脂質異常症の改善ガイド|LDLを下げて中性脂肪を改善、HDLを増やす「運動150分/週+筋トレ」「飽和脂肪を減らす食事」をパーソナルトレーナーが解説
脂質異常症は、放置すると動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞などの心血管イベントのリスクを高める可能性があります。 ただし、運動・食事・睡眠・ストレスの“日々の設計”で改善余地が大きい領域でもあります。 本記事では、LDLコレステロール低下、中性脂肪(TG)改善、HDLコレステロール増加を狙った「安全で実用的」な生活改善をまとめます。 ※薬物療法中の方は主治医の方針を最優先にしてください。
1. 脂質異常症とは?(基準とリスク)
脂質異常症は、血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)が基準を外れている状態です。 一般的には次のいずれか(または複数)が該当します。
| 指標 | 基準(目安) | 意味(初心者向け補足) |
|---|---|---|
| LDLコレステロール | 140 mg/dL以上 | 「悪玉」と呼ばれやすい指標。増えるほど動脈硬化リスクが上がりやすい。 |
| 中性脂肪(TG) | 150 mg/dL以上 | エネルギーの貯蔵形。糖質過多・飲酒・肥満などで上がりやすい。 |
| HDLコレステロール | 40 mg/dL未満 | 「善玉」と呼ばれやすい指標。低いとリスクが上がりやすい。 |
重要:脂質の管理目標は、年齢・喫煙・糖尿病・高血圧・既往歴などで変わります。 「検査値が同じでも、あなたの目標値は別」というケースが普通に起こるため、最終判断は主治医の方針に合わせてください。
2. 推奨される運動(150分/週+筋トレで“代謝”を上げる)
2-1. 中強度の有酸素運動:週150分以上
脂質異常症の運動は、まず中強度の有酸素運動を「量で勝つ」ことが基本です。 目安は週150分以上(例:30分×週5回)。
| 項目 | 推奨 | 現場での目安 |
|---|---|---|
| 種目 | 速歩、サイクリング、水中運動、エリプティカル等 | 「会話はできるが少し息が弾む」程度 |
| 時間 | 週150分以上(中強度) | 10〜15分×複数回でも可(継続優先) |
| タイミング | 空腹時より、食後の落ち着いた時間帯が継続しやすい | 目安:食後1.5〜2時間程度(胃が重い場合はもっと後) |
2-2. 週2〜3回の軽度筋トレ(大筋群中心)
筋トレは、筋量と代謝を支え、体脂肪改善やインスリン感受性の向上にも有利です。 脂質異常症では「高重量で追い込む」より、中〜軽負荷で大筋群を丁寧にが安全かつ実用的です。
| 部位 | 種目例 | 回数・セット目安 |
|---|---|---|
| 下半身 | スクワット(自重〜軽負荷)、レッグプレス、ヒップヒンジ | 10〜15回 × 2〜3セット |
| 背中 | シーテッドロー、ラットプル、チューブロー | 10〜15回 × 2〜3セット |
| 胸 | 壁/台での腕立て、チェストプレス(軽負荷) | 8〜15回 × 2〜3セット |
| 体幹 | プランク(短時間)、デッドバグ、バードドッグ | 20〜40秒 × 2〜3セット(息を止めない) |
2-3. 安全ルール(必ず守る)
- 息を止めない:いきみ(バルサルバ動作)は血圧上昇やめまいの原因になり得ます。
- 胸痛・強い息切れ・動悸・めまいが出たら即中止し、医療者へ相談。
- 運動は「ゼロの日を作らない」設計が最強:短時間でも継続が脂質改善の近道です。
3. 食事のポイント(LDLは“脂の質”、TGは“糖と酒”が鍵)
3-1. 飽和脂肪酸を減らし、不飽和脂肪酸へ置換
LDL改善は、まず飽和脂肪酸(肉の脂・バター等)を減らすことが最優先です。 そのうえで、青魚・ナッツ・オリーブオイルなどの不飽和脂肪酸を「適量」取り入れます。 (※“良い脂”でも摂りすぎは総カロリー過多になります)
| 減らす(優先) | 増やす(置換) | 実務ポイント |
|---|---|---|
| 脂身の多い肉、加工肉、バター、生クリーム、揚げ物頻度 | 青魚、オリーブオイル、ナッツ少量、アボカド | まず「揚げ物→焼く/蒸す」「肉→魚/鶏/大豆」から |
3-2. 食物繊維をしっかり(特に“水に溶ける繊維”)
食物繊維(野菜・海藻・きのこ・豆類など)は、満腹感のサポートだけでなく、食後の脂質・糖質の“暴れ”を抑えやすい要素です。 現実的には、毎食どこかに「野菜/海藻/きのこ/豆」を入れることから始めてください。
3-3. 中性脂肪(TG)を下げる実務:甘い物・精製糖質・アルコール
中性脂肪が高い人ほど、「脂」よりも糖質の摂り方とアルコールがボトルネックになっていることが多いです。 特に、甘い飲料・菓子・夜の炭水化物過多・飲酒量の積み上げは要注意です。
| やること | 具体例 |
|---|---|
| 甘い飲料をゼロに寄せる | ジュース・加糖カフェドリンク・スポーツドリンク常飲を「水/お茶/無糖」へ。 |
| 主食の質を上げる | 白米・白パン中心 → 玄米、雑穀、全粒粉、オートミール等へ部分置換。 |
| アルコールを上限管理 | まず「休肝日を固定」「飲む量を定量化」。飲み過ぎはTG上昇に直結しやすい。 |
| 食べ過ぎを防ぐ | 夜に偏る人は、昼までにタンパク質と食物繊維を確保し、夜の暴食を減らす。 |
3-4. 1日の組み立て例(迷ったらこの型)
| 要素 | 目安 |
|---|---|
| 主食 | 量は維持しつつ、精製度を下げる(全粒粉・雑穀など)。 |
| 主菜 | 魚・鶏・大豆中心、肉は部位選び(脂身少なめ)。 |
| 副菜 | 野菜・海藻・きのこ・豆を「毎食どれか」。 |
| 脂質 | “良い油”でも計量(かけ過ぎ・つまみ過ぎに注意)。 |
4. 睡眠・ストレス管理(脂質代謝を悪化させない土台)
4-1. 睡眠
- 目安:まずは起床時刻を固定し、7時間前後の確保を狙う。
- 就寝前:スマホ・強い光・カフェイン過多を避け、入眠スイッチを作る。
- 夜食:睡眠の質を落としやすく、結果として食欲が乱れやすい。
4-2. ストレス対策(暴飲暴食を防ぐ“短時間ルーティン”)
| 方法 | やり方 | 目安 |
|---|---|---|
| 深呼吸 | 4秒吸って、6〜8秒で吐く(吐く時間を長めに) | 2〜5分 |
| 散歩 | 食後または仕事終わりに5〜10分 | 週3〜7回 |
| 趣味時間 | 短くても良いので“予定として確保” | 週2回〜 |
5. 注意点(医療連携と体調観察)
- 薬物療法中:スタチン等の薬を使用している場合は、自己判断で中止・変更をしない。運動・食事は主治医方針の範囲で最適化する。
- 運動前後の体調変化:胸痛、強い息切れ、動悸、めまい、脚の痛み(歩行で増悪する等)があれば中止し相談。
- 数値の評価:脂質は短期で上下することがあります。生活改善は最低でも数週間〜数か月のスパンで評価する。
6. まずは2週間の実行プラン(成功率が高い最小構成)
| 領域 | 今週やること | 余裕が出たら追加 |
|---|---|---|
| 有酸素 | 速歩20分×週4回(合計80分) | 30分×週5回(合計150分)へ |
| 筋トレ | 下半身+背中を週2回(各20分) | 週3回へ(1回あたり20〜30分) |
| 食事:脂の質 | 揚げ物を週1回減らす/バター頻度を下げる | 魚(青魚)を週2回入れる |
| 食事:繊維 | 毎食「海藻・きのこ・豆」のどれかを追加 | 主食を全粒粉・雑穀へ1食置換 |
| 酒・甘い物 | 甘い飲料をゼロ/飲酒日は量を定量化 | 休肝日を週2日に固定 |
最優先は「続く仕組み」です。運動は頻度、食事は置換(悪い習慣を良い習慣に入れ替える)を軸にすると、 LDL・TG・HDLすべてに改善の芽が出やすくなります。