サッカー選手のセーバー病(踵骨骨端症)|成長期の踵の痛みの特徴と対処法(インソール・アイシング・運動制限)

投稿日:2025年12月24日  カテゴリー:サッカー選手に発生しやすい障害・外傷

サッカー選手のセーバー病(踵骨骨端症)|成長期の踵の痛みの特徴と対処法(インソール・アイシング・運動制限)

セーバー病(踵骨骨端症/Sever’s disease)は、小学生〜中学生の成長期に多くみられる踵(かかと)の痛みです。 成長途中の踵骨(しょうこつ)の骨端部に、アキレス腱や足底筋群からの牽引ストレスが繰り返し加わることで炎症が起こります。 サッカーでは走行距離が長く、ダッシュ・ストップ・ジャンプが多いため、特に発生しやすい障害の一つです。

セーバー病の基本的な特徴

項目 内容
好発年齢 小学生高学年〜中学生前半(おおよそ9〜14歳)
痛みの部位 踵の後方〜下方(アキレス腱付着部周辺)
主な原因 成長期の骨の弱さ+走る・跳ぶ動作による牽引ストレス
特徴 運動後や翌日に痛みが強くなりやすい/安静で軽減する

小学生〜中学生に多い理由(成長期特有の問題)

成長期の踵骨には「骨端核」と呼ばれる未成熟な骨の部分があり、大人の骨に比べてストレスに弱い状態です。 身長が伸びる時期には、骨の成長に対して筋肉や腱の柔軟性が追いつかず、アキレス腱や足底の張力が強まります。 その結果、踵骨に付着する部分が繰り返し引っ張られ、炎症や痛みが生じます。

症状の出やすいタイミング・場面

タイミング 具体例(サッカー) 特徴
運動中〜運動後 練習後、試合後 踵がジンジン痛む、違和感が強くなる
翌日 朝起きて歩き始めると痛い 初動時痛(動き出しが特に痛い)
走行動作 ダッシュ、長距離ラン 踵で地面を蹴ると痛みが増す
ジャンプ・着地 ヘディング、競り合い 着地の衝撃で踵に痛み
スパイク着用時 硬い人工芝・グラウンド 裸足や室内よりも痛みが出やすい

踵の痛みの特徴とチェックポイント

チェック 内容 判断の目安
圧痛 踵の後ろ・下を押すと痛い 左右差があれば要注意
歩行 かかとをついて歩くと痛い つま先歩きになることがある
安静時 休むと痛みが軽減 成長期障害の典型
腫れ・熱感 軽い腫れや熱っぽさ 強い腫れや激痛は他疾患も疑う

インソール・ヒールカップの活用

セーバー病では、踵への衝撃とアキレス腱の牽引を減らす工夫が重要です。 インソールやヒールカップは、即効性のある対処として現場で非常に有効です。

方法 目的 ポイント
ヒールカップ 踵への衝撃吸収 スパイク・トレシュー両方に使用可能
ヒールリフト アキレス腱の張力軽減 一時的に踵を高くして牽引を減らす
クッション性インソール 地面反力の軽減 人工芝・硬いピッチで特に有効

アイシングの考え方

アイシングは炎症と痛みを抑えるための基本的なケアです。 特に運動後の踵の痛みが強い場合には有効ですが、冷やしすぎには注意が必要です。

タイミング 目安 注意点
練習・試合後 10〜15分 直接氷を当てずタオル越しに
痛みが強い日 1日1〜2回まで 冷やしすぎによる感覚低下に注意

運動制限の工夫(完全休止だけが正解ではない)

セーバー病は成長期特有の障害であり、無理を続けると痛みが長期化します。 ただし、すべてを休止するのではなく「痛みを出す動作を減らす」ことが現実的な対応です。

制限する動作 理由 代替案
全力ダッシュ 踵への衝撃が大きい ジョグ、技術練習中心
ジャンプ・連続着地 踵骨への圧縮ストレス ジャンプを伴わない戦術練習
長時間練習 回復が追いつかない 部分参加、時間短縮
硬い路面 衝撃が強い 芝生・土グラウンドを優先

ストレッチとセルフケアの指導ポイント

踵への牽引ストレスを減らすためには、下腿〜大腿の柔軟性維持が重要です。 痛みを誘発しない範囲で、毎日のケアとして指導します。

部位 目的 目安 注意点
腓腹筋・ヒラメ筋 アキレス腱の張力軽減 20〜30秒 × 2〜3回 痛みが出ない角度で実施
ハムストリングス 下肢全体の張力バランス改善 20〜30秒 × 2〜3回 反動を使わない
足底筋群 踵への負担軽減 1〜2分 痛気持ちいい程度まで

まとめ

  • セーバー病は小学生〜中学生の成長期に多い踵の過負荷障害。
  • 運動後や翌日に踵が痛む、かかとをついて歩きにくいのが典型的。
  • インソールやヒールカップで衝撃と牽引を軽減することが有効。
  • アイシングは炎症コントロールの補助として活用する。
  • 完全休止ではなく、痛みを出す動作を制限しながら継続可能な形を探る。
  • 成長が落ち着くと自然に改善するケースが多いが、無理をすると長期化するため早期対応が重要。

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