サッカーの試合中に集中力を保つための具体的トレーニング

投稿日:2025年11月20日  カテゴリー:メンタルトレーニング

サッカーの試合中に集中力を保つための具体的トレーニング

サッカーは90分を通して状況が変化し続けるスポーツです。ほんの数秒、集中が切れただけで失点につながることもあります。一方で、集中力は「性格」ではなく、練習によって鍛えられるスキルです。ここでは、試合中に集中力を保つための具体的なトレーニング方法と、日常でできる工夫を詳しく解説します。

1. サッカーにおける「集中力」とは何か

サッカーで言う集中力とは、次のような状態を指します。

  • ボール・味方・相手・スペースの情報を正しくつかめている
  • 今やるべきプレーをすばやく選び、迷いなく動けている
  • ミスや判定への不満に長くとらわれない

つまり、集中力とは「今この瞬間のプレーに意識を向け続ける力」です。この力を鍛えるには、技術練習とセットでメンタルのトレーニングを行うことが重要です。

2. 練習中にできる集中力トレーニング

2-1. インターバル集中トレーニング(集中のオン・オフを意識する)

試合中は、常に100%集中し続けるわけではなく、「集中の波」をコントロールすることが大切です。練習から「集中する時間」と「少し力を抜く時間」を意識的に使い分けます。

例:4分間のミニゲームでのトレーニング

  1. 1〜3分:攻守ともに全力で集中(常にポジションを修正、声を出す)
  2. 3〜4分:集中は保ちつつ、呼吸を整えながらプレーを少しシンプルに
  3. 終了後:何に意識を向けていたかを簡単に振り返る

これを数セット行うことで、「集中のオン・オフ」を自分でコントロールする感覚が身についてきます。

2-2. 「3チェック・ルール」を使ったポジショニング練習

集中力が切れると、立ち位置が曖昧になり、ボールだけを見てしまいがちです。そこで、ボールが動くたびに、次の3つを素早く確認する練習を行います。

  • ① ボールの位置
  • ② マークすべき相手
  • ③ 自分が取るべきスペース

パス回しやポゼッション練習の中で、「ボールが動いたら必ず3チェック」といったルールを設けることで、自動的に周囲を見続ける習慣が身につきます。

2-3. スキャンニング(首振り)の回数を決めて行う

集中力が高い選手ほど、ボールを受ける前に周りをよく見ています。スキャンニングを意識した練習を取り入れます。

  1. パス練習やポゼッションの中で、「ボールが自分に来る前に最低2回首を振る」と決める
  2. コーチやチームメイトに、「今、何回くらい見ていたか」を確認してもらう
  3. 慣れてきたら、ボールが自分を通り過ぎるときにも首を振って情報を取る

「首を振る=集中するスイッチ」として習慣化していくことがポイントです。

2-4. 雑音の中での技術練習

試合では、観客の声・ベンチの指示・相手のプレッシャーなど、雑音が多くなります。その中で集中するための練習です。

  • わざと音楽や雑音を流した状態でパス・シュート練習を行う
  • コーチがあえていろいろな指示を出す中で、自分の役割に集中する
  • 仲間とコミュニケーションを取りながらも、ボールタッチの感覚に意識を戻す

「周りがうるさくても、自分のプレーに戻って来られるか」を確認しながら練習します。

3. 試合中に集中力を保つためのメンタルテクニック

3-1. 「5秒ルール」で切り替えを早くする

ミスをした後にいつまでも引きずると、集中力はどんどん下がります。そこで、次のシンプルなルールを使います。

  • ミスをしたとき、落ち込んでいいのは5秒だけと決める
  • 5秒経ったら、「今やるべきことは何か?」に意識を切り替える
  • 5秒の間に、一度深く息を吸って吐き、「よし、次」とセルフトークする

このルールを徹底すると、集中の途切れる時間を短くでき、試合全体でのパフォーマンスが安定してきます。

3-2. キーワードを使ったセルフトーク

試合中の頭の中は、意識していないとすぐに別のことを考え始めます。そこで、集中したい内容に合わせた短いキーワードを用意します。

  • 守備のとき:「ボールとゴール」「前を向かせない」
  • 攻撃のとき:「シンプルに」「前を見て」「ワンタッチ」
  • 切り替えのとき:「戻る」「プレス」「一歩前へ」

これらの言葉を、プレーが切れたときやランニング中に心の中でくり返すことで、意識が散らばるのを防ぎます。

3-3. 5感を使って「いまここ」に戻るトレーニング

集中が切れると、

  • 「さっきのミス…」と過去のプレーを悔やむ
  • 「負けたらどうしよう…」と未来の結果を心配する

この状態を止めるために、5感を使って「今」に意識を戻します。

  • 足の裏でピッチの感触を感じる(芝・土・スパイクのかかり)
  • ボールの音や仲間の声を意識して聞き取る
  • 目の前のボール・味方・相手の動きに視線を戻す

これを数秒で行うことで、頭の中の雑音が少しずつ静かになり、集中が戻ってきます。

4. ポジション別・集中力アップの意識ポイント

ポジション 集中が途切れやすい場面 集中を保つための具体的トレーニング・意識
センターバック ボールが相手陣地にあるとき、ラインコントロールが甘くなる ・常に味方DFとMFの距離を確認する「3チェック・ルール」
・相手FWの位置を定期的に指さし確認(ジェスチャーで意識を保つ)
・セットプレー練習で、毎回マーク確認の声を出す習慣をつくる
サイドバック 攻撃参加のあと、戻るタイミングが遅れる ・オーバーラップの練習で「攻撃→5秒以内に守備ポジションへ戻る」をルール化
・ボールがサイドチェンジされた瞬間に、首を振って背後を確認する癖をつける
・ミニゲームで、守備時の立ち位置をコーチにチェックしてもらう
ボランチ 試合が落ち着いた時間帯に、周囲の状況把握が甘くなる ・ポゼッション練習で「ボールタッチごとに首を2回以上振る」ルール
・攻守の切り替え時に「どこを消すか」「誰を捕まえるか」を声に出す
・練習試合で、自分の視野の取り方を動画で確認し振り返る
サイドハーフ / ウイング ボールが反対サイドにあるとき、歩いてしまう ・ボールが逆サイドにあるとき、「中へ絞る」「背後を狙う」のどちらかを必ず選ぶ
・ランニングメニューに「視線をボールから外さず走る」ドリルを入れる
・プレーが止まった瞬間に、自分のマーカーとスペースを指差し確認する
フォワード ボールが来ない時間帯に、守備のスイッチが遅れる ・プレス開始の合図となる「トリガー(合図)」をチームで決める
・ミニゲームで、「ボールに一番近いFWが必ず最初の守備のスイッチ」のルール
・自分が関わっていない時間帯でも、相手CBのボールの持ち方・癖を観察する

5. 日常生活でできる集中力の土台づくり

試合中の集中力は、その日だけで作られるものではありません。普段の生活から、次のような習慣を意識すると、集中しやすいコンディションを整えられます。

5-1. 睡眠・食事・コンディショニング

  • 試合前日は、スマホやゲームを長時間続けず、睡眠時間を確保する
  • 食事は、糖質・たんぱく質・水分を意識してバランスよく取る
  • ウォーミングアップとクールダウンを丁寧に行い、体の張りや痛みを放置しない

5-2. 集中の練習になる日常行動

  • 短い時間で構わないので、「今やっていることだけに意識を向ける」時間を作る(読書・ストレッチなど)
  • ながらスマホを減らし、「1つの作業をやりきってから次に移る」習慣をつける
  • トレーニングノートを書き、1日の中で「集中できた時間」「集中が切れた時間」を振り返る

まとめ

試合中の集中力は、特別な才能ではなく、日々の練習と小さな習慣の積み重ねで高めていくことができます。

  • 練習から「集中する時間」と「少し緩める時間」を意識して使い分ける
  • 3チェック・スキャンニング・5秒ルールなどの具体的なメンタルスキルを取り入れる
  • ポジションごとの意識ポイントと日常の生活習慣もセットで整える

今日から、技術練習だけでなく「集中力のトレーニング」もメニューに加え、試合で安定したパフォーマンスを発揮できるメンタルを育てていきましょう。

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