ディフェンスの構え(基本姿勢)

投稿日:2025年11月11日  カテゴリー:ディフェンス

ディフェンスの構え(基本姿勢)— 考え方・動き・使い方・コツ・注意点

1対1とチーム守備の基礎となる「構え」は、姿勢・距離・角度・タイミングの4点で決まります。ここでは現場で即使える基準を整理します。

1. 目的と原則

  • 目的:相手の選択肢を減らし、ゴールから遠ざけ、奪いどころへ誘導する。
  • 原則:①遅らせる(Delay)→②誘導(Show)→③奪う(Tackle/Intercept)→④切替(Transition)。
  • 優先順位:ゴールを守る > 前進を止める > ボールを奪う。

2. 正しい「構え」チェックリスト

項目 具体基準 狙い/効果
重心 低く前寄り(母趾球に乗る)/ かかと浮かせ気味 初動の加速・減速・方向転換を素早く
スタンス幅 肩幅よりやや広く/ 膝と股関節を曲げる 接触時に負けない/ 切り返しに耐える
身体の向き 半身(サイドオン)で内切り/得意足を封じる角度 行かせたい方向へ誘導(外へ/サポートへ)
距離 相手の一歩外(腕1本分+α)/ スプリント距離は詰めすぎない ドリブルの加速を抑え、抜かれにくく
手・腕 軽く開いてバランス/ 触れるのはガイドまで(押さない) 体幹安定/ 反則回避
視線 ボールと腰のラインを同視野に/ フェイントは足先でなく体幹で読む フェイントに引っかからない
足運び サイドステップ中心/ クロスステップは背後ケア時のみ 正対維持と角度管理
アプローチ 接近は速く、間合いで減速(ラスト2歩を小刻み) 無謀な飛び込みを防止

3. 距離と角度の使い方

  • 距離:相手がロングタッチした瞬間のみ圧縮しタックル可。ボールが体から離れた時が奪い時。
  • 角度:内側(中央/利き足)をカバーシャドウで消し、外orサポート方向へ誘導。
  • ライン・味方位置:サイドならタッチラインを「第2のDF」として使い、中央なら遅らせて隊形回復。

4. タイミングとタックルの種類

手段 使う局面 コツ 注意点
ジャッキー(遅らせ) 数的不利/ 相手が前を向く前 半身で下がりながら角度維持 下がり過ぎてPA侵入を許さない
スタンドタックル ロングタッチ/ 受け手のファーストタッチ直後 ボールだけを面でとらえる/ 膝は曲げたまま 踏み込み過多はファウル・置き去り
スライディング 最後の局面/ シュートやスルー阻止 進行方向へ斜めに/ 先に地面→足で遮断 PA内はリスク高/ 接触は厳禁
インターセプト 予測できる横/斜めのパス 一歩先のスペースへ出る/ 体で通路を塞ぐ 外した時の背後スペースケア

5. 1対1の流れ(アプローチ → 誘導 → 奪取)

  1. アプローチ:最短で接近し、ラスト2歩で減速・半身化・角度設定。
  2. 誘導:内切りを消し、外/サポートへ。相手の得意足を封じる。
  3. 奪取:ロングタッチ・背中向き・視線が下がった瞬間に前へ一歩。
  4. 切替:奪った直後は前進 or ファーストパス。奪えなければ隊形へ復帰。

6. チーム守備での「構え」連動

  • 1st(プレッサー):角度と距離で選択肢を削る。
  • 2nd(カバー):抜かれたコースへ半身構えで待機。縦パス通路を遮断。
  • 3rd(バランス):逆サイドと背後のケア。ラインコントロールと声掛け。

7. よくある失敗と修正

失敗 原因 修正ポイント
飛び込み 距離判断ミス/ 減速不足 ラスト2歩を小刻みに/ 接触はボールのみ
正対しすぎ 半身が作れず内外どちらも空く サイドオンで利き足を消す/ 誘導先を決める
後追いのクロス許容 サイドで距離を詰め切れない 早い段階で角度セット/ 利き足側を切る
ファウル多発 手で止める/ タイミングが遅い 体の前にボールを置かせる→面で奪う
背後を使われる ライン/カバーの連動不足 声掛けと合図語/ 2ndの位置を半歩深く

8. 合図語(共通言語)

  • 「外へ!」=サイド誘導、「中閉じ!」=中央封鎖。
  • 「遅らせ!」=アプローチ後の減速、「寄せ切れ!」=距離圧縮。
  • 「抜かせない!」=姿勢を崩さず半身キープ、「カバーOK!」=2ndの準備完了。

9. トレーニング例(即実装)

メニュー 内容 評価基準 時間/回数
アプローチ&減速ドリル 5〜10mダッシュ→ラスト2歩で減速→半身構えで停止 減速の安定/ 角度設定の速さ 6本×2セット
1v1 誘導ゲーム(片側出口) コーンで「外出口」を設定/ そこへボールを運ばせる 内切り遮断/ 外誘導率/ 反則ゼロ 20秒×6本
ロングタッチ奪取 攻撃は意図的ロングタッチ/ 守備は前足で面タックル ボールコンタクトの正確性 左右各8回
2v2 カバー&バランス 1stが誘導/ 2ndは抜かれコースを塞ぐ 連動距離(5〜8m)/ コミュニケーション 60秒×4本

10. すぐ使える要点まとめ

  1. 低い重心+半身で角度を作る。
  2. 接近は速く/ 間合いで減速(ラスト2歩)。
  3. 内切り・利き足を消すカバーシャドウ。
  4. ロングタッチ/背中向きが奪い時。
  5. 奪えなければ遅らせて隊形回復(切替最優先)。

※本記事は現場コーチング向けの要点整理です。カテゴリー・ポジション・相手特徴に合わせて強度と距離基準を微調整してください。

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