後脛骨筋機能不全(PTTD)のセルフケアと改善ガイド|土踏まずの痛み・偏平足化の原因とアーチ安定トレーニング
後脛骨筋機能不全(PTTD:Posterior Tibial Tendon Dysfunction)は、足首の内側を走る後脛骨筋腱の働きが低下し、 内側アーチ(内側縦アーチ)が支えられなくなることで、土踏まずの低下(偏平足化)や 足首内側〜土踏まずの痛みが出やすくなる状態です。 進行すると変形が固定化することもあるため、早期に「負荷の調整」「柔軟性の改善」「アーチの安定化」を並行して行うことが重要です。
1. PTTDとは?(Posterior Tibial Tendon Dysfunction)
PTTDは、後脛骨筋(こうけいこつきん)の機能低下や腱の障害により、足部の内側アーチが崩れて 過回内(かかいない:足が内側に倒れ込む)が強くなり、結果として偏平足化が進行しやすい状態です。 中年以降、とくに女性に多いとされ、歩行や立位で足首内側が痛む、土踏まずがだるいなどの訴えが目立ちます。
PTTDの典型的な流れ(イメージ)
| 段階 | 起こりやすいこと | よくある症状 |
|---|---|---|
| 初期 | 後脛骨筋腱の過負荷・炎症 | 足首内側の圧痛、歩くと痛い、運動後に増悪 |
| 進行 | 内側アーチが保てず偏平足化 | 土踏まずの低下、内側〜足底の張り、疲れやすい |
| さらに進行 | 変形が固定化しやすい | 足部の外側にも負担、靴が合わない、長時間歩行困難 |
2. 観察ポイント(セルフチェックの目安)
PTTDの疑いがある場合、日常で確認できる目安があります。痛みが強い場合は無理に実施せず、 悪化する場合は医療機関で評価を受けてください。
| 観察ポイント | 見られやすい変化 | 意味する可能性 |
|---|---|---|
| 片足立ちが不安定/できない | ふらつく、内側が痛い | アーチ保持機能(後脛骨筋)低下の可能性 |
| 片足カーフレイズが難しい | つま先立ちで痛い/上がらない | 後脛骨筋・下腿の支持力不足 |
| かかとが内反しない | つま先立ちしても、かかとが内側へ寄らない | 後脛骨筋の働き低下が疑われる |
| 土踏まずの低下 | アーチが潰れて偏平足化 | 過回内が進みやすいサイン |
3. ストレッチ(アキレス腱・腓腹筋・長趾屈筋など)
アーチが崩れる背景には、ふくらはぎの硬さ(下腿三頭筋)や足部筋の過緊張が関与することがあります。 ただし、強い痛みがある場合は炎症が強い可能性もあるため、ストレッチは痛みが増えない範囲で行い、 アーチの安定化トレーニングと並行するのが基本です。
| 部位 | 目的 | 方法(概要) | 目安 |
|---|---|---|---|
| アキレス腱・腓腹筋 | 背屈制限の改善/過回内ストレス低下 | 壁に手をつき、後ろ脚膝伸ばしで踵を床へ(軽く)。 | 20秒 × 2回 |
| ヒラメ筋 | 足関節の可動性サポート | 同姿勢で後ろ脚の膝を曲げ、踵を床へ(軽く)。 | 20秒 × 2回 |
| 長趾屈筋(足趾屈筋群) | 足底の過緊張を緩める | 足趾を反らし、足底〜内側の張りを軽く伸ばす。 | 15〜20秒 × 2回 |
※ フォームが分からない場合は「アキレス腱 ストレッチ」「ふくらはぎ ストレッチ」などで検索し、信頼できる動画で確認してください。
4. トレーニング(アーチの安定性を作る)
PTTDのセルフケアで重要なのは、アーチを支える仕組みを「再学習」することです。 足底内在筋(足の小さな筋)と後脛骨筋を中心に、低負荷で正確に積み上げます。 痛みが強い日は回数を減らし、翌日に症状が増える場合は負荷が高すぎるサインです。
基本メニュー(自宅で実施しやすい)
| 種目 | 狙い | やり方(概要) | 回数・セット |
|---|---|---|---|
| タオルギャザー | 足底内在筋の活性 | 床のタオルを足趾でたぐり寄せる。 | 30〜60秒 × 2セット |
| ショートフット(アーチサポート運動) | 内側アーチの再教育 | 足趾を握り込まず、土踏まずを軽く持ち上げて保持。 | 10秒保持 × 5回 × 2セット |
| つま先立ち(両脚) | 下腿支持力の基礎 | 反動なしで上がり、ゆっくり下ろす。 | 12〜15回 × 2セット |
後脛骨筋を狙う:内側カーフレイズ(ポイント)
後脛骨筋は「内側アーチの支持」と「足部の内反・回外方向の制御」に関わります。 内側カーフレイズは、足部が内側に潰れないように意識して行うことで、後脛骨筋への刺激を狙いやすくなります。
| 項目 | やり方 | 回数・セット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 内側カーフレイズ | つま先立ちで「母趾球(親指側)」を意識しつつ、土踏まずを保って上がる。 | 8〜12回 × 2セット | 足が内側に潰れるなら負荷が高い。可動域を浅く。 |
| 片脚へ進行 | 壁に手を添え、片脚で同様に実施。 | 6〜10回 × 2セット | 痛み・ふらつきが強い場合は両脚へ戻す。 |
5. インソール・靴の見直し(アーチサポートと安定性が鍵)
PTTDでは、日常の歩行そのものが症状を悪化させることがあります。 トレーニングだけで支えきれない期間は、インソールと靴の安定性でアーチを補助することが現実的です。
| 項目 | 選び方のポイント | 避けたい例 |
|---|---|---|
| インソール | 内側アーチサポートがあり、踵が安定する設計 | 柔らかすぎて沈み込むだけの中敷き |
| 靴の安定性 | 踵のカウンターがしっかり、横ぶれしにくい、ねじれに強い | 踵が柔らかくグラつく靴/ソールが極端に薄い靴 |
| サイズ・フィット | 踵が浮かず、足幅が合う(圧迫しすぎない) | 踵が抜ける、前足部が当たる、紐で締めてもズレる |
進行例の注意(医師評価が必要なケース)
変形が進行している場合は、セルフケアだけでは改善が難しくなることがあります。 以下のような状態がある場合は、整形外科での評価を推奨します。
- 偏平足化が明らかに進み、足の形が変わってきている
- 長時間歩くと強い痛みが出る、日常生活に支障がある
- 片足つま先立ちができない状態が続く
- 内側だけでなく外側にも痛みが出てきた
参考(検索キーワード)
- 「後脛骨筋機能不全 PTTD」
- 「土踏まず 痛い 偏平足」
- 「タオルギャザー 足」
- 「ショートフット アーチトレーニング」
- 「内側 カーフレイズ 後脛骨筋」
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としています。痛みが強い、変形が進行している、改善が乏しい場合は、 医師の評価を受け、必要に応じて装具療法やリハビリ指導を検討してください。