など)や、大豆製品、緑の濃い野菜などからも摂取できます。

分類 食品例 特徴
豆類 大豆、納豆、豆腐、レンズ豆 など たんぱく質とともにマグネシウムも摂れる。和食との相性が良く、日常的に取り入れやすい。
ナッツ類 アーモンド、カシューナッツ、くるみ など 少量でマグネシウムや良質な脂質、ビタミンEなどを摂取できる。間食としてもおすすめ。
海藻類 わかめ、ひじき、昆布 など ミネラル全般が豊富。煮物・味噌汁・サラダなどに加えると手軽にマグネシウムを補給できる。
その他 玄米、全粒粉パン、ほうれん草、バナナ など 精製されていない穀物や緑色野菜にもマグネシウムが多い。主食や副菜から少しずつ摂れる。

豆類+ナッツ+海藻+精製度の低い穀物」を意識すると、マグネシウムを効率よく摂りやすくなります。

3. マグネシウム不足で起こりうる影響(欠乏症)

マグネシウムは多くの食品に含まれますが、精製食品中心の食事・偏食・ストレス・アルコール過多などで不足することがあります。
慢性的な不足は、筋肉・心臓・神経のトラブルとして現れることがあります。

  • こむら返り(筋けいれん):ふくらはぎがつる、筋肉がピクピクするなどの症状に関係するとされる。
  • 筋力低下・疲労感:エネルギー代謝がうまく回らず、だるさや力が入りにくい感覚が続くことがある。
  • 心疾患リスクの増加:マグネシウム不足は、不整脈や冠動脈疾患などのリスク要因の一つと考えられている。
  • 神経過敏・イライラ:神経の興奮を抑える働きが弱まり、イライラ・不安・睡眠の質低下などにつながる場合がある。
  • 骨の健康への影響:長期的な不足は、骨密度低下や骨粗鬆症リスクにも関与するとされる。

マグネシウム不足は、単独ではなくカルシウム・ビタミンD・カリウムなどとのバランスも含めて考える必要があります。

4. マグネシウムを摂りすぎた場合の影響(過剰症)

健康な腎機能を持つ人では、食事由来のマグネシウム過剰はほとんど問題になりません。
しかし、サプリメントやマグネシウムを含む薬(下剤・制酸剤など)を大量に摂取した場合には、過剰症が問題になることがあります。

  • 下痢:マグネシウムを多く含むサプリメントや下剤を摂りすぎると、腸内の浸透圧変化により下痢を起こしやすくなる。
  • 腹痛・吐き気:消化器症状として、腹部の不快感や吐き気が出ることがある。
  • 血圧低下:極端な高濃度では、血管が拡張しすぎて血圧が下がり、めまいや意識障害などのリスクが生じる場合がある。
  • 重度の場合:腎機能が低下している人でマグネシウムを過剰に摂取すると、不整脈や呼吸抑制など、命に関わる状態になることもある。

特に腎機能が低下している人は、自己判断でマグネシウムサプリを高用量で摂らず、必ず医師の指示を受けることが重要です。

5. まとめ:毎日の「豆・ナッツ・海藻」で静かに効いてくるミネラル

マグネシウムは、

  • 骨の形成と質の維持に関わる
  • 神経伝達や筋肉の収縮・弛緩を調整する
  • 多くの酵素の補因子として、エネルギー代謝やタンパク質合成を支える
  • 豆類・ナッツ・海藻類・玄米・緑黄色野菜などに多く含まれる
  • 不足するとこむら返りや心疾患リスクの増加などにつながる可能性がある
  • サプリや薬での過剰摂取は、下痢や血圧低下の原因となることがある

という特徴を持つミネラルです。
精製度の低い穀物+豆類+ナッツ+海藻+野菜」をベースにした食事を意識することで、
マグネシウムを含む多くのミネラル・ビタミンを、自然な形でバランスよく摂りやすくなります。