なぜ「要求の声」が出せないのか(原因を分解)
| よくある原因 |
試合中の心の動き |
起きる現象 |
解決の方向性 |
| 失敗への恐怖(責任を負いたくない) |
「言ってパスが来てミスしたら…」 |
要求をやめ、無難な位置に隠れる |
“成功”ではなく“行動”を評価軸にする |
| 周囲の評価が気になる |
「うるさいと思われたら…」 |
声量が落ちる/言葉が短くなる |
役割としての声(チーム貢献)に再定義 |
| 練習で要求の言語化をしていない |
「何を言えばいいかわからない」 |
出そうとしても言葉が出ない |
定型フレーズを準備し反復する |
| 判断が遅く、先に声を出す余裕がない |
「見てから考える」 |
声が“後出し”になる |
予測・スキャン習慣で先手を取る |
| 声を出すのが“恥ずかしい”文化・経験 |
過去に否定された記憶が残る |
喉が締まる/呼吸が浅い |
小さく始めて段階的に強度を上げる |
ポイントは、要求の声は「メンタルだけ」ではなく技術(スキル)として鍛えられることです。
具体的には、言う内容を固定し、言うタイミングをルール化し、練習で反復します。
要求の声を“技術化”する:基本ルール(これだけで変わる)
1) フレーズを固定する(言葉に迷わない)
| 状況 |
要求の声(例) |
意図 |
| 足元で受けたい |
「足元!」 |
パスの強さ・高さを指定 |
| 裏に走る |
「裏!」「背後!」 |
相手DFラインの背後へ |
| 前を向いて受けたい |
「前向き!」 |
次プレーの速度を上げる |
| ワンツーしたい |
「ワンツー!」 |
リターン前提の共有 |
| 時間がない(相手が寄っている) |
「ターン無理!」「落とせる!」 |
判断ミスを減らす |
| 逆サイド展開 |
「逆ある!」 |
視野の補助(味方の発見) |
2) 先に言う(パスが来る前が勝負)
要求の声は受ける1〜2秒前が理想です。来てから言うと、相手の寄せや味方の判断に間に合いません。
そのために必要なのがスキャン(首振り)→予測→要求の順番です。
3) “相手ではなく味方を助ける”と捉える
声は自己主張ではなく、味方の判断コストを下げる行為です。
要求の声が増えるほど、味方は迷わずにパスを出せます。結果としてチーム全体のプレー速度が上がります。
勇気の出し方:メンタルを整える3つのコツ
| コツ |
具体策 |
狙い |
| 評価軸を「成功」から「行動」に変える |
「今日は要求を10回出す」を目標にする(結果は二の次) |
失敗恐怖を弱め、行動回数を増やす |
| “小さく始める”を許可する |
最初は小声でもOK。通る距離が近い味方にだけ言う |
喉と心の抵抗を下げる |
| 短い呼吸ルーティンで体を落ち着かせる |
プレー切れ目で「鼻から吸って、口から長く吐く」を1回 |
緊張で声が詰まる状態をリセット |
「勇気が出たら声を出す」ではなく、声を出す行動が勇気を作る順番に変えるのが現実的です。
まずは“出す”回数を設計し、練習で当たり前にします。
練習で身につける:要求の声トレーニング(段階式)
ステップ1:個人(1人)|声の型を作る(毎日3分)
- 壁当て・リフティング中に、受ける前に必ず一言言う(例:「足元」「前向き」「ワンツー」)
- 言葉は毎回同じでOK。フォーム(型)を固める
- 声量は7割を目安(張りすぎない)
ステップ2:2人|要求→パスの一致を作る(10分)
| ドリル |
やり方 |
ルール |
よくある失敗 |
修正ポイント |
| 要求付きパス交換 |
距離10mでパス交換 |
受ける側は「足元/前/右/左」を必ず言う |
言葉が遅い |
“蹴る前”ではなく“受ける前”に言う |
| ワンツー反復 |
2タッチで前進 |
必ず「ワンツー!」を先に言う |
言ったのに出さない |
言ったら必ず出す(約束を守る) |
ステップ3:3〜5人|判断+要求(実戦に近づける)
- ロンド(鳥かご)で「要求の声が出たら1点」など、声に得点をつける
- オフザボールの選手は「足元/裏/逆/時間」など、味方の判断補助を最低1回は入れる
- ミスしても注意しない。出した事実を評価する
ステップ4:ゲーム形式|試合で出すための“縛り”
| 縛り(ルール) |
内容 |
狙い |
| 受ける前に1回は声 |
自分が受ける直前に必ず要求を出す |
「言うのが当たり前」を作る |
| 味方を助ける声を1回 |
自分が受けない場面でも「時間」「逆」「ターン無理」などを言う |
チーム内コミュニケーションを増やす |
| 成功ではなく回数を評価 |
試合後に「要求の声の回数」を自己採点 |
失敗恐怖を減らし、継続につなげる |
試合で実行するためのチェックリスト(当日用)
- 最初の5分だけは「受ける前に必ず一言」と決める(勢いを作る)
- 自分が受けると決めたら、走り出しと同時に言う(言ってから走るのではなく、同時)
- 迷ったら言葉は固定:「足元」「裏」「前向き」の3択にする
- 声が出なかった場面を1つだけ振り返り、次の試合で同じ場面を狙って言う
よくあるQ&A(要求の声が出せない選手の悩み)
| 悩み |
結論 |
具体的な対処 |
| 声を出すと目立って恥ずかしい |
最初は“近い味方だけ”でOK |
2人練習→ロンド→ゲームの順で慣らす |
| 言ってもパスが来ない |
要求の質(タイミング/位置)を改善する |
「受ける1〜2秒前」「パスコースが空いている場所」で言う |
| 言った後にミスしそうで怖い |
“ミスしない”より“判断を共有する”が重要 |
目標を「成功」ではなく「要求回数」に置く |
| 何を言えばいいかわからない |
フレーズを3つに絞る |
「足元」「裏」「前向き」から固定して始める |