1. 高血圧とは?
- 定義:収縮期血圧(上の血圧)140mmHg以上 または 拡張期血圧(下の血圧)90mmHg以上が、継続的に続く状態。
- リスク:脳卒中・心筋梗塞・腎疾患の重要なリスク因子(血管に負担がかかり続けるため)。
| 用語 |
意味(初心者向け補足) |
| 収縮期血圧(上) |
心臓が血液を押し出すときに血管へかかる圧力。 |
| 拡張期血圧(下) |
心臓が休む(血液をためる)ときに血管へかかる圧力。 |
| 血圧コントロール |
薬・生活習慣・体重管理などで血圧を安定させ、リスクを下げること。 |
2. 推奨される運動(安全第一の運動処方)
高血圧対策の運動は、基本的に有酸素運動が中心です。そこへ軽度〜中等度の筋トレを組み合わせることで、
体力・体組成・血管機能の改善を狙います。重要なのは「呼吸を止めない」「急激に追い込まない」ことです。
2-1. 有酸素運動(週150分の目安)
| 項目 |
内容 |
実用的な目安 |
| 頻度 |
週あたり合計150分(中強度)を目安 |
30分×5日、または 10分×3回/日でも可(継続重視) |
| 種目 |
ウォーキング、軽いジョギング、サイクリング、スイムなど |
「会話はできるが息は弾む」程度を基本に |
| 強度の目安 |
中強度(ややきつい一歩手前) |
息切れが強い・胸が苦しいなら強度を下げる |
2-2. 筋トレ(週2回・大筋群・中強度)
筋トレは「高重量で追い込む」より、中強度で大筋群を丁寧に行う方が安全かつ継続的です。
とくに高血圧の方は、いきみ(息を止める動作)で血圧が急上昇しやすいため、呼吸を最優先します。
| 部位 |
種目例 |
回数・セット(目安) |
| 下半身(大筋群) |
スクワット(自重〜軽負荷)、レッグプレス、ヒップヒンジ系 |
10〜15回 × 2〜3セット(RPE 6〜7程度) |
| 背中 |
シーテッドロー、ラットプル、チューブロー |
10〜15回 × 2〜3セット |
| 胸 |
壁・台での腕立て、チェストプレス(軽負荷) |
8〜15回 × 2〜3セット |
| 体幹 |
プランク(短時間)、バードドッグ、デッドバグ |
20〜40秒 × 2〜3セット(息を止めない) |
2-3. 運動の安全ルール(必ず守る)
- 呼吸を止めない:力を出すときに「吐く」。いきみ(バルサルバ動作)は血圧急上昇の要因。
- ウォームアップを省略しない:開始5〜10分は軽い有酸素+関節の動きづくり。
- 高重量・限界挑戦は避ける:1RM挑戦や「潰れるまで」は原則NG。
- 運動中に体調異変が出たら中止:めまい、ふらつき、胸痛、強い息苦しさは即中断。
3. 食事のポイント(減塩・DASH食ベース)
高血圧対策の食事は、キーワードを絞ると実行しやすくなります。基本は減塩と、野菜・果物・全粒穀物・低脂肪乳製品・豆類などを軸にした
DASH食(高血圧予防食)です。
3-1. 減塩(1日6g未満を目標)
| やること |
具体例 |
| 汁物を1日1杯まで |
味噌汁・ラーメンスープは塩分が増えやすい。具を増やし、汁は少なめ。 |
| 加工食品を減らす |
ハム・ソーセージ・惣菜・カップ麺・スナックは塩分が積み上がりやすい。 |
| 調味料の“かける”をやめる |
醤油・ソースは「つける」「小皿」「計量」で管理。 |
| だし・酸味・香味で満足度を上げる |
だし(昆布・かつお)、レモン・酢、胡椒・生姜・にんにくで塩分を下げても美味しく。 |
3-2. カリウム・マグネシウムを意識(ただし注意あり)
DASH食では、野菜・果物・豆類・ナッツなどからカリウム、マグネシウムを摂りやすい構成が推奨されます。
ただし、腎機能が低下している方や、特定の薬を使用している方はカリウムの扱いが変わるため、主治医の指示を優先してください。
| 栄養素 |
多い食品例 |
実用ポイント |
| カリウム |
野菜、果物、いも類、豆類、海藻 |
外食・加工品が多い人ほど「食材ベース」に戻す |
| マグネシウム |
豆類、海藻、ナッツ、全粒穀物 |
間食を「菓子→ナッツ少量」へ置換すると続けやすい |
3-3. 飽和脂肪酸・アルコールは“上限管理”
- 飽和脂肪酸:脂身の多い肉・揚げ物・バター・生クリームの頻度を下げ、魚・大豆・低脂肪乳製品を増やす。
- アルコール:飲むなら量と頻度を固定し、休肝日を作る(飲酒量が増えるほど血圧に不利になりやすい)。
3-4. DASH食(高血圧予防食)の要点
| DASHの柱 |
具体的な食品・行動 |
| 野菜・果物 |
毎食どこかに入れる(生・冷凍・温野菜・スープ具でも可)。 |
| 全粒穀物 |
白米→雑穀、パン→全粒粉、麺→そば等へ一部置換。 |
| 低脂肪乳製品 |
牛乳・ヨーグルト・チーズは「低脂肪」も選択肢。 |
| 豆・魚・鶏・ナッツ |
たんぱく質源を分散し、加工肉を減らす。 |
| 塩分を下げる |
加工品を控え、味付けを薄くして「だし・香味・酸味」を活用。 |
4. 睡眠・ストレス管理(血圧は日中だけでなく“回復”で整う)
4-1. 睡眠
- 目安:毎日7時間前後を確保(まずは就寝・起床時刻を固定)。
- 就寝前:スマホの長時間視聴を控え、照明を落として入眠スイッチを作る。
- カフェイン:夕方以降の過剰摂取を避ける(寝つきと睡眠の質を落としやすい)。
4-2. ストレス管理(短時間でも毎日やる)
| 方法 |
やり方(現実的な手順) |
| 深呼吸 |
4秒吸って、6〜8秒で吐く。これを2〜5分。肩に力が入らない姿勢で。 |
| 短い瞑想 |
1〜5分でも可。呼吸の感覚に意識を戻す練習をする。 |
| 趣味時間の固定 |
週2回でも良いので「確保する日」を先に決め、仕事の侵食を防ぐ。 |
| 軽い散歩 |
ストレスが高い日は5〜10分でも外に出る(“運動スイッチ”として機能)。 |
5. 注意点(安全管理:ここを守ると事故を防げる)
5-1. 服薬中・治療中の方
- 医師から降圧薬が処方されている場合、運動内容(強度・種類)を主治医と相談して方針を合わせる。
- 薬の種類によっては、運動中の心拍反応や立ちくらみに影響することがあるため、主観的なきつさ(RPE)で管理すると安全。
5-2. すぐ中止すべきサイン
- めまい・ふらつき
- 胸の痛み・圧迫感
- 強い息苦しさ
- 手足のしびれ、ろれつが回らない、視界異常
5-3. 緊急性が高いケース(受診・救急の判断)
例として、血圧が非常に高い状態(例:180/120mmHg以上)に加えて、胸痛・呼吸困難・神経症状などがある場合は、
緊急対応が必要になることがあります。自己判断で我慢せず、医療機関・救急へ相談してください。
6. 実行プラン(まずは2週間で“勝ち筋”を作る)
| 項目 |
今週やること |
できたら追加 |
| 運動 |
ウォーキング20〜30分を週4回 |
週2回の軽い筋トレ(下半身+背中中心)を追加 |
| 食事 |
汁物は1日1杯まで/加工食品を1品減らす |
全粒穀物・豆・魚を週に数回入れてDASH寄せ |
| 睡眠 |
就寝・起床時刻を固定(まず±30分以内) |
就寝前のスマホ時間を10分短縮していく |
| ストレス |
深呼吸2分を毎日 |
短い散歩・瞑想を週2回追加 |
目標は「完璧」ではなく、血圧が上がる要因を減らし、下がる行動を増やすことです。
記録(血圧・睡眠・歩数)を簡単に残すだけでも、改善速度が上がります。