チャレンジ&カバー

投稿日:2025年11月11日  カテゴリー:ディフェンス

チャレンジ&カバー — ディフェンスの考え方・動き・使い方・コツ・注意点

守備の最小単位は2人1組。1st(チャレンジ=圧力)と2nd(カバー=保険)が連動し、必要に応じて3rd(バランス)が全体を整える。ここでは実戦で再現性を高める基準を整理する。

1. 定義と目的

  • 定義:ボール保持者に対する1stプレッサーの積極的圧力と、それを裏で支える2ndカバーの連動原則。
  • 目的:①前進阻止 ②奪取トリガーの創出 ③抜かれても失点リスクを最小化。
  • 優先順位:ゴール保護 > 中央封鎖 > 外誘導 > 奪取。

2. 役割と立ち位置(1st/2nd/3rd)

役割 立ち位置/距離の目安 主なタスク 合図語(例)
1st(チャレンジ) 相手から0.8〜1.3m・半身(内切り遮断) 外へ誘導/ロングタッチで奪取/シュート角度の制限 「外へ」「今」「遅らせ」
2nd(カバー) 1stの5〜8m後方・内側 抜かれコース遮断/縦パス切り/こぼれ球回収 「カバーOK」「背後見る」「中閉じ」
3rd(バランス) 逆サイド・背後の管理/ライン統率 スライド量の指示/サイドチェンジ対策 「ライン上げ」「逆ケア」

3. チャレンジ(1st)の実装基準

  • 角度:サイドオン+カバーシャドウで中央/利き足を消す。
  • 距離:接近は速く、ラスト2歩で減速して1m前後を固定。
  • 奪取トリガー:ロングタッチ/背中向き/第一タッチ後の重心前落ち。
  • NG:飛び込み・正対・腕で止める。PA前は遅らせ優先。

4. カバー(2nd)の実装基準

  • 位置関係:1stの内側背後へ斜め45°。抜かれラインと縦パスラインを同時管理。
  • 距離:5〜8m(相手のスピードが高ければやや深め)。
  • 優先:中央封鎖 > こぼれ回収 > 二次プレス。
  • 声掛け:「外OK」「中閉じ」「背後注意」。1stの意思決定を軽くする。

5. 回転(スイッチ)とゾーン移行

スイッチが必要な状況 手順 注意点
1stが抜かれた/外へ行かせた 2ndが新1stへ前進/ 近傍の味方が新2ndへ回転 縦距離5〜8mを維持/ 中央の穴を空けない
縦パスが入った(ライン間) 最も近い選手が即1st/ 元1stはカバーに回る 後追いでファウルをしない
サイドチェンジの兆候 逆サイドが先行スライド/ 現在の1stは遅らせ ボールウォッチで中央を空けない

6. セットプレー/クロス対応の基準

  • サイドでのクロス:1stが利き足側を切る→外へ追い出す。2ndはPA外弧(Dゾーン)回収。
  • 中での折返し:2ndはニア・スポット・ファーの空白を埋める優先。人ではなくスペースに先着。

7. よくある失敗と修正

失敗 原因 修正ポイント
1stが飛び込んで突破される 距離固定できず/ トリガー無視 ラスト2歩で減速/ 奪取はロングタッチのみ
2ndが横並びになる 位置取りが平行/ 内側ケア不足 斜め後方45°へ/ 中央優先で立つ
中央を割られる カバーが外寄り/ 合図不足 「中閉じ」「外OK」を徹底/ 5〜8m維持
スイッチ遅れ 誰が新1stか不明瞭 近い人が即1st/ 合図「替わる!」

8. トレーニング設計(即導入)

メニュー 内容 評価基準 時間/回数
2v2 チャレカバーベーシック 中央ラインにコーン/ 1st外誘導/ 2ndは5〜8mで斜め後方 中央封鎖率/ スイッチ速度 60秒×4本×2セット
1st奪取トリガー反復 攻撃は3回に1回ロングタッチ/ 1stが面タックル 奪取成功率/ ファウルゼロ 左右各8回
サイド→クロス対応 1v1外誘導→2ndはDゾーン回収→二次攻撃遮断 折返し阻止率/ こぼれ回収率 8本×2セット
スイッチ連続ゲーム 3v3+フリーマン 縦40×横35/ パス方向で1stが入れ替わる スイッチの遅れ(秒)/ 中央突破許容数 90秒×4本

9. コーチング合図(共通言語)

  • 1st:「外へ」「遅らせ」「今!」
  • 2nd:「カバーOK」「中閉じ」「背後見る」
  • スイッチ:「替わる!」「押し上げ!」「逆!」

10. すぐ使えるチェックリスト

  1. 1stは半身+1m前後で中央/利き足を消しているか。
  2. 2ndは1stの5〜8m・斜め後方に立ち、縦パスと背後を同時管理しているか。
  3. 奪取はロングタッチ/背中向き/第一タッチのトリガーに限定できているか。
  4. 突破時に即スイッチできているか(近い人が新1st)。

※チャレンジ&カバーは「距離・角度・タイミング」の共同管理。合図語で意思決定を速くし、5〜8mの縦距離基準をチームで共有して再現性を高める。

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