足関節捻挫の正しい初期対応とリハビリ完全ガイド|RICE・回復期メニュー・再発予防まで
足首の捻挫(足関節捻挫)は「軽くひねっただけ」に見えても、靭帯損傷や関節の不安定性が残りやすい代表的な外傷です。 早期の対処を誤ると、腫れが長引くだけでなく、再発(いわゆる“クセ”)につながることがあります。 この記事では、初期対応(RICE)から回復期のリハビリ、再発予防までを安全性重視で整理します。
1. 足関節捻挫とは?(どこを痛めるのか)
足関節捻挫の多くは、足首が内側に倒れる内反(ないはん)で起こり、外側の靭帯を損傷します。 代表的な損傷部位は前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)と踵腓靭帯(しょうひじんたい)です。 発生シーンは、走行中のひねり、方向転換、ジャンプ着地、段差での踏み外しなどが典型です。
グレード分類(重症度の目安)
| グレード | 重症度 | 主な状態 | 目安 |
|---|---|---|---|
| I | 軽度 | 靭帯の伸張/微小損傷。痛みはあるが安定性は比較的保たれる。 | 腫れは軽〜中等度。歩行は可能なことが多い。 |
| II | 中等度 | 靭帯の部分断裂。腫れ・内出血が出やすく、圧痛と不安定感が増える。 | 歩行がつらい/跛行(はこう)が出ることが多い。 |
| III | 重度 | 靭帯の完全断裂が疑われる。強い腫れ、内出血、明確な不安定性。 | 荷重困難。医療機関での評価が必須。 |
受診を優先すべきサイン(自己判断しない)
- 4歩以上、まともに荷重できない(痛みで歩けない)
- 骨の一点が強く痛い/骨を押すと鋭い痛みがある
- 明らかな変形、強い腫れ、広範囲の内出血
- しびれ・感覚低下、足先が冷たいなど循環の異常
- 痛み・腫れが数日で改善せず悪化する
2. 初期対応(RICE処置:発症後48〜72時間の最優先)
捻挫直後〜48〜72時間は、腫れと炎症の管理が最優先です。基本はRICEで対応します。
| 項目 | 目的 | 具体的なやり方 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| Rest(安静) | 追加損傷の予防 | 痛みが強い間は無理に歩かない。必要なら杖や松葉杖、固定具を使用。 | 「動かした方が治る」は初期には逆効果になり得る。 |
| Ice(冷却) | 痛み・腫れの抑制 | 氷のう等で10〜15分冷却→休憩を挟み反復(皮膚状態を見ながら)。 | 凍傷防止のため直接氷を当て続けない。 |
| Compression(圧迫) | 腫れのコントロール | 弾性包帯やサポーターで足首を軽く圧迫。腫れに合わせて調整。 | しびれ、色の変化、脈が弱い場合は締めすぎ。 |
| Elevation(挙上) | 循環改善・腫れ軽減 | 可能な範囲で心臓より高く。横になりクッションで足を上げる。 | 長時間同一姿勢でしびれが出ないよう注意。 |
初期の「やってはいけない」
- 痛みが強いのに無理に走る・ジャンプする
- 腫れが強い段階での強いストレッチや強い揉みほぐし
- 腫れが増えるような長時間の入浴・サウナ・過度な温熱(※痛みと腫れが落ち着いてから検討)
3. 回復期のリハビリ(可動域 → 筋力 → バランスの順に積み上げる)
腫れと痛みがピークを越え、日常動作が少しずつ可能になってきたら回復期に入ります。 重要なのは、可動域(ROM)→筋力→バランス(固有感覚)の順で段階的に進めることです。 痛みが「鋭い」「増えていく」場合は強度を下げ、必要に応じて専門家へ相談してください。
(1)足関節の可動域訓練:アルファベット運動
| メニュー | やり方 | 回数・目安 | ポイント |
|---|---|---|---|
| アルファベット運動 | 座位で足先を使い、空中にA〜Zを書くように動かす。 | 1〜2周(痛みのない範囲) | 足首だけで描く。反動を使わず丁寧に。 |
| 背屈(はいくつ)/底屈(ていくつ) | つま先を上げる→下げるをゆっくり反復。 | 10〜15回 × 1〜2セット | 痛みが出る角度は避ける。動作は小さくてもOK。 |
| 回内(かいない)/回外(かいがい) | 足裏を内側・外側へ軽く傾ける(小さな可動域で)。 | 各10回 × 1〜2セット | 捻挫方向(多くは内反)に強く倒しすぎない。 |
(2)チューブで足関節周囲筋トレ(背屈・底屈・回外・回内)
足首を守るには、関節を支える筋群(前脛骨筋、腓骨筋群、下腿三頭筋など)の再獲得が重要です。 まずは痛みが増えない負荷で、コントロールを取り戻します。
| 種目 | 狙い | やり方(概要) | 回数・セット |
|---|---|---|---|
| 背屈(チューブ) | つま先を上げる力 | チューブを足先にかけ、つま先を自分側へ引く。 | 10〜15回 × 2セット |
| 底屈(チューブ) | 蹴り出しの力 | チューブを足先にかけ、つま先を前に押し出す。 | 10〜15回 × 2セット |
| 回外(チューブ) | 外側支持の再獲得 | 足裏を外へ向ける方向へゆっくり動かす(小さく)。 | 10回 × 2セット |
| 回内(チューブ) | 内側支持のバランス | 足裏を内へ向ける方向へコントロールして動かす。 | 10回 × 2セット |
(3)片足立ち・バランストレーニング(固有感覚)
捻挫後に再発しやすい理由の一つが、足首周囲の固有感覚(バランス感覚)低下です。 「グラつく」「踏ん張れない」を残さないことが、再発予防に直結します。
| 段階 | メニュー | 目安 | 進め方 |
|---|---|---|---|
| 初級 | 片足立ち(目を開けて) | 20〜30秒 × 2〜3回 | 壁や椅子の近くで安全確保。 |
| 中級 | 片足立ち+上肢の動き(腕振り等) | 20秒 × 2〜3回 | 体幹を安定させて足首だけで耐えない。 |
| 上級 | 不安定面(クッション等)で片足立ち | 15〜20秒 × 2回 | 痛み・恐怖感が出る場合は戻す。 |
4. 再発予防(テーピング・フォーム・筋力の3本柱)
(1)テーピング/サポーターの活用
- 復帰直後や不安定感が残る期間は、テーピングやサポーターで外力をコントロールすると再発リスクを下げやすい。
- ただし、固定に頼り切ると機能回復が遅れる場合があるため、リハビリ(筋力・バランス)と併用する。
(2)着地・方向転換のフォーム改善(再受傷の場面を減らす)
| 局面 | 意識したいポイント | 避けたい動き |
|---|---|---|
| ジャンプ着地 | 膝とつま先の向きを揃え、足裏全体で静かに着地 | つま先だけで着地/膝が内に入る |
| 方向転換 | 一歩で急に切り返さず、減速→踏み替え→加速の順 | 減速不足で足首にねじれが集中 |
| 片脚支持 | 体幹を安定させ、股関節で支える意識 | 足首だけで踏ん張る |
(3)下腿三頭筋・腓骨筋群の強化(足首を守る筋群)
再発予防では、ふくらはぎ(下腿三頭筋)と足首外側の安定に関わる腓骨筋群の強化が重要です。 まずは自重で安全に行い、徐々に負荷を上げます。
| 種目 | 狙い | 目安 | ポイント |
|---|---|---|---|
| カーフレイズ(両脚) | 下腿三頭筋 | 12〜20回 × 2セット | 上で止めてゆっくり下ろす。痛みが出ない範囲。 |
| カーフレイズ(片脚) | 支持力の強化 | 8〜12回 × 2セット | 壁に手を添え安全確保。グラつく場合は両脚に戻す。 |
| チューブ外反(腓骨筋群) | 外側安定 | 10〜15回 × 2セット | 反動なしでコントロール。足首をねじらない。 |
復帰の目安(安全にスポーツへ戻るために)
スポーツ復帰は「日数」よりも「機能」で判断します。以下が概ねクリアできることが望ましい目安です。
- 歩行・階段で痛みが増えない
- つま先立ち(カーフレイズ)で左右差が小さい
- 片足立ちが安定し、グラつきが減っている
- 軽いジャンプ着地や方向転換で恐怖感・鋭い痛みが出ない
参考(検索キーワード)
解剖や運動が分からない場合は、以下で検索し、信頼できる動画や医療・専門機関の情報を確認してください。
- 「足関節捻挫 ストレッチ」
- 「足首 捻挫 リハビリ」
- 「足関節 可動域 改善 アルファベット」
- 「腓骨筋群 トレーニング」
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としています。強い腫れや荷重困難、骨折の疑い、しびれ等がある場合は自己判断せず医療機関で評価を受けてください。