肩甲下筋(けんこうかきん)とは?肩の内旋と前方安定を担うローテーターカフ最大筋|鍛え方(初級〜上級)・ストレッチ・セルフケアを解剖学的に解説

投稿日:2026年1月9日  カテゴリー:インナーマッスル

肩甲下筋(けんこうかきん)とは?肩の内旋と前方安定を担うローテーターカフ最大筋|鍛え方(初級〜上級)・ストレッチ・セルフケアを解剖学的に解説

肩甲下筋(subscapularis)は、肩の深層で働く回旋筋腱板(かいせんきんけんばん:ローテーターカフ)の一つで、 主に肩関節の内旋(ないせん:腕を内側へひねる動き)と、上腕骨頭(じょうわんこっとう:腕の骨の丸い部分)を関節窩(かんせつか:受け皿)へ保つ安定化に強く関わります。:contentReference[oaicite:0]{index=0}

この記事では、肩甲下筋の基本(位置・働き・日常動作)、代表的トレーニング(初級〜上級)、ストレッチとセルフケア(動的/静的)を、 初心者にも理解しやすい形で整理します。

0. 「肩甲下筋 解剖図」で確認するときの見どころ

画像検索では「肩甲骨の前面(肋骨側)」に広く付着している大きな筋が肩甲下筋です。 起始(きし:筋肉の始まり)は肩甲骨の肩甲下窩(けんこうかか:肩甲骨前面のくぼみ)、 停止(ていし:筋肉の終わり)は上腕骨の小結節(しょうけっせつ)付近が基本です。:contentReference[oaicite:1]{index=1}

1. 肩甲下筋の基本情報(位置・主な働き・日常動作)

項目 内容
位置 肩甲骨の前面(肋骨側)を広く覆う筋。ローテーターカフの一つ。:contentReference[oaicite:2]{index=2}
起始(きし) 肩甲骨の肩甲下窩(subscapular fossa)。:contentReference[oaicite:3]{index=3}
停止(ていし) 上腕骨の小結節(lesser tubercle)(+関節包に連続する説明もある)。:contentReference[oaicite:4]{index=4}
主な働き ①肩関節の内旋(腕を内へひねる)
②状況により内転(腕を体に寄せる)の補助
③肩関節の前方安定(前にズレるのを抑える)に寄与 :contentReference[oaicite:5]{index=5}
支配神経 上・下肩甲下神経(upper/lower subscapular nerves)(C5–C6が主)。:contentReference[oaicite:6]{index=6}

肩甲下筋が関わる日常動作

  • シートベルトを引く、身体の前で物を抱える(内旋+内転の要素)。
  • ドアを閉める、腕を身体の前に引き寄せる動作。
  • 服の着脱で腕を内側へ回す/身体の前で調整する動き。
  • 投球・打撃・コンタクトなど、肩が外旋位で引っ張られやすい局面で、前方の安定に関与すると考えられます。:contentReference[oaicite:7]{index=7}

肩甲下筋が弱い/働きにくいと起こりやすいこと(参考)

  • 腕を上げた状態で肩が不安定に感じる(特に外旋+外転位)。肩甲下筋はその姿勢での安定化に重要とする報告があります。:contentReference[oaicite:8]{index=8}
  • ベンチプレスや腕立て、投げる動作で肩前方が詰まる感じが出る(フォーム・胸郭/肩甲骨の影響も大きい)。

2. 代表的な筋力トレーニング(初級〜上級)

肩甲下筋のトレーニングは「高重量」よりも、肩がすくまない(僧帽筋上部で代償しない)肩の前が詰まらない範囲で、内旋の力を丁寧に出すことが最優先です。 ローテーターカフは肩関節の安定にも関与するため、コントロール重視で段階的に進めます。:contentReference[oaicite:9]{index=9}

レベル 種目 狙い・やり方(要点) 目安
初級 アイソメトリック内旋(壁押し) 肘を90°に曲げ、手のひら(または前腕)で壁を内旋方向へ押す(腕は動かさず「力だけ」出す)。
肩がすくむ場合は強度を下げる。
10秒×3〜6回
初級 チューブ内旋(肘90°・体側) 肘を体側につけたまま、前腕を内側へ引く。体幹をひねって代償しない。
「胸を軽く張る・肩甲骨は落ち着かせる」が基準。
12〜20回×2〜4セット
中級 ベリープレス(Belly Press) 手のひらでお腹を押すように肘を前へ保ち、内旋の力を作る。肩の前が痛む場合は中止。
肩甲下筋機能評価/運動療法で用いられる代表動作の一つ。
8〜12回×2〜4セット
中級 ベアハグ(Bear Hug) 片腕を胸に回して「抱きしめる」方向へ押す(肩甲下筋の作用に近い角度を作りやすい)。
肩が前に出すぎない範囲で。
10〜15回×2〜4セット
上級 ケーブル内旋(負荷一定でコントロール) チューブより負荷が一定で、可動域全体をコントロールしやすい。
反動を使わず、終点で肩が前へ滑らないように止める。
8〜12回×3〜5セット
上級 90/90 内旋(肩外転位の内旋) 肩を90°外転・肘90°で内旋。投球系やオーバーヘッド動作で必要な角度に近い。
肩甲下筋は外転・外旋位での安定化に重要とする報告があり、段階導入の価値が高い。:contentReference[oaicite:10]{index=10}
6〜10回×2〜4セット(軽負荷)

フォームの共通チェック(失敗しやすいポイント)

  • 肩がすくむ:僧帽筋上部優位で、内旋筋の狙いが薄れる。
  • 肘が体から離れる/体幹が回る:肩甲下筋ではなく全身で引いてしまう。
  • 肩の前が詰まる痛み:可動域・負荷・肩甲骨/胸郭の制御を見直す(痛みが続くなら評価)。

3. ストレッチとケア(静的/動的)

3-1. 動的ストレッチ(準備運動:動かしながら整える)

肩甲下筋は「内旋筋」なので、準備運動では外旋方向の可動性と、肩甲骨・胸郭の連動を整えると効果的です。

種目 やり方 目安
軽い外旋アクティブ(チューブ外旋) 肘90°で軽負荷の外旋をゆっくり実施。内旋筋が硬い人ほど外旋が出にくいので、痛みゼロの範囲で可動を作る。 10〜15回×1〜2
ウォールスライド(肩甲骨+胸郭) 壁に前腕を当てて上へ滑らせる。肩甲骨が上方回旋する連動を作る(肩関節の安定に有利)。:contentReference[oaicite:11]{index=11} 8〜12回×1〜2
スキャプラ・プッシュアップ(肩甲骨の前後スライド) 肘は伸ばしたまま肩甲骨を「寄せる→押し出す」。肩の前方支持を作る土台として有用。 8〜15回×1〜2

3-2. 静的ストレッチ(クールダウン:伸ばして落ち着かせる)

肩甲下筋を狙うストレッチは、基本的に肩関節の外旋(腕を外へひねる)方向です。 強い痛みや「前側が鋭く刺す」感覚が出る場合は無理に伸ばさず、可動域を小さくしてください。

種目 やり方 目安
ドアウェイ外旋ストレッチ ドア枠に手を添え、体を前へ移動して肩前面〜上腕前面が伸びる位置を探す(外旋方向)。
反り腰にならないように胸郭を整える。
20〜40秒×2〜4回
タオル補助の外旋ストレッチ タオルを使って外旋方向へ軽く誘導し、肩前面が伸びるところで停止(無理に引かない)。 20〜30秒×2〜3回

3-3. セルフケア(前側の筋群も含めて整える)

肩甲下筋は肩甲骨の前面にあるため、直接のセルフリリースは難易度が高い部位です。 そこで実務では、肩甲下筋と一緒に硬くなりやすい大胸筋(だいきょうきん)や前鋸筋(ぜんきょきん)周辺を整えつつ、 内旋優位の姿勢(巻き肩)を作りにくい環境を作るのが現実的です。

方法 やり方 目安
胸前(大胸筋)ボールリリース 壁とボールで胸の外側を圧迫し、痛気持ちいい範囲で呼吸しながら20〜30秒。
肩前の詰まりがある人ほど「胸の硬さ」が絡みやすい。
2〜4点×各20〜30秒
胸郭(背中上部)フォームローラー 背中上部をローリングして胸郭伸展を出す(猫背が強いと肩が前に入りやすい)。 30〜60秒
注意:腋窩(わきの下)を強く押さない 腋窩付近には神経・血管が通るため、無理な圧迫は避ける(しびれや拍動感が出たら中止)。

4. まとめ(実務での優先順位)

  • 肩甲下筋はローテーターカフの一つで、主に内旋肩の前方安定に関与。:contentReference[oaicite:12]{index=12}
  • まずはアイソメトリック内旋→チューブ内旋→ベリープレス→90/90内旋の順で、痛みゼロ・フォーム優先で段階化。
  • ストレッチは外旋方向で肩前面の過緊張を落とし、胸郭・胸筋の硬さも同時に整える。
  • 夜間痛、明確な筋力低下、挙上や外旋で鋭い痛みが続く場合は、腱板・関節包など別要因の可能性があるため専門家評価を推奨。:contentReference[oaicite:13]{index=13}

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